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職場の先輩たちの顔色を伺っていたら、なんだか色々うまくいかない…どうしたらいい? お悩み#63

Sitakke

Sitakke

はーい皆さん、ごきげんよう!満島てる子です。

だんだんと春の陽気というやつから、初夏の鮮やかな日差しに変わりつつある昨今ですね。
みなさんはこの季節、いかがお過ごしかしら。
あたしといえば、最近友人たちから「塗らなきゃ絶対ダメ!」と背中を押されまくって、とうとう普段からしっかりと日焼け止めを塗る生活を始めました(遅い?)。

ライター・満島てる子

メイクして人前に出るのが仕事である以上、太陽光のお肌への刺さり方、ちょっとでも軽減しといた方がいいはずだもんね。使えるもんは使っちゃおう精神……なのですが。
おでかけの準備よっ!とクリームに手を伸ばすたびに、「嗚呼、人間のコミュニケーションのとげとげしさも、UVのようにサッと対策できたらいいのにぃ」と、心の中のポエマーがむっくり目を覚ますときもあったりして。やぁん、むずがゆいわぁ。

あら?今回のお手紙はまさにそんな、コミュニケーションのとげに悩まされている方からのものみたい。早速見てみましょう。

読者のお悩み:職場の先輩たちの顔色を伺っていたら、なんだか色々うまくいかない……

まさかの消印が三重県のお手紙!?故郷からの投稿とか嬉しすぎるんですけど!!
あーさんママ、こちらの相談コーナーを見つけてくれて、どうもありがとうね。

にしても、なかなか真剣かつ、複雑なお悩みを抱えてらっしゃるようで。
読んでる側としても、日々の生活を思い起こしながら「ああ……こーれは難しいよね……」と、思わず宙を見つめてしまったりもしました。

上司の部下のやり取りについて

まず、上司と部下の間のやり取りってやつ。
あたしは今の職場だと、おそらくどうしても「上司」というものに位置付けられがちなポジションにいるわけだけれど、昨日OKで今日NGってやつ、振り返ってみるとスタッフにやりがちかも……と、この相談文を見ながらまず反省。

ただ、言い訳したいわけじゃないんだけれど、そういうブレが出ちゃう時って正直常々あるんだよね。
だって、働いてみると皆がわかっていくんだろうなぁと思うんだけれどさ、仕事ってあまりにも非マニュアルで、あまりにもダイナミック。その様たるや、野生動物の生態とでも言うべき何か(営業なんて特にそうな気がする)。

だから、その時のシチュエーションによって、するべきこと/してはいけないことって変わってくる。一見似たような事例であっても、その分水嶺を判別する嗅覚が「GO!」を告げる場合も、「STOP!」と警告する場合もあるのよね。
もしかしたらあーさんママの上司も、そういう仕事人としての"第6感"みたいなものを大事にするタイプだったりするのかもしれない(いや、マジで単なる気分屋かもしれないけれどね)。

先輩たちの悪口問題について

先輩たちの悪口問題に関しては、なんとも言えないけれど……。苦笑
「聞いたら聞いたで」というのも、この"第6感"話と似たような理由で、あたしよくやっちゃうんだよね。

仕事って慣れるまでに時間がかかるから、わからないことがある間はぜひ聞いてほしい。
だけれど、なんでもかんでも「自分には全然わからないですぅ!」と質問しすぎる人っているじゃない?
そんな方と出会ったときは、割と冷静に「いやここは一回、みずから音を聞き、風向きを診て判断してごらん?間違ったとしても、それが経験値につながるから」とアドバイスしちゃったり。
あえて自分の思う正解の、半分までしか教えなかったりするのよね。
それこそその人の"嗅覚"って、その人自身で育てていくしかない部分もある。だからこそ、そうしてしまうんだけれど……。

とはいえ、下で働く側としては、怒られたり理不尽な扱いをされるっていうのはしんどいし、そのせいで萎縮せざるをえなくなっていて、先輩たちとのコミュニケーションに問題が発生しているとしたら、自分の成長にも、その職場というコミュニティ自体の成長にもつながらないよね。
難しいよなぁ(ちなみに、昔、新米女装だったとき、この手の悩みを抱えたことで、結構しっかり参っていた時期もありました)。

自分の今置かれたポジションなりのモヤモヤにも、それなりに思いを馳せつつ。
あーさんママが現在抱えているしんどさにも、共感するところがやはりあったりして。
「職場」という環境がいかに複雑なもので、だからこそ各人にとっていかに大切かつデリケートなものなのかということを、改めて考えさせられたりしていたのでした。


あたしなりのAnswer

さて、あたしは流石にあーさんママと同じ職場ってわけではないから、「じゃあまずあの先輩をこうやって攻略して……!」という、直接的かつ即効性のあるタイプのアドバイスはできないんだけれども。

今後似たような状況に直面したときも「あ、あのときと同じように、こうやって考えてみたら楽になるかも」というような、息長めのメッセージをあーさんママや読者の皆さんに贈ることができたならと思いつつ、この続きを書いていこうと思います。

では、あーさんママ。
あたし思うんだけれどね、あなた一回「ごっこ遊び」に興じてみてはどうかしら。

……いきなりすぎて「何言ってんだこいつ?」と思われちゃったかもしれないけれど。笑
これ、あたし割と本気。
生きるにあたって「ごっこ遊び」を習得しておくのは実に有意義なことだと、自分自身この何年間かでひしひしと感じてきたんです。

ちなみに、ここで言う「ごっこ遊び」なんだけれど、おままごとをせい!ってわけではなくて。
なんというか、真面目な言い方をすると「誰かがどう振る舞い、どうリアクションしそうか、自分なりのシミュレーションを身をもってやってみる」って感じかな。

じっくり観察して分析してみる(イメージ)

例えばですが、あーさんママの場合。
まずは気分屋さんだという例の直属の上司のこと、ぜひ今度からじっくり観察して、相手の趣味趣向や思考パターンなどを、その行動からつぶさに分析してみてほしいの。
口ぐせだとか、好きな食べ物やアーティスト、考えるときの手ぐせだとか、そのレベルでも全然いい。
より仕事に関係しそうなところでいくと、業務連絡に使いがちな文言というライトな要素から、お客様との距離感の詰め方に至るまで。
よくよく見て「おお、こいつこんな奴なのか」って、その生態の全容を把握してみてほしいんです。


得られた情報をもとに、相手になりきってみる

そして、その分析から得られた情報をもとに、相手になりきってその真似をしてみるというか。
その人を自分で「演じてみる」とね、これが不思議と、今までわからなかったことがすんなり腑に落ちたりする気が、あたしはしているの。

家に帰ってから実際の身振り手振りを伴いつつでもいいし(あたしは割と部屋でひとり芝居しちゃいます苦笑)、慣れてきたら脳内ででももちろんいい。
そうすると、映画『Wの悲劇』の「女優!女優!女優!」じゃないけれど(ご覧になったことあるかしら)、三田先生の語るように「勝つか負けるか」とまではいかなくても、相手が導き出しがちな「正解」めいたもの、逆に忌避しがちな「間違い」みたいなものまで、100%とはいかずともある程度、肌感で理解できるようになるんじゃないかなって思うんですよね。
あーさんママの上司の場合で言えば、今まで「気分屋」とだけ説明していたものが、もう少し具体的な肉付きをもって見えてくるようになるんじゃないかしらって。

このやり方がうまく身に馴染めば、しめたもの。
相談文にあったような「どういうタイミングでわからないことを聞いたらいいのか」って疑問が生まれたら、まずは一度様々な場面や内容を想定して、相手を演じて確認してみる。そうすると「これだ!」ってシナリオが時に見つかるはず。
職場の先輩たちの裏のギスギス感も、それぞれのキャラクターを演じつつ、その相性を確認してみちゃいましょう。「なるほど、こことここはこうかち合っちゃうのか」と納得できるかもしれない(これは、複数の役を演じるという意味で、少し応用技だけれどね)。
みんなの顔色を「見る」のではなく、みんなの顔色に「なってみる」。
これだけで、きっとあーさんママにとって今の職場、もっと息のしやすい場所になっていくんじゃなかろうか。

イメージ (舞台)

「この世は舞台、人は皆役者」とは、シェイクスピアの『お気に召すまま』の名台詞ですが。
あーさんママ、あなた、人見知りだとおっしゃるそんな自分の根本を、大きく変えようとか、捨てようとかだなんてしなくても大丈夫。
それよりも、もっと気楽に人生というお芝居を楽しみ、時にいつもつけない様々な仮面を身にまとって、思いっきり役者として今を演じ切ってみてはどう?
きっとそのパフォーマンスに没頭することができれば、上司や先輩たちはもちろん、それ以外の人たちとも、実りあるコミュニケーションをその先に得ることができるはずだから。

戯れに思える中に、真なるものを見い出せるときがある。
あーさんママにもそれが伝わるといいなぁと思いながら、「コラムニスト」というペルソナを楽しく生きるあたしが、西創成のとある一室にて、パソコンへと想いを綴っているのでした。

ま・と・め♡

というわけで、今回は「上司とのコミュニケーション」という話題について色々考えてみました。「ごっこ遊び」の大切さに気づき始めたのはいつの日だったかなぁ。

とはいえこのやり口、演じやすい相手もいればそうでない人もいるだろうし、あくまでシミュレーションだから、その成功率もまちまちなんだけれどね(最近もあたし、このやり方にあぐらをかいてたみたいで、大失敗した経験が)。
あと、なんで生き様を演技でトレースし難い相手に限って、恋愛的にも惹かれるのかしらね……って誰も聞いてないか!笑

皆様もそれぞれの舞台を、ぜひ素敵に華々しく生きてくださいませね
ではではまた次回。Sitakkeね〜!

***
文:満島てる子
イラスト制作:VES
編集:Sitakke編集部 ナベ子
***

満島てる子:オープンリーゲイの女装子。北海道大学文学研究科修了後、「7丁目のパウダールーム」の店長に。LGBTパレードを主催する「 さっぽろレインボープライド」の実行委員を兼任。 2021年7月よりWEBマガジン「Sitakke」にて読者参加型のお悩み相談コラム【てる子のお悩み相談ルーム】を連載中。お悩みは随時募集しています。

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