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桐山照史らがアドリブ満載のコメディに全力で挑む ミュージカル『グラウンドホッグ・デー』囲み取材&ゲネプロレポート

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(左から)福田雄一、豊原江理佳、咲妃みゆ、桐山照史、戸塚純貴、川久保拓司

1993年にアメリカで公開された、監督/脚本ハロルド・ライミス、原案/脚本ダニー・ルービンのタッグによる傑作コメディ映画『Groundhog Day(邦題:恋はデジャ・ブ)』。 現在も世界中の映画ファンに愛され続けている本作は2016年夏にロンドンのオールド・ヴィック劇場で世界初演が行われ、2017年春にはブロードウェイでも上演された。

2017年にローレンス・オリヴィエ賞「最優秀新作ミュージカル賞」と「ミュージカル部門主演男優賞」を受賞し、同年のトニー賞ではミュージカル作品賞を含む7部門へのノミネートを果たすなど高い評価を得た作品が、日本版ミュージカルとして新たに生まれ変わる。演出を福田雄一が務め、主演はWEST.の桐山照史。咲妃みゆ、戸塚純貴、豊原江理佳、川久保拓司ら豪華キャストが集結した。

2024年11月11日(月)の開幕を前に行われた囲み取材には桐山照史、咲妃みゆ、戸塚純貴、豊原江理佳、川久保拓司、演出の福田雄一が登壇。

ーー初日に向けた意気込みはいかがでしょう。

桐山:1日でも早くお客様の前でやりたかったです。演出の福田節をすごく感じました。稽古初日に「初日にこんなに笑ったのは初めて」と言ってもらえて嬉しかったです。

川久保:でも、次の日に同じことすると全く笑ってもらえないんですよ。

一同:(笑)。

ーー桐山さんは初めての福田さん演出ですね。

桐山:ご一緒したいとずっと思っていました。接点がないので、今回のオファーをいただいても信じられなくて。先輩のどなたかが降りた役が回ってきたのかなと(笑)。

福田:いやいや、ファン歴が長いんですよ。『真夜中のパン屋さん』というドラマで「この子はすごい」と思って。この役は、最初はすごく嫌な奴だけど、どんどん良い奴になっていく。その間ずっとボケたり突っ込んだり、本当に大変です。プロデューサーさんからもいろいろ提案していただいたんですがなかなかピンと来なかった。誰ができるだろうと考えていた中で桐山さんの名前を出していただき、「それだ!」って。

ーー咲妃さんは初めてのコメディです。

咲妃:お話をいただいて、すぐに出演を決めました。私も福田さんの作品に出演するのが夢だったので嬉しくて。初めてのコメディなのでたくさんの壁に直面するとは思いましたが、それ以上に挑戦したかったんです。

福田:稽古で指示を出さなくても面白いことをしてくれるんですよ。

咲妃:カンパニーの方々に影響を受けました。お家でいろいろと案を練って、稽古場で試してみました。

川久保:咲妃さんのイメージからは想像つかないことがいろいろと起きます。

桐山:ファンの方はびっくりすると思う。

ーー戸塚さんは初ミュージカル、いかがですか?

戸塚:皆さんにどんな反応をいただけるか楽しみです。ソロのバラードもあるので泣かせたいと思います。

川久保:僕、稽古で初めて聞いた時泣いちゃった。芝居もすごくいいから。

戸塚:ちょっとハードル上げすぎ(笑)!

ーー川久保さんは福田組常連ですが……。

川久保:でも、福田さんのミュージカルは初めてです。座長・桐山くんが作り出す空気感、居心地が良すぎて、終わってほしくないから始まってほしくない!

福田:(桐山は)アンサンブルもスタッフも全員の名前を覚えていて。みんな嬉しいと思う。

桐山:みんな大変ですが、アンサンブルさんは本当に走り回っている。みんなで支え合わないと成り立たない舞台です。そんな中で稽古の途中から入ってきた江理佳は大変だったよね。

豊原:ほとんど出来上がっていたところに入ったので、皆さん面白すぎて圧倒されてしまいました。稽古に入ったら、「もらった台本と全然違う!」と。

桐山:言ってた! 「照史くん、私がもらってる台本と違います!」って言われて、「一緒だよ。アドリブしてるだけ!」って(笑)。

豊原:皆さん毎日違うアドリブで。面白いものを作ろうという空気があたたかかったので、私も少しずつアドリブに挑戦するようになりました。

川久保:僕たちが何をやっても(桐山が)全部拾ってくれる。桐山くんのツッコミにも注目してほしいです。

ーーそれ以外にもいろいろな挑戦があると聞いています。

桐山:うちの小瀧(望)が演出家さんから難しいタップをやらされたというニュースを見た3日後に福田さんから「タップ踏める?」と聞かれて。丁寧に断ったのに踏むことになりました。(福田)響志くんやアンサンブルの皆さんにサポートしてもらいました。(小瀧とは)また違うジャンルタップになると思うので、こちらも楽しんでほしいです。

ーー最後に、楽しみにしている皆さんへのメッセージをお願いします。

桐山:僕の人生史上一番のミュージカルができたと思います。お客様とカンパニーが一緒に笑える作品。心よりお待ちしています!

※以下、ゲネプロの写真とレポートあり

ステージに登場した桐山は「皆さん、よかったら予定より大きい記事にして! カンパニーのみんな喜んじゃうから!」と取材陣にアピールしたり、バナナを食べ始めたりと冒頭からアドリブ連発。客席だけでなく舞台袖からも笑い声が聞こえるという珍しい状況で物語がスタートした。

主人公はある日突然タイムループに巻き込まれた気象予報士・フィル。桐山は自信家で傲慢なフィルの嫌な奴っぷりをユーモラスに演じる。個性豊かなキャラクターたちの言動に逐一ツッコミを入れながらストーリーを進め、多彩な楽曲を堂々と歌いこなす姿が頼もしい。

1幕では不思議な出来事を活用して好き放題するフィルの調子に乗り切った様子をコミカルに演じ、2幕では同じ日から抜け出せなくなったフィルの苦悩と変化を丁寧に表現。ダメな部分も多いが憎みきれない主人公を見せてくれた。

ミュージカル『グラウンドホッグ・デー』舞台写真

ヒロイン・リタを演じる咲妃は、自立した知的な女性としての一面と王子様に憧れる乙女な一面を愛らしく描きだす。会見でも言われていたように、悪い噂通りのフィルを前にして思わず暴言を吐くなど、イメージから少し外れた部分も。しかし、明るくポジティブな考え方、キラキラした笑顔や歌唱はヒロインらしい愛らしさに満ちている。フィルの内面に大きな影響を与える重要なキャラクターを、魅力あふれる存在として作り上げていた。

作中では「2月2日のグラウンドホッグ・デー」を何回かループするが、繰り返していることに気づいたフィルが意図的に反応を変える場面もあるため、戸塚演じる元同級生・ネッドの登場シーンなどはアドリブ要素が満載。ループのたびに桐山の無茶振りに応える戸塚も見どころと言えるだろう。さらに、カメラマンのラリー(川久保拓司)やペンシルバニア州で暮らすナンシー(豊原江理佳)の贅沢な使い方、2幕で披露される各キャラクターのソロ歌唱、タップダンスなども大きな見どころだ。

歌唱力の高いキャストが揃っており、シリアスなバラードはもちろんコミカルな楽曲にもしっかり感情が乗っている。バンドの生演奏が見えるシーンは華やかさもあり、ミュージカルらしい楽しさが詰まった作品に仕上がっていた。

はたしてフィルは、同じ日の繰り返しから脱出できるのか。思い切り笑えてほろりと泣ける本作は、2024年11月11日(月)~22日(金)まで東京国際フォーラム ホールCで上演。11月27日(水)~12月1日(日)には大阪・新歌舞伎座、12月5日(木)~8日(日)には愛知・御園座でも公演が行われる。

取材・文・撮影=吉田沙奈

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