まさかの実話!中国警察に「闇バイトを強要された」男の物語『ジェリーの災難』が批評サイトで100%支持
老人と詐欺と……
固定電話のある家庭で生活していると、毎日のように詐欺まがいの営業電話がかかってくる。これは都心の単身者には無縁の話かもしれないが、たとえば実家住まいであればピンとくる人もいるだろう。高齢者を狙ったスカム、もといスキャム攻撃には辟易するとともに、その多彩な手口には感心すら覚える。
警察を騙って個人情報を聞き出そうとしたり、電話回線の更新を謳ったり、このままだとテレビが見られなくなりますよ、なんて高齢者のツボを突こうとしたり……。手口は本当に様々なわけだが、玄関のドアを開けさせて押し入る匿名・流動型犯罪なども報じられている今だから、高齢の親を持つ人々も気が気でないはずだ。
そんな限りなく黒いグレーな営業電話を受けていて、明らかに高齢者であろう“かけ子”に遭遇したことがある人もいるだろう。自分の両親と同じくらいか、訥々とした様子でマニュアルを読み上げる声を聞いて驚くとともに複雑な気持ちも湧いてくるが、迷惑電話の番号共有サイトではそうした老かけ子のリアルなエピソードも寄せられている。
3月20日(木)より公開の映画『ジェリーの災難』は、古希(70歳)目前の男性が脅しのような形で違法なスパイ行為を強要されたという、ウソのような本当の話を半ドキュメンタリー的に描いた映画だ。ジェリー氏は犯罪グループの詐欺ビジネスに手を染めたわけではないものの、まさに1本映画が作れてしまうレベルのトンデモな実話である。
実際に起きた驚愕の事件、なんと本人が脚本・主演で映画化
長年アメリカに住み、この地で成功することを夢見てきたジェリーは、いまや妻と離婚し、定年退職。3人の息子とも離れて、独りで暮らしていた。ある日、そんな彼のもとに中国警察から緊急の電話があり、国際的なマネーロンダリング事件の捜査で自身が第一容疑者になっていることを知らされる。ジェリーがフロリダに持つ銀行口座を通して128万ドルが違法に移動されているというのだ。
逮捕の上、中国に強制送還すると告げられたジェリーは、中国警察のスパイとして事件の捜査に協力させられるはめに。その後、数週間、銀行を監視して写真を撮る、極秘の送金を行う、さらには隠しマイクを着けて窓口係を探るなど、国際的なマネーロンダリング事件に対する捜査を手伝うのだったが……。
数カ月の間、この潜入捜査について隠していたものの、ジェリーはついに家族にすべてを打ち明ける。そして家族は、驚愕の選択をすることに――。
なぜ批評サイトで100%高評価? まさに「事実は小説よりも奇なり」な物語
定年退職した69歳のジェリー・シュー。まさか“スパイ”として潜入捜査に従事することになるとは、本人を含め誰も想像できなかっただろう。本作は、そんな信じがたい事件の当事者であるジェリーが実際にこなした“おとり捜査”などの激レア体験を、彼自身が脚本を書き、しかも主演俳優として自ら出演し、リアルかつサスペンスフルな映画として完成させたものだ。
本作はスラムダンス映画祭やサンタバーバラ国際映画祭など40もの世界映画祭で多くの賞にノミネートされ、最優秀主演男優賞を含む受賞歴を獲得。辛口で知られる某レビューサイトでは批評家スコアで驚きの100%を叩き出しており、その不思議な魅力について「奇妙で悲しい」「本人が主演する独特な演出」「移民であり高齢者の悲痛な物語」(※すべて意訳)などと高く評価されている。
無名のアジア系移民が高く評価された映画作品は過去にもあるが、皮肉な形でアメリカンドリームを実現させた(しかもスパイ映画の主人公として!)ジェリーとその家族の胸中は、一体どんなものだっただろうか。ぜひ劇場で事件の顛末とともに見届けて欲しい。
『ジェリーの災難』は3月20日(木)より全国公開