生と死を巡る世界観を決定づけた特別な存在、エジプトの神「オシリス」とは【眠れなくなるほど面白い 図解 世界の神々】
エジプト神話|理想の王であり冥界の王オシリス
生と死を巡る世界観を決定づけた特別な存在
オシリスはヘリオポリス創生神話を起源とする神です。ヌン(混沌)から生まれたアトゥムが大気の神シューと湿気の女神テフヌトを生み出し、この兄妹が結婚。
さらにシューとテフヌトの間に生まれた大地の神ゲブと天空の女神ヌトの兄妹の間に生まれた4人の子どもの長男がオシリスです。
ゲブとヌトは、あまりに仲睦まじくつねに一心同体だったため、父シューがそれを見かねて引き離したといいます。
そのときすでにヌトは妊娠しており、父同様、夫婦に激怒していた祖父アトゥムの目を盗んで出産。そのとき助けてくれたのが、知恵の神トトでした。
生まれたオシリス、イシス、セト、ネフティスの4人は、それぞれ兄と妹で結婚。この4兄妹は、さまざまに形を変えたエジプト神話の中で重要な役割を持ち続けます。
オシリスは農耕の神でもあり、知的で温厚な性格でした。人々に農業と法の知恵を授け、好戦的だったエジプトの人々に、穏やかな暮らしをもたらしたといわれています。
オシリスは人だけでなく、他の神からの崇拝も集める神として君臨しました。弟である砂漠の神セトは、兄の人気に嫉妬と します。それがオシリス神話の発端でした。
トト:もともとは月の満ち欠けを記録する神。文字や数字を発明し、知恵の神となった。トキ、もしくはヒヒの姿で表現されることが多い。
復活して冥界の王となったオシリス
両側に1枚ずつ大きな羽をほどこした白い冠を頭に頂いている。これは上エジプト王の象徴。
王権の象徴である杖と竿さおを手に持つ。また、ミイラ姿の白い包帯で巻かれている。
死者の審判では、心臓の計量を終えた死者は玉座に腰かけたオシリス神と向かい合う。
エジプト神話 神々の系譜
創造神:アトゥム大気の神:シュー湿気の女神:テフヌト大地の神:ゲブ天空の女神:ヌト農耕神・冥界の王:オシリス豊穣の女神:イシス砂漠の神:セト葬祭の女神:ネフティス天空の神:ホルス
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 世界の神々』監修:鈴木悠介