斉藤謠子さんに聞いた、作品作りの工夫やお気に入りポイントとは?
斉藤さんが、これまで紹介してきたデザインの中から、何度もリピートしているアイテムや、少しずつ改良を重ねて自分好みに調整してきたデザインをセレクトした『斉藤謠子 私の好きな10の服』。売れ行き好調につき、発売後即増刷が決まりました!
幅広い層に対応できるようサイズも追加して、S~LLサイズのパターンをまとめた1冊です。
今回は増刷を記念して、斉藤謠子さんに作品作りの工夫やお気に入りポイントをうかがいました。
斉藤謠子先生に聞きました
――本に選んだ10着の服は、どうやって決めたのですか?
過去に作った作品もありますが、自分の体形に合うようにサイズを見直して作り直しました。09の「ヌビのベスト」はアームホールも下げて、着心地がゆったりするようにアレンジしています。私はフードつきの服が好きなので、08の「ジップアップパーカー」は特にお気に入りです。素材をかえていろいろと楽しんでいます。
――長く着ているうちに、かえたところはありますか?
服を着ているうちに「もう少しゆったりしていたらなぁ」と思うことがあり、最近流行のゆったりしたシルエットに合わせてデザインを調整したものもあります。また、昔はチュニック丈でお尻まで隠れる服が多かったけれど、今は少し短めの丈のほうがバランスがよく見える気がします。ただ、腰まわりが隠れるものは今でもよく着ています。
例えば、06の「Vネックワンピース」や01の「ボトルネックブラウス」はサイズをアップ。05の「パンツ」は、今回は柄物にチャレンジしました。トップスが無地だと、ボトムスは少し遊んでも楽しいですね。
――初心者でも作りやすい服は?
いちばん簡単なのは04の「Tシャツ風ブラウス」です。肩を縫って、えりの処理、そでをつけて、わきを縫えば完成! とにかく工程が少ないんです。
応用はポケットをつけるだけで雰囲気が変わります。私はチェック柄がぼんやりしているほうが好みなので、コットンフランネル生地で作りました。チェックをくっきり出したいなら布の、裏面を使ってもいいですね。
――難しかった作品は? どうすれば上手にできますか?
ちょっと苦労したのは09の「ヌビ」のジャケットです。キルティング生地なので厚く、縫い代の処理が大変でした。ポケット口を玉縁にしたり、ボタンもたくさんつけたりで、工程が多いんです。
でも、完成すると高級感が出て、大切な1枚になりますよ。私はボタンホールを手で仕上げることもあります。ヨーヨーキルトのボタンは手間はかかりますが、仕上がると達成感があります。
ピンクのヌビでベストも作りました。ピンクはふだんは小物でしか使わなかったけど、落ち着いたトーンなら着られるかなと思って挑戦してみました。年齢を重ねると明るい色を着るのもいいですね。
――作業するのはどんな部屋ですか?
広いスペースで作業すると楽です。型紙を作ったり、布を広げて裁ったりするには、大きな机がいいですね。床では姿勢がきつい……。なので、それらの作業はアトリエでしています。自宅では集中して縫える環境を整えています。
――あると便利な道具はありますか?
「ストレート歯のルレット」と「折り目つけローラー」です。出来上がり線を折っておくと、作業がスムーズにできます。
『斉藤謠子 私の好きな10の服』内容
斉藤謠子(さいとう・ようこ)
パッチワーク・キルト作家、布小物作家。洋裁、和裁を学んだあと、アメリカのアンティークキルトに興味を持ち、パッチワークを始める。雑誌などで作品を多数発表するほか、教室などで講師を務め、海外でも作品展や講習会を行うなど人気が高い。著書に『斉藤謠子の まいにちを楽しむ服とバッグ』、『斉藤謠子の わたしの大切なバッグとポーチ』、『はじめてのパッチワーク・キルト 斉藤謠子のトラディショナル・パターン』(すべてNHK出版)ほか多数。
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