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富士山で相次ぐ救助要請 静岡県も自己負担検討へ “方針転換”に「また山梨に後れ?」

Shizuoka

写真はイメージ

■2か月連続で中国人大学生が救助要請 高まる自己負担論

遭難した登山者の救助費用を自己負担にする議論が活発になっている。現行のルール見直しを検討する山梨県の動きを受け、静岡県の鈴木康友知事は救助の有料化を検討するよう関係部局に指示したという。当初の見解からの方針転換を評価する声がある一方、「また山梨県に後れを取った」と嘆く県民も少なくない。

外国人を中心に、閉山期間の富士山で遭難して救助要請する登山者が相次いでいる。先月は中国人の大学生が5日間で2度も富士山に登って遭難し、救助要請した。今月も富士山を登山していた別の中国人大学生2人がSNSで救助を求め、警察の山岳救助隊が出動した。

危険が伴う閉山期間中の登山をやめるように行政や警察が呼びかけている中、救助要請がなくならない現状に、救助費用の自己負担を求める声が高まっている。“タブー視”されていた自己負担の議論に風穴を開けたのが、富士宮市の須藤秀忠市長だった。5月9日の定例会見で、こう話した。

「二重遭難になる危険もある中で、税金を使って救助隊が命がけで救助している。安易に登った人は自己責任。救助にかかる費用の一定割合を自己負担にすべきだと思う」

この意見に山梨県富士吉田市の堀内茂市長が賛同し、5月21日には山梨県が県の防災ヘリによる救助を有料化する検討に入った。現在は公費負担で救助費用の負担は発生しないが、遭難すれば多額の費用負担が生じることを明確にして閉山中の登山を抑止する狙いがある。

閉山期間中の登山はリスクが高まる富士山

■「国のマター」から方針転換 静岡県が山梨県に追随

静岡県は当初、“静観”する構えだった。「救助費用の自己負担を県に要請する」と話した須藤市長に対し、鈴木康友知事は13日の定例会見で次のように述べている。

観光客が殺到する富士山撮影スポット 「特にマナーが悪いのは…」

「国全体に関わる問題なので、国において課題を整理していただいて、ルールを無視した際の遭難救助費用の負担の在り方は国の方でしっかりと検討していただくのが良いと思っている。自己負担とする場合は法律を改正しないといけない。国のマターになる」

鈴木知事は「国が解決すべき問題」であり、県で対応するのは難しいという考えを示した。ところが、山梨県が有料化の検討を始めたことを受け、静岡県の報道陣は再び鈴木知事に県の見解を求めた。そして、鈴木知事は以下のコメントを発表した。

「山梨県が防災ヘリによる救助の有料化を今後検討していくことについては、報道により承知しています。救助の有料化にかかる検討につきましては、私からも関係部局に検討の指示をしたところであります」

「こうした事案は、全国的な問題であり、まずは国において課題整理を行うなど、遭難救助費用の自己負担のあり方を検討されることが望ましいと考えます。また、県議会でも特別委員会において、本事案にかかる検討をされると聞いています。本県においても、こうした動きを注視しながら、山梨県とも歩調を合わせて検討を進めてまいります」

■県民の意見は様々 「山梨と協力して」、「今回も山梨に先行された」

救助費用の自己負担をめぐっては、「救助は無償にすべき」という意見がある。ただ、「閉山中の登山者を救助する際は費用を負担させた方が良い」、「閉山中の登山には罰則も必要」という声が大勢を占める。

鈴木知事の“方針転換”について、県民は「静岡県だけで現状を変えるのは難しい面があるので、山梨県と協力して進める方が良い」、「国に任せていても時間がかかるので、山梨県に追随して、すぐに行動を起こしたのは評価できる」と評する。

一方、山梨県に先を越された印象を受けた県民もおり、「富士山の入山料も山梨県が先に導入した。今回も山梨県に先行された感じ」、「富士山に関する対応は山梨県の方が積極的に見える。山梨県と勝負するわけではないが、また、山梨県に後れを取った」と話す人もいる。

救助費用の自己負担を含めた新たな対策で、ルールを守らない登山者を減らせるのか。富士山を最大の観光資源とする静岡県と山梨県の動向が注目される。

(SHIZUOKA Life編集部)

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