【2025年4月~】雇用保険改正で働き方が変わる!注目点まとめ
2024年5月に改正雇用保険法が成立したことにより、2025年4月から雇用保険法が順次施行されます。今回の改正法施行は雇用保険制度の適用対象の拡大や、失業給付の制限緩和、育児休業給付金の拡充など、多岐にわたる内容となっています。
これらの変更は多様化する働き方や社会情勢の変化に対応するために行われるもので、私たち働く世代に直接影響する重要な変更点が含まれています。今回は、改正内容をできるだけ分かりやすく解説していきます。
雇用保険とは
雇用保険とは、労働者が失業した場合や育児・介護休業を取得した場合などに、一定の給付を受けられる国の制度です。労働保険の一部として、事業主と労働者が保険料を負担し合い、保険者である国が保険給付を行います。
雇用保険法に基づいて運用されており、雇用保険に加入している人が失業した時に支給される失業等給付や育児休業給付など、ライフステージに応じた給付を受給できる点が特徴です。
今や正社員だけでなく、一定の条件を満たすパート・アルバイトも加入することになっており、社会全体を支える重要な制度へと変化してきました。今回の改正は、この雇用保険の給付内容や加入範囲を見直すもので、労働者にとってより利用しやすい仕組みへと整備が図られています。
2025年4月施行の雇用保険法改正、その概要と目的
雇用保険は時代の要請や働き方の変化に合わせて、たびたび改正が行われてきました。2024年5月に成立した改正雇用保険法では、多様化する働き方や社会情勢の変化に対応することを主な目的としています。その施策として2025年4月から順次以下の項目が大きく見直される予定です。
2025年4月施行
・失業給付(基本手当)の給付制限期間の見直し
・育児休業給付金の拡充
・就業手当の廃止
・高年齢雇用継続給付の見直し
2025年10月施行
・教育訓練休暇給付金の新設
2028年10月施行
・雇用保険の適用対象拡大
改正雇用保険法、中身のポイント4つ
今回の改正では、様々な項目が見直されました。ここでは、特に注目すべき4つの改正点についてポイントをご紹介します。
失業給付に関する給付制限期間の見直し
2025年4月から自己都合退職の失業給付の給付制限期間が「2カ月」から「1カ月」に短縮されます。待機期間(7日間)を含め約1カ月半で給付が開始されるようになります。これにより転職活動中における金銭的負担の軽減が期待できます。しかし5年以内に3回以上自己都合退職した場合は、給付制限期間が3カ月となりますのでご注意ください。
また教育訓練を受講した場合、給付制限が解除され、待機期間後すぐに失業給付を受け取ることができるようになります。この制度は2025年から自主的な教育訓練にも適用されます。
育児休業給付の新設
2025年4月から「出生後休業支援給付金」が創設されます。育児休業給付金と出生後休業支援給付金を合わせて受給すると、最大28日間は賃金額面の80%(手取りで10割相当)の給付金を受給できるようになります。男性の育児参加を促進する狙いもあり、男女ともに育児と仕事を両立しやすい環境づくりが進められていると言えます。
高年齢雇用継続給付の見直し
2025年4月から60歳以上65歳未満の労働者に支給される「高年齢雇用継続給付」の支給率が現行の「15%」から「10%」に縮小されます。高年齢雇用継続給付とは、60歳以上65歳未満の労働者の賃金が低下した状態で働き続ける場合に支給される制度です。少子高齢化が進む中、シニア層の就労促進や長期雇用を支える重要な給付とされています。
雇用保険の適用拡大
2028年10月から、雇用保険の被保険者の要件における週所定労働時間が「20時間以上」から「10時間以上」に変更され、雇用保険の適用対象が拡大されます。これにより今まで雇用保険の対象外だったパート・アルバイトの人も要件を満たせば対象となります。
非正規雇用の増加や多様な働き方が進む中で、雇用の安定性の向上を期待できます。雇用が途切れた際の保険給付を受けるハードルも下がり、労働者も安心してキャリア形成やスキルアップを図れる環境が整備されることになると言えるでしょう。この改定により、新たに雇用保険の対象となる人は約500万人と言われています。
FP視点のアドバイス!改正内容の活用方法
転職を考えている方や副業・複業を検討している方は、失業給付の給付制限の見直しや雇用保険の適用拡大をきちんと把握しておきましょう。教育訓練支援制度を活用すれば、スキルアップしながら次の仕事を探すことも可能です。
また結婚・出産を予定している方は、育児休業給付の新設や保険給付率の改定内容を確認しておくと安心です。夫婦そろって給付を受けるプランを立てることで、家計のダメージを最小化しながら子育てに専念できます。職場への相談も早めに行い、自分に合った育児と仕事の両立を考えておきましょう。
一方、高年齢雇用継続給付の縮小に伴い、定年退職が間近な50代後半の方は退職後の収入計画について良く考えておきましょう。近年、多くの企業が定年退職年齢の延長や継続雇用制度により65歳まで働ける環境が整いつつありますが、ご自身の勤務先が60歳以降も働くことができるのか、給与の条件はどうなるのかをよく確認しておくことが必要と言えるでしょう。
まとめ
今回施行された改正雇用保険法は、失業給付の給付制限短縮、雇用保険の適用拡大、育児休業給付の拡充、高年齢雇用継続給付の見直しと、若年層だけでなく全ての労働者にとって大きな節目となる内容が盛り込まれています。
失業給付に関する給付制限の見直しによって自己都合や転職にも柔軟に対応できる環境が整備されます。雇用保険の適用拡大によって、多様な働き方を選択する人でも安心して保険給付を受けられるようになります。さらに育児休業給付の拡充によって、ライフステージごとの支援制度も充実する方向で動いています。
20~30代の皆さんは、これから結婚・子育て・キャリアアップなど、多彩な選択肢を前にしている時期かと思います。雇用保険制度は、こうしたライフイベントに寄り添う形で進化を続けています。
4月からの改正内容を正しく理解し、より良い働き方を検討する一助としていただければ幸いです。雇用保険に対する理解を深め、安心して働ける環境を一緒に築いていきましょう。