【新築移転】エイテック沼津本社流通センターを取材。テイルウォーク、アルファタックル等のブランドを世界に発信。代理店業も引き続き注力
(株)エイテックは2月10日、静岡県の沼津本社流通センターの新築移転を行った。広大な敷地に建つ新しい本社流通センターは最新の物流システムや釣り具の研究開発設備、スタッフの働きやすさを追求したオフィス等を備える。新社屋は新製品の開発機能の補完、また同社が展開するブランドの発信基地としても活用していく。今回の本社新築移転について、エイテックの池永朋也社長に話を伺った。
敷地面積2300坪、総床面積1363坪。物流効率化に加え商品開発の機能も
エイテックの新しい沼津本社流通センターは、沼津市足高の愛鷹(あしたか)フォレストパークという工業団地にある。同社の旧本社は沼津市常磐町にあり、海辺に近い場所だったが、新社屋は山側となる北向きに8㎞ほど移転した形となる。
新社屋の敷地面積は約2300坪(約7600㎡)、建物の総床面積は1363坪(約4500㎡)。釣具業界の中では大規模な建物だ。建物は2階建で様々な業務効率が上がるよう、こだわった設計が施されている。
まず新社屋の玄関付近には最大水深4mのプールがある。水中でのルアー姿勢の確認やアクションテストがすぐに出来る。
ラボと呼ばれる実験室も2部屋ある。1つには、竿の破断試験機があり、製品の検査等に使われている。もう1つはガイドラッピング等が出来るよう、竿を載せて作業がしやすい長机や、ラッピングが終わった竿を乾燥させる専用の機材も設置されている。
快適なオフィスはじめ働く人の事を大切に考えて設計された新社屋
オフィスもスタッフの働きやすさを第一に考えて作られている。フリーアドレスで使えるスペースや、集中した作業がしやすいコーナー、ウエブ会議にも使えるミーティングルームも多数用意されている。
ほか、スタジオ、食堂、テラス、大型の魚も捌ける流しなど、釣り具の企業として求められる設備が整えられている。
駐車場には5m毎にオレンジ色のラインが引かれたエリアがある。屋外でキャストのテストをした際に、飛距離が一目で計測できるようになっている。
物流面では、広い敷地も含めてトラックの導線を考えて設計され、大型のトラックや40ftのコンテナが入ってきた時も余裕を持って対応出来る。物流業務の作業効率は旧社屋と比べて格段に上がっている。
物流の倉庫は1階と2階にある。1階はピッキングから出荷まで、全ての物流業務がワンフロアで完結出来るようになっている。またシステムも新しいものが採用されている。小物類のピッキングもプロジェクターを使ってピックアップする商品の場所が知らされる。
2階は在庫スペースで段ボールに入った商品が高く積まれている。車両の向きを変えず横移動が出来るフォークリフトで商品の揚げ降ろしが行われている。
今回の新しい本社流通センターについて、エイテックの池永社長と中村専務に話を伺った。
(以下、池永社長と中村専務のインタビュー。編集部が要約)
「新社屋の候補地探しは2021年の3月頃から始めました。ちょうどその頃、この工業団地が出来るという事を知りました。場所や条件も良かったので、具体的な検討に入りました。
新社屋の設計は2021年から練り続けてきました。建物だけではなく、システムや什器、他の設備も様々な企業やサービスを吟味して導入しました。物流システムも数多くありますが、どれも一長一短です。多くのシステムを検討した結果、釣竿や大型のリール等の扱いも多い当社の業務に対応できるシステムを選びました。
敷地も広いので物流効率の良さにもこだわりました。旧社屋は住宅街にありましたから、トラックによる騒音問題もありました。また、周辺の道路も細いため40ftのコンテナを入れる事は出来ませんでした。20ftのコンテナも入れるかどうかは状況次第といった形でした。他にも社屋が3階建てでしたから、ピッキングする際にも、階を上がったり、下がったりする事も必要でした。
新社屋では、基本的な物流業務はワンフロアで完結できるので効率的ですし、スタッフへの負担も少なくて済みます。新しいシステムも導入し、ベテランスタッフではなく、派遣社員の方でもすぐに戦力となれる仕組みを整えました。
東京オフィスとの役割分担ですが、もともと東京は営業と企画開発、沼津は経理等のバックオフィスと物流機能を担ってきました。
基本的にこの分担は今までと変わらないのですが、新社屋が出来た事により、沼津でも開発に携われる機能を追加しました。ルアーをテストできる水槽や竿の破断試験機等もありますし、スタジオ等も作りました。製品の精度向上や表現方法の拡大、情報発信の強化など、今まで東京オフィスだけでは出来なかった事が出来るようになりました。
またカスタマーサービスも当社は重要視しています。当社のカスタマーサービスはお蔭様で高い評価を頂いていますが、新社屋はその精度を更に高める事にも貢献すると思います。
新社屋は既に稼働していますが、スタッフからの評判はとても良いです。若いスタッフも多いので、新しいシステムにも素早く対応してくれます。新社屋は単に本社物流センターというだけでなく、世界に向けた当社のブランドの発信基地にしたいと考えています。
当社は私で4代目となります。初代はテグスの商売を行っていました。祖父の時代から代理店業や富士工業さんとの関係が出来ました。先代はオリジナルブランドを立ち上げ確立していきました。そして私ですが、今までも力を入れてきたオリジナルブランドをナショナルブランドとして、国内はもちろん、世界にもっと広げていきたいと思っています。
国内についても、当社はまだまだ挑戦者の立場ですから引き続き力を入れていきます。祖父の代から続いてきた代理店業についても、今後もしっかりと継続していきます」。
エイテックの企業理念は「異端と独創」だ。フロンティア精神に溢れた会社で、創業時から常に挑戦を続けてきた。今回の新しい本社物流センターも、一つの大きな節目となるはずだ。今後のエイテックが注目される。
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