高齢者施設の冬の寒さ対策!暖房やアイテムを用いた温度調整方法を紹介します!
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本日のお悩み:高齢者施設での寒さ対策について教えてください!
11月~12月は気温も下がり、暖房やストーブの使用も必要になってきます。 ただ、暖房は乾燥など高齢者の健康面で心配な点もあり、あまりつけたくないと考えている職員もいます。
暖房をうまく活用していく方法を教えてください。
高齢者施設での冬の寒さ対策が重要な理由
執筆者/専門家
羽吹 さゆり
https://mynavi-iryofukushi.jp/media/users/7
手首にはアームウォーマーを、足首にはレッグウォーマーや厚手の靴下を取り入れる季節になりますね。私たちが少し冷えるなと感じるときでも、高齢の方にとっては体温の維持が難しく、体調を崩す原因になってしまうことがあります。
特に介護が必要な方の場合、自分で体温調節をするのが難しいため、施設では一人ひとりの体調や生活スタイルに合わせた暖房の工夫がとても大切です。
この記事では、高齢者施設で実践できる寒さ対策についてお伝えします。
冬の室温・湿度管理のポイント
まずは、室温と湿度のバランスが大切なポイントです。高齢者施設では、室温を22~24℃前後に保つのが一般的ですが、乾燥しすぎると喉の痛みや皮膚のかゆみ、風邪のリスクが高まります。
加湿器を併用したり、濡れタオルを室内にかけたりして湿度を40〜60%に保つようにしましょう。最近では、自動で加湿調整ができるエアコンや、静音タイプの加湿器も増えていますが、確認を怠らないようにしましょう。
「三首」を温めることの重要性
大切なのは、暖房器具で「全身を一気に温める」のではなく、「冷えやすい部分を重点的に温める」という考え方も必要ではないでしょうか。
たとえば、首・手首・足首の3か所は「三首」と呼ばれ、体の中でも特に熱を逃がしやすい場所です。ここをしっかり保温するだけで、全身の温かさがぐんと変わります。首まわりにはタートルネックやスカーフを使用することが効果的です。これらは着脱もしやすく、介助する職員にも扱いやすいという利点があります。
また、おしゃれな色や柔らかな素材を選べば、見た目からも気持ちが明るくなりますね。
首まわり(タートルネック・スカーフ)の効果と使い方
■効果
首には太い血管(頸動脈や頸静脈)が通っており、ここを温めることで温かい血液が心臓へ戻りやすくなり、全身の血行が改善されます。
さらに首まわりは体温が逃げやすい場所でもあるため、ここを守るだけで体感温度が大きく上がります。
■使い方のコツ
・タートルネック
→肌にやさしい素材のもの(綿・ウール混)を選び、締め付けすぎないサイズに。就寝時は避けましょう。
・スカーフ
→軽く巻くだけでOK。室内では薄手のスカーフ、外出時は厚手でも。温度調節がしやすく、介助もしやすいです。就寝時は避けましょう。
※車いすや椅子に座っている方には、首元に軽いブランケットをそっと置くだけでも効果的です。
※活動時にスカーフで首を締め付けてしまうリスクがあります。ご自身で対応できない方はブランケットなど代替品を使用しましょう。
■注意点
・首を強く締めつけないようにしましょう。(呼吸や血流に影響するため)
・発汗やのぼせに注意しましょう。(顔色や呼吸の変化があればすぐに外しましょう)
・誤嚥や嚥下障害がある方は、結び方や素材に配慮しましょう。
手首(アームウォーマー)の効果と使い方
■効果
手首部分には末梢血管が集まっており、ここを温めると手先・腕全体の血流がよくなり、冷えやすさが軽減します。
また手首が温まると手の動きもスムーズになり、自立度(食事や身支度)にも良い影響があります。
■使い方
・アームウォーマー
→伸縮性があり着脱しやすいものを。介助が必要な方でも手首を通すだけで装着できます。
・作業やリハビリ中は薄手のもの、くつろぎ時は裏起毛など暖かい素材を使い分けると快適です。
・手首だけでなく前腕の一部まで覆うタイプは保温効果が高いです。
■注意点
・強い締め付けはリンパや血流の障害につながるため避けましょう。
・サイズはゆとりを持って選びましょう。
・手の感覚が鈍い方(末梢神経障害など)は、こまめに皮膚の状態を確認するようにしましょう。
・発赤や痛みがあれば外しましょう。
足首(レッグウォーマー・厚手の靴下)の効果と使い方
■効果
足首周りを温めることで下肢の血流が改善し、冷えやむくみ軽減、夜間の冷えによる睡眠障害の予防にも役立ちます。
足先が温かいと転倒リスクの低下や歩行時の安定感向上にもつながります。
■使い方
・レッグウォーマー
→立ち座りや着脱のしやすさを考え、長さやフィット感を選ぶ。素材はウール混やフリースが保温性に優れます。
・靴下
→厚手でも履きやすい、つま先ゆったりタイプや滑り止め付きのルームソックスが安心です。
■注意点
・締め付けの強い靴下やゴムは血流を阻害するので避けましょう。(特に下肢浮腫や静脈疾患のある方は医師の指示に従いましょう)
・滑り止めがある靴下は転倒予防に良いが、床との相性(つまずきやすさ)も確認するようにしましょう。
・素材選び
→肌に優しい天然繊維(綿・ウール混)や保温性の高いフリースが使いやすいです。化学繊維は保温性は高いが通気性・吸湿性を確認しましょう。
・洗濯、衛生
→施設では洗濯や交換のしやすさも大切。清潔に保つことで皮膚トラブルを防ぎます。
・観察
→装着後は皮膚の発赤・かゆみ・冷たさ・むくみの有無をこまめにチェック。表情や呼吸の変化に注意しましょう。
介護現場でのアイテム選びは「着せやすさ」「観察のしやすさ」を大切に
ちょっとした身につけるものの工夫(タートル、スカーフ、アームウォーマー、レッグウォーマー)が、ご利用者の安心感・快適さ・安全に直結します。
介護現場では「着せやすさ」と「観察のしやすさ」を意識して選ぶと、日々のケアがぐっと楽になります。
最後に:心身ともに温まるケアを行いましょう!
冬の寒さは、高齢者にとって大きな負担になります。暖房やアイテムを用いた寒さ対策以外にも、軽めの運動や温かい飲み物の導入で身体の内側から温めることも心がけましょう。
また、「寒くないですか?」「お部屋の温度はちょうどいいですか?」 そんな優しい声かけも、利用者さんにとって温かさに繋がるかもしれません。体だけでなく、心まで温まるようなケアを、施設全体で大切にしていきましょう。
今年の冬も、施設全体が“ぬくもりに包まれる場所”になりますように。
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