『仮面ライダーガヴ』ストマック家が悪役なのに愛されるワケ|“苦労人”ランゴに共感の嵐!? 血の繋がりと権力に揺れ動く、“選ばれなかった兄妹たち”の行く末は
2024年9月から放送がスタートした『仮面ライダーガヴ』も、いよいよ後半戦へと突入。ポップなお菓子をモチーフにしたカラフルな世界観の裏で、物語はどんどんビターな味わいを深めています。
そんな中、いま話題を集めているのが、主人公・ショウマの“家族”であり、敵組織でもあるストマック家。彼らは異世界人グラニュートの一族で、“幸せな人間”をスパイスに変え、中毒性のある「闇菓子」を製造しています。さらにその闇菓子によってグラニュート界の覇権を狙う、まさに“悪のお菓子メーカー”です。
そんなストマック家ですが、やっていることは完全に悪役でありながら、視聴者からは「嫌いになれない」「むしろ推せる」といった声が続出!? 中心にいるのは、長男にして社長のランゴです。彼は圧倒的な強さを持つ一方で、家族関係に翻弄される“苦労人”でもあります。
本記事では、そんなランゴを中心に据えつつ、「なぜストマック家は悪役なのに愛されるのか?」を紐解いていきます。
【写真】『仮面ライダーガヴ』ストマック家が悪役なのに愛されるワケ
ランゴの苦悩。一族と会社を背負う孤独な長男
ストマック家の長男・ランゴは、いくつもの重責を背負っています。「ストマック社」の社長として経営を支えながら、現場の指揮もとり、さらには個性派ぞろいの兄妹たちをまとめるという三重苦に日々奮闘していました。
これまであまり前線に立つことはなかった彼ですが、第35話「甘さゼロ!鉄壁のランゴ」では、仮面ライダーガヴの強化フォーム「オーバーモード」を前にしても一歩も引かず、圧倒的な力を見せつけました。高い攻撃力と防御力、そして見た目からは想像できないほどの俊敏な動きで、ショウマたちを圧倒するその姿には、視聴者からも驚きと称賛の声が集まりました。
しかし、そんなランゴの努力を支えるはずの兄妹たちは、それぞれが自由奔放すぎて、なかなか言うことを聞いてくれません。
ひとりひとりが強くて冷酷。ストマック家の兄妹たち
ストマック家の魅力は、ランゴだけにとどまりません。彼を取り巻く兄妹たちもまた、ひとりひとりが強烈な個性を放っています。
長女・グロッタは、粗野で好戦的な性格の持ち主。けれどその一方で、家族の安否を気にかける一面も見せるなど、情の深さも感じさせます。兄妹の中では、一番“家族”という関係性に重きをおいている人物かもしれません。
飄々とした次男・ニエルブは、家族よりも自分の研究を優先するマイペースな性格。シータがガヴに倒される場面に居合わせながらも、助けに入らず動揺すら見せませんでした。
そして双子の末っ子・シータとジープ。彼らは幼少期から親や兄姉に十分な愛情を受けられず、互いだけを心の支えにしてきました。その関係性は、美しくもあり、同時に危うい依存でもあります。
一見冷酷で利己的に見える彼らですが、その背景にはある“影”が見え隠れしています。
父・ブーシュに振り回された“選ばれなかった兄妹たち”
ストマック家を語るうえで、父・ブーシュの存在は避けて通れません。
彼は人間のみちるという女性を見初め、彼女との間にショウマをもうけました。グラニュートであるブーシュが、みちるとショウマを守ろうとする姿からは、“ひとりの父親”としての思いが感じられます。
しかし、ストマック家の兄妹たちにとっては、ショウマは「父に選ばれた存在」であり、自分たちは「選ばれなかった存在」。ブーシュの愛情がなぜ自分たちに向けられなかったのか。その疑問と怒りは、特にシータやジープの中に深く根を下ろしているようです。
また、ランゴも「(父が人間と子どもをもうけた)あの時からストマック家はおかしくなった」と、ショウマへの嫌悪を露わにしています。
ストマック家がショウマに向ける攻撃性や冷淡さは、単なる裏切りへの報復ではなく、「父に愛された記憶がない」という喪失感や、「なぜあの子だけが」という痛みに基づくものなのかもしれません。
ジープの婿入りと崩壊しつつあるストマック家
そんなストマック家に大きな亀裂を入れた出来事が、末っ子・ジープの“婿入り”です。
闇菓子製造のための人間をうまく集められなかったシータとジープは、ランゴから解雇を言い渡されます。さらに、絆の強い2人を引き離す形で、権力者との縁談を勝手に進められてしまうのです。
追い詰められた双子はショウマに矛先を向けますが、返り討ちにあい、シータが倒れてしまいます。シータを失い、家にも戻れず絶望していたジープを拾ったのが、リゼル・ジャルダックでした。
彼女はグラニュート界の大統領・ボッカ・ジャルダックの一人娘。最高権力者とジープの結婚に、ランゴでさえもタジタジに。ジープの選んだ道は、ストマック家の運命をさらに大きく揺さぶっていくことになります。
はぴぱれ陣営との対比が苦々しい
ストマック家と対をなすように描かれているのが、ショウマがお世話になっているなんでも屋「はぴぱれ」。社長の幸果、仲間の絆斗、ラキアたちは、種族の違いを超えて助け合い、ぶつかりながらも信頼を深めています。その絆は、血の繋がりを超えた“疑似家族”と呼べるほどではないでしょうか。
一方でストマック家は、血を分けた本当の家族でありながら、それぞれの私欲や過去のわだかまりに縛られ、崩壊しつつあります。この明確な対比があることで、ストマック家の“歪さ”がより鮮明になり、視聴者を強く引き込んでいるのです。
まとめ
グラニュートという人間とは異なる存在でありながら、私たちと同じように悩み、悲しみ、そして傷ついているストマック家。
彼らがさまざまな事象に翻弄される姿に、多くの視聴者が思わず共感してしまうのも納得です。
『仮面ライダーガヴ』が描くのは、単なる“勧善懲悪”ではありません。敵にも背景があり、人生があり、物語があります。その中心にいるストマック家は、これからもきっと、視聴者の心を離さない存在であり続けるでしょう。今後の『仮面ライダーガヴ』、ストマック家の動向から目が離せません!