スピーキング力を上げる!濵﨑潤之輔先生の「ポケット語学」全力活用術【第2回】
独学でTOEIC®L&Rテスト990点満点を90回以上取得し、大手企業での英語研修を行ったり、大学で教壇に立ったりと大活躍中の濵﨑潤之輔先生。独学の達人でもある濵﨑先生が、英語学習アプリ「ポケット語学」の活用術を語りつくす連載の、第2回。テーマは「スピーキング力がアップする活用法」です!
※第1回(僕の「ポケット語学」活用法)はこちらから。
ポケット語学を使ってスピーキング力を上げていこう!
英語学習に取り組んでいるみなさんの動機はさまざまだと思います。TOEIC®L&Rテストで目標とするスコアを取りたいと考えている人、英検に合格したいと考えている人、仕事で使っている英語のレベルを上げていきたいと考えている人。まだ英語を話すことに自信がなく、少しずつ英会話力を上げていきたいと考えている人。例を一つひとつ挙げていくと、それこそ枚挙にいとまがありません。
ですが、そのさまざまな目的に向けて勉強している人の多くは、少なからず共通して「英語を話したい」、「自分の言いたいことを英語で相手にもっと伝えることができるようになりたい」という思いをお持ちなのではないでしょうか。今回の連載では、英語を話せるようになりたいと考えている初級者~中級者の方が、どのように「ポケット語学」を活用していけばいいのかについて、お話ししていこうと思います。
汎用性のあるセンテンスを見つけ出そう
英語を話せるようになるための王道は、「使えるフレーズを自分の頭の中にストックしていくこと」です。ここでは、「ポケット語学」に収録されている「ラジオ英会話」を例にとって説明していきます。「ラジオ英会話」は現時点で、2018年度~2023年度放送分までの6年度分が収録されています。(「ポケット語学」の中では、2018年度はシーズン1、2019年度はシーズン2…というように、シーズン番号が表記されています)
2023年度放送分(シーズン6)の「WEEK 1 ー LESSON 2」には、以下のような会話文が収録されています。
Gary: Helen, sorry to be late. I went to the wrong gate.
Helen: No problem. Yeah, this stadium can be confusing. All the gates look the same.
Gary: So, have they started the concert yet?
Helen: Yes, they played “Marborough Fair” at the beginning.
Gary: They already played that song?I wanted to hear it!
Helen: I was surprised. They usually save that classic song for the middle of the concert.
Gary: That really sucks! It’s my favorite Desperate Rats song.
Helen: Well, maybe they’ll play an encore later.
「ラジオ英会話」であれば、これが1日分(1回分)の放送で扱われる分量の会話となります。連載の第1回でお伝えしたやり方で学習をしていただき、さらにスピーキング力を向上させたいと考えているのであれば、まずは上記のやり取りの中から「自分が気に入ったセンテンス」を1つ選んでください。スピーキングを行う際により応用がきき、より多くのことを英語で話せるようにためには、「汎用性のあるセンテンス」を選ぶことが肝要です。
I went to the wrong gate. であれば、gateをstoreやplace、stationなどに入れ替えればよいですし、All the gates look the same. であれば、gatesをbooksやitems、boysなどに置き換えることが可能です。It's my favorite Desperate Rats sons. であれば、バンド名をあなたの好きなバンド名に入れ替えてみてください。名詞や動詞の部分が他の単語に入れ替えられそうな文を使って、あなたの表現の幅を広げていきましょう。
たとえば上記の会話文でいうと、Garyが会話の中盤で発したセリフの中に、I wanted to hear it! 「僕はそれを聞きたかった」があります。
1日1フレーズをマスターするだけで十分
I wanted to hear it! にあるI want to doは、「私は~したい」という意味です。doの部分をさまざまな「動詞+α」の表現に置き換えてみてください。ご自身のやりたいことを英語にしてみるとよいですよ。まずは簡単な日本語で考えてみましょう。3つほど、今の自分がやりたいことを挙げてみてください。コツは、できる限り簡単な表現を使おうと意識することです。以下に例を挙げてみます。
1 私はゴルフがしたい。
2 私は買い物に行きたい。
3 私は焼き肉が食べたい。
1は「ゴルフをする」、これはplay golfと言います。2は「買い物に行く」、これはgo shoppingと言います。3の「焼き肉を食べる」はeat yakinikuと言います。これらをI want toの後ろにつなげると以下になります。
1 I want to play golf.
2 I want to go shopping.
3 I want to eat yakiniku.
このように、I want to doを覚えることに加えて、自分の言いたいことを動詞+αの形でいくつか覚えることにより、自分のやりたいことをすぐに言える状態になれるのです。
1回分のレッスンに登場する表現は、それこそ宝の山なのですが、無理せず1レッスンから1フレーズだけ覚えようと決めることによって、学習を続けていくハードルが下がります。余裕がある人は、1レッスンの中から汎用性のあるセンテンスを1つ覚えることにするのに加えて、いわゆる「決まり文句」も1つ覚える、とするのもよいでしょう。
上記のレッスン内の表現であれば、以下のセンテンスをそのまま覚えるのがおすすめです。
1 Sorry to be late. 遅れてすみません。
2 No problem. 大丈夫です。
3 I was surprised. 私は驚きました。
4 That really sucks! 本当にがっかりです。
なお、「ポケット語学」には覚えておきたいフレーズを登録できる機能もあるので、そちらも活用してくださいね。
勉強貯金のすすめ ––– 週に7日ではなく、週に4日勉強することにしておこう
「ラジオ英会話」は現在週に5日、月曜日~金曜日まで毎日新しい内容が放送されています。ただし、金曜日は「復習回」なので、実質毎週4回分のLESSONが行われているわけです。「ポケット語学」に収録されているLESSONも1WEEKあたり4回分なので、「週に4日間はポケット語学を使って〔ラジオ英会話〕の勉強をしてみよう」という感じで学習を進めるようにしましょう。そして、残りの3日間は「予備日」とし、勉強することができなかった日の学習を補うために使うようにしてください。逆にスムーズに4日分の勉強を終えることができた場合には、残りの3日間を「翌週分の先取り学習」に充てるのです。
このように「勉強貯金」を作ることによって、翌週体調がよくなかったり、仕事で会社から帰るのが遅くなって勉強するための時間を取れなかったりした場合に対応するようにします。学習を進めていくうえでいちばん大切なことは、ご自身が無理なく楽しく毎日取り組むことができるペースをつかむこと、です。引き続きがんばっていきましょう。日々笑顔で「ポケット語学」に取り組むことができますよう、心より願っています。
プロフィール
濵﨑潤之輔(はまさき・じゅんのすけ)
大学・企業研修講師、書籍編集者。早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。これまでにTOEIC® L&Rテス ト990点(満点)を90回以上取得。現在は、明海大学、獨協大学、早稲田大学エクステンションセンターなど、 全国の大学で講師を務めるかたわら、ファーストリテイリングや楽天銀行、SCSK(住友商事グループ)、エーザイ、オタフクソースといった大手企業でもTOEIC® L&Rテスト対策の研修を行う。
公式サイト: https://linktr.ee/junnosuke_hamasaki
Xアカウント: https://x.com/HUMMER_TOEIC
■写真:平賀正明
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