老犬の深夜徘徊は放置して大丈夫なの?夜中に部屋をウロつく理由と飼い主がすべき対策について解説
老犬が夜中に部屋をウロつく理由
老犬になると、夜中に部屋をウロつくことがあります。何となく歩き回りたいだけのように見えることもあれば、ソワソワと落ち着きなく歩き回っているように見えることもあります。
そっと見守っていれば大丈夫な場合もありますし、転倒しないように体を支えなければならない場合もあります。何時間も部屋をウロつき続けることもあるため、心配でたまらなくなる場合もあるでしょう。
老犬が夜中に部屋をウロつくことには様々な理由があります。それぞれの理由に合わせて、飼い主がすべき対策を解説します。
1.認知機能の低下
老犬が夜中に部屋をウロつく理由は、主に「認知機能の低下」です。
犬自身も、ワケが分からず部屋をウロついていることがあります。何か目的があるワケではないのです。
認知機能の低下が急激に回復することはありませんが、今以上に低下させてしまうことを防ぐための対策を行うべきです。
犬の認知機能の低下を防ぐための対策は、体にも心にも刺激を与えることです。簡単にできる対策には「お散歩」があります。
のんびりトボトボ歩くだけでも体によい刺激を与えます。毎日のお散歩は筋肉の維持にも役立ちます。
そして、飼い主以外の人や犬との交流を持つことが大切です。老犬の心にとって、よい刺激にもなりますし、幸せホルモンの分泌や活性化にも役立つでしょう。
体を動かすことと、人や犬との交流を気軽に持つことができる、ドッグランへのお出かけがおすすめです。好奇心旺盛で活発な若い犬たちとの交流は、より刺激的な時間になると思います。
2.思うようにいかずイライラする気持ちがある
老犬が夜中に部屋をウロつくのは、思うようにいかずイライラする気持ちがあるからです。
身体機能が低下することによって、ソファーでくつろぎたいのに上ることができない、ベッドで寝たいのにつまずいて上手く入ることができないなどするとき、イライラしてしまうのです。
愛犬が何を目的にウロついているのか、気持ちを汲む必要があります。身体機能の低下によって出来なくなってしまったことに対しては、手を差し伸べてあげるとよいと思います。
飼い主がソファーに座っていれば、犬も隣に座りたいのです。お気に入りのベッドで寝たいのです。
昼間はぐっすり眠っているのではないでしょうか。夕方から夜になると起きて、夜中になると活動的になり、部屋をウロつくことがあります。
老犬になると、寝ている時間が増えます。お留守番中などの昼間によく眠るため、夜になると眠れなくなってしまうのです。昼と夜の逆転は、老犬によくあることです。
3.不安な気持ちを紛らわせようとしている
老犬が夜中に部屋をウロつくのは、不安な気持ちを紛らわせようとしているためです。
不安になりやすいことには、認知機能の低下が関係していると思われます。よく見えない(視力の低下)、あまりニオイを感じられない(嗅覚の低下)、聞こえづらい(聴覚の低下)などです。
部屋をウロつくことで少しでも不安な気持ちを紛らわすことができるのであれば、自由に動き回らせてあげるとよいと思います。
まずは、安全対策を万全にしましょう。家具の角にはクッション材(コーナーガードなど)取り付ける、立ち入っては危険な場所にはペットゲートを設置するなど、出来ることはいろいろあります。
老犬は、床に置いてあるちょっとした物にもつまずいたり転倒したりしやすいです。コード類は出しっぱなしにせず、使ったらすぐに片づけましょう。部屋の真ん中にサークルを置き、その中を歩き回ってもらうのもよいと思います。
まとめ
老犬が夜中に部屋をウロつく理由を3つ解説しました。
✔認知機能の低下
✔思うようにいかずイライラする気持ちがある
✔不安な気持ちを紛らわせようとしている
老犬が部屋をウロつくとき、ただただ前進するのみで、体の向きを自由に変えたり、後ろ向きに歩いたりすることが難しくなります。
そのため、家具の間に入り込み、抜け出せなくなることがありますので注意しましょう。夜中であると飼い主も眠っているため、鳴くまで気づいてあげられないことがあると思います。
我が家の老犬もよく家具の間に入り込み、私が朝起きてくるまでそのままだった、などということもありました。寝る前に隙間を埋めるなど、対策するとよいでしょう。
(獣医師監修:寺脇寛子)