『ブレードランナー 2049』製作会社、イーロン・マスクとワーナーを訴訟 ─ 無断の生成AI画像がRobotaxi発表に使用され
映画『ブレードランナー 2049』(2017)の画像に基づく無許可の生成AI画像をイベントで使用されたとして、製作会社アルコン・エンターテインメントがテスラ社とイーロン・マスク、さらにワーナー・ブラザース・ディスカバリーを訴訟した。
“お騒がせ”イーロン・マスクは2024年10月10日(現地時間)、テスラ社の新たな自動運転車両“Robotaxi”を発表。米カリフォルニア州バーバンクのワーナー・ブラザース ディスカバリー社で行われたRobotaxi車両のデモンストレーション走行イベントでは、プレゼンテーション内で『ブレードランナー 2049』の象徴的な場面を彷彿とさせる生成AI画像が使用されていた。
『ブレードランナー2049』では、ライアン・ゴズリングが演じた主人公が、荒廃した砂漠都市を車両とともに望む形で佇む背を切り取ったカットが登場。伝えられるところによれば、ワーナー・ブラザースはイベント前日に映画の画像や映像の使用許諾を求めてアルコン社にコンタクトしたが、同社はマスクと作品を関連づけることを望まず、これを拒否していた。
(C) 2017 Alcon Entertainment, LLC., Columbia Pictures Industries, Inc. and Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.
するとイベントでは、同画像を模倣したかのような生成AI画像が登場。Robotaxiに乗って登場したマスクがプレゼンテーション冒頭で「暗くて陰惨な未来が描かれるSF映画はたくさんありますね」と語る場面で、『ブレードランナー 2049』を再現したかのようなディストピア未来を描く画像が登場する。その左上部には、”NOT THIS(これじゃない=このような未来にはしたくない)”と描かれている。
https://www.youtube.com/live/6v6dbxPlsXs?si=W5xccURdYUWEMR8l
この画像を投影しながら、マスクは「私は『ブレードランナー』が好きですが、こういう未来は求めていませんよね。彼が着ているロングコートは良いのですが」とジョークを挟んでおり、映画を意図したことを仄めかしている。同画像が約11秒間使用されたこのはライブストリーミングで世界中に配信され、映像は本記事時点で200万回以上視聴されている。
アルコン社は、マスクが『ブレードランナー 2049』の画像使用が拒否されたことや、使用が不適切であったことを個人的に知っていたにも関わらず、あえてプレゼンテーションに組み込んだことを問題視。映画を模倣したと考えられる生成AI画像によって、『ブレードランナー 2049』ブランドがテスラの販売に悪用されたと訴えた。
『ブレードランナー』シリーズは、現在で新ドラマ「ブレードランナー 2099」が撮影中で、アルコン社はこの新作でのパートナーシップについて、別の自動車ブランドと協議中という。この度のテスラ社による画像転用が、こうしたパートナー顧客の間で混乱をきたす可能性が高いと主張した。
なお、この度テスラが発表したRobotaxiを含む一連の「We, Robot」コンセプトについては、映画『アイ,ロボット』(2004)のデザインに似ているとして、アレックス・プロヤス監督も「デザインを返してくれ」としている。
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