パパ活女子、お葬式で修羅場、“ぜんぜん大丈夫じゃない”私たちの今(リアル)『Shiva Baby シヴァ・ベイビー』
デミ・ムーア主演『サブスタンス』を手がけ、世界中の映画ファンから熱狂的な支持を集めるアートハウス系ストリーミングサービス/配給会社MUBIにて、2021年度の最高視聴数を記録。さらに、ニューヨークでは16週間連続上映という異例のロングランを達成し、コロナ禍で見過ごされた傑作として語られてきた映画『Shiva Baby シヴァ・ベイビー』が、 2026年2月27日より日本公開が決定。このたび、ティザービジュアルとメイン写真が解禁となった。
“ぜんぜん大丈夫じゃない”私たちの今(リアル)
大学の卒業を目前に控えたある日、誰が亡くなったのかも知らされないまま、ダニエルは親戚のお葬式(シヴァ)へと参列する。故人の自宅では、幼なじみで元カノのマヤがロースクール(法科大学院)に合格したことで賞賛を受ける一方、ダニエルはパッとしない進路や容姿の変化について親類縁者たちから不躾に詮索され、次第に身の置き所を失っていく。そんな中、数時間前に会ったばかりのパパ活相手・マックスが、容姿端麗な実業家の妻・キムと泣き叫ぶ赤ん坊を連れてシヴァに現れる。ショックを受けたダニエルの混乱は、やがて事態へと自分自身を追い込んでいき……。
監督は、『ボトムス 〜最底で最強?な私たち〜』(23)で注目を集める新鋭エマ・セリグマン。本作は、彼女が若干25歳のときに監督をつとめた長編デビュー作でもあり、主演にZ世代のアイコンとしてアメリカで絶大な人気を誇る俳優/クリエイターのレイチェル・セノットを抜擢、先の見えない現代で、自分の価値や将来に不安を抱く大学生・ダニエルが、親戚のお葬式(シヴァ)に参加したことをきっかけに、自己崩壊の危機に直面する決定的な数時間の出来事を描く。
もともとセリグマンは、ニューヨーク大学ティッシュ芸術学部(NYU Tisch School of the Arts)の卒業制作として短編映画『Shiva Baby』を制作。自身が経験した「シヴァでの気まずく滑稽な時間」に、NYUで出会った“シュガーベイビー”の友人たちのエピソードを重ね合わせて生み出したフィクションだったが、2018年のサウス・バイ・サウスウエスト映画祭(SXSW)でのプレミア上映を控える中、短編版でも主演を務めたセノットの強い後押しを受けて、長編化に着手。COVID-19の影響で多くの映画祭が中止を余儀なくされる中でも、2020年8〜9月にかけて複数の映画祭でオンライン上映が実現し、同年のトロント国際映画祭(TIFF)でついに初の劇場上映を迎えた。
監督は本作について「家族、伝統、自立と格闘する若い女性の物語」だと言う。しかし「もっと重要なのは、自分の性的パワーに思っていたほどの影響力がなく、そして自尊心は性的に認められることでは築けないということを若い女性が突きつけられた時に感じる苦い現実です」「閉鎖的なユダヤ人コミュニティで育った私は、何度もシヴァに参列していました。そのたびに私はお葬式を面白がったものです。なぜなら誰かが亡くなったばかりだというのに、人々はベーグルを食べ、不平を言い、子供を見せびらかし、おせっかいな質問をして、個人的な境界線を踏み越えてくるからです。私はこのコントラストが好きで、“大人になる物語”にこれほど完璧な舞台はないと思いました。家族の行事は最大限の愛と温かさで満たされることもありますが、世代間の違いによって、非伝統的、もしくはまだ世に存在しないキャリアの方向性や自分の逸脱性について、私たちに疑問を抱かせることもあります。私は、最も深い不安のシンフォニーに直面するような環境に、ダニエルを置きたいと考えました」そして、「『Shiva Baby シヴァ・ベイビー』を観た若い女性たちが“矛盾して窒息しそうなプレッシャーのなかにある自分たちを誰かが見てくれている”と感じてくれたらうれしいです。そして何よりも、ダニエルの物語を観てユーモアを感じ、少なくとも一時的な安堵感を味わってほしいと思っています」とエールを送る。
ティザービジュアルは、シヴァで振る舞われたクリームチーズとサーモンのベーグルを掲げ、「理想の自分」を具現化したようなコケティッシュなダニエルの姿を捉えたもの。ホイップクリームのようにキュートなドレスを纏いながらも、どこにも焦点の合わない虚ろなまなざしが、彼女のアイデンティティ崩壊の予兆を感じさせるビジュアルとなっている。
メイン写真は、シヴァで遭遇したパパ活相手のマックスに、自分よりも魅力的で自立した妻がいること知ってベーグル片手に呆然とする、「現実から逃れられない」ダニエルの姿が切り取られている。
『Shiva Baby シヴァ・ベイビー』は2026年2月27日(金)より新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町全国公開