自分たちが楽しみお客さんを喜ばせる演奏を!高知市「やいろ吹奏楽団」
吹奏楽の喜びを自分たちの手で「やいろ吹奏楽団」
年が明けた寒さの厳しいこの日、高知市春野町の春野文化ホール ピアステージ・小ホールにて、2月8日(土)の「やいろ吹奏楽団第29回定期演奏会」に向けた練習が行われた。
「やいろ吹奏楽団」は中学校時代の友人や、その後の学生生活で知り合った仲間たちが、自分たちのやりたいことが出来る吹奏楽団を作りたいとの思いで、1994年2月に前身の「秦泉寺吹奏楽団」として結成された。
その後、2002年1月に「やいろ吹奏楽団」と改名し、高知県高知市を中心に活動している。
学生から社会人まで幅広い年齢層の団員約50名が所属し、定期演奏会などの自主事業を行うとともに、吹奏楽コンクールや吹奏楽祭などに積極的に参加している。また、地域に貢献出来る、みんなを楽しませることが出来る吹奏楽団を目指し、各市町村やボランティア団体、学校などからの依頼を受け演奏も行っている。
練習は主に週2回。日曜日に春野文化プラザ ピアステージ、水曜日に筆山文化会館に皆で集まり精力的に練習を続けている。
自分たちの音楽を真剣に楽しむために
18:00。続々と団員たちが集まり、ひとりでおもいっきり音を響かせたり、パートで音を合わせたりと思い思いに楽器を鳴らす。
楽団結成時の「自分たちのやりたいことが出来る吹奏楽団を作りたい」との思いが受け継がれているのだろうか、自由闊達な雰囲気の中で準備が進められていく。
年の近い者、離れた者の間でも笑顔で会話が交わされ、楽団の仲の良さが見て取れる。
そして19:30。常任指揮者である重松 政志氏の合図で演奏が始まる。
今までの練習をさらうように、いくつかの曲を次々に合わせていく。
皆の表情は真剣そのものとなり、重松氏の指示を受けながら繰り返し曲の練度を上げていく。
そういった集中した練習の中でも、素晴らしいソロの演奏があった時には団員皆が大きな拍手を送る。
団員皆が、音楽が好きで仕方ないのだろうと思える光景だ。
この日集中的に練習していたのは、現代吹奏楽界のヒットメーカー樽屋 雅徳氏作曲の『民衆を導く自由の女神』。
この曲は19世紀のフランス、1830年7月に起こったの七月革命に際し描かれた、ウジェーヌ・ドラクロワの同名の名画をモチーフに作曲されており、革命の展開に沿って、「民衆のテーマ」~「女神のテーマ」~「革命:蜂起」~「革命:喧噪、終結」~「女神のテーマ:再現」~「革命の成功」と6部分で構成されている。
冒頭部分、16分音符で革命を起こすために民衆が団結していく様を静かに表し、金管楽器が武器を手に立ち上る民衆の姿を力強く表現する。
そして、木管楽器・トランペットのテーマが、民衆を導く女神の神々しさ、美しさを鮮やかに印象づけ、続いてまさに今、革命が起ころうかという緊張感に満ちた空気感へとひとつひとつの音が導く。
ついに民衆は立ち上がり、クラリネットのテーマが街中を包む怒りと祈りのごとく鳴り響き、そのテーマをフルートとピッコロが追いかけ、激しさを増していく革命の姿を表す。
その手に武器をかかげ戦い続ける民衆の姿が描き出され、やがて終わりを告げた革命を包み込むが如く、再度女神のテーマをユーフォニアムのソロが響かせる。
そして世界をあたたかくやわらかな光とともに照らし出すように、木管、オーボエ、ホルン、トランペット、チューバと受け継がれた女神のテーマが繰り返される。
自由を求めた革命は、象徴となる女神の姿と共に、光輝く希望に満ちた未来に向けて進む壮大なエンディングを迎える。
ストーリー性が高く、それぞれのソロパートも楽しめるこの曲は聴きごたえ十分だ。
七月革命を知らずとも楽しめるこの曲だが、ぜひ簡単でいいので少しばかり七月革命を知っておいていただきたい。
より深くこの曲を楽しめ、団員たちがどういった思いで演奏をしているのかが感じられるはずだ。
音楽の、吹奏楽の楽しさをぜひお客さんに!
今回の定期演奏会では、第1部クラッシックステージとして、『はとポッポ』(正式な曲名は『はと』/文部省唱歌)のメロディーをモチーフに、チェコのドヴォルザーク「交響曲第8番」や、スウィングジャズのスタンダード「イン・ザ・ムード」、ロシアのショスタコービッチ「交響曲第5番」などの古今東西世界各国の有名な管弦楽曲や特徴的なリズムを用いて鳩が世界を巡るという“変曲”『はとポッポの世界旅行 POPPO POPPO』や、この日集中的に練習を繰り返した『民衆を導く自由の女神』などで吹奏楽の楽しさを伝える。
そして、第2部ではポップスステージとして、映画『STAND BY ME ドラえもん 2』の主題歌に起用された菅田 将暉の『虹』や、『ウエスト・サイド・ストーリー・セレクション』として、ブロードウェイ・ミュージカルの伝説的な名作で、2度に渡り映画化もされた珠玉のミュージカル・ミュージックなどで音楽のすばらしさをお届けする予定だ。
また、『29、数字で見るか?言葉で見るか?』と題し、団員たちが話し合い懸命に準備をした、なにが起こるかわからない、観て聴いてお楽しみのエンタメコーナーもお届けする。
団長の黒原 夏彦さんは、「一人でも多くのお客様にわたしたちの演奏を楽しんでいただきたいと思います。特に第2部内のエンタメコーナー『29、数字で見るか?言葉で見るか?』のようなことをやっている吹奏楽団はあまりないと思いますので、ぜひ楽しみにしながら足をお運びください。お客様はもちろん、私たちも楽しめるよう全力のステージをお届けします」と意気込む。
どうか皆様に笑顔がこぼれる楽しい時間を過ごしていただきたいと、記者も心から願っている。
やいろ吹奏楽団第29回定期演奏会
【開催日時】2025年2月8日(土) 開場 17:45/開演 18:30
【会場】高知市文化プラザかるぽーと 四国銀行ホール(大ホール)
【入場料】一般 1,000円/学生 500円(前売り・当日ともに)全席自由・未就学児無料
【チケット取り扱い】楽器堂OPUS(本店・イオン高知店)・高知市文化プラザミュージアムショップ・やいろ吹奏楽団HP