浦島坂田船、夏ツアー『Weddiing』でファンと誓い合った明るく幸せな未来 La La arena TOKYO-BAY公演をレポート
浦島坂田船 SUMMER TOUR 2024 Weddiing
2024.8.3 LaLa arena TOKYO-BAY
7月10日にニューアルバム『Weddiing』をリリースし、そのアルバムを掲げたアリーナツアー『浦島坂田船 SUMMER TOUR 2024 Weddiing』(全6ヶ所12公演)で各地を甘く盛り上げている浦島坂田船。浦島坂田船とは、魅力的なビジュアルと歌声で人気の歌い手、うらたぬき、志麻、となりの坂田。、センラからなる男性ボーカルユニットだ。8月3・4日は関東エリアに誕生した新しい会場、LaLa arena TOKYO-BAYでライブが開催され、多くのcrew(=彼らのファンの総称)が集結。広い会場を埋め尽くした。ここでは8月3日のDAY1公演の模様をお伝えしよう。
千葉の南船橋に誕生したLa La arena TOKYO-BAYは日本武道館と同程度のキャパを誇る会場。いつもはそれぞれの推しのメンバーカラーのアイテムを身につけるcrewが多いのだが、今回は“Weddiing”というコンセプトだけに白い服がとにかく目立つ。中にはウェディングドレス風のコスチュームにティアラをまとった本格的ファッションの女子も! グッズでもティアラはもちろん、マリッジリングや白タキシードを着用したメンバーのイラスト商品が並び、セレモニー気分を刺激。開演前の場内アナウンスでは“座席”が“お席次表”と呼ばれるなど、徹底したこだわりも。ステージ中央から伸びた花道の先にはセンターステージが設営されており、“みんなの近くに行くよ”というメンバーの思いも感じられる。
開演時間になると、「新郎新婦の準備が整いました」という案内が響き、場内が暗転。ライブ……いや、セレモニーがスタートした。まず、マリッジリングを手にする各メンバーの映像がスクリーンに映し出される。そのまぶしい表情に客席からは悶絶の嬌声が起こった。オープニングSEで観客が総立ちになると、そこに鳴り響くウェディングベルの音。まるでチャペルのようなセットのステージに白タキシードのメンバーが登場すると、crewの声援とテンションは爆上がり! 客席はメンバーカラーのペンライトが瞬き、場内はいつも以上にキラキラの魅力をふりまくメンバーに声援を送った。
最初に披露したのはアルバム『Weddiing』の1曲目に収録された「アダマントリング」。アダマントとはダイヤモンドの語源になったとされる言葉で、象徴的なラブソングにピッタリのタイトルだ。2曲目の「アイドルっぽい曲を作った。」では、黒タキシードのダンサー達も登場してゴージャスなステージを盛り立てる。続く「僕のシンデレラ」も「アイドルっぽい曲を作った。」同様、既存の曲ながら“Weddiing”コンセプトにハマる楽曲達。このあたりのセットリストにも“Weddiing”への配慮が感じられる。
4曲目の「世界で一番好きな名前」では、ステージの下手と上手の通路にトロッコ車が2台ずつ出現。上手からはとなりの坂田。とセンラ、下手からはうらたぬき、志麻が乗り込んで、アリーナの通路をまわり始めた。スタンド席のオーディエンスからも全方向を向いて手を振るメンバーの姿がよく見える。この流れで「SHOW MUST GO ON!!」へ。客席からは歌声も響き、前半からかなりの熱量を生む。
トロッコ車がメンバーを再びステージへ運ぶと、今度は4人がセンターステージへと移動。そして、休む間もなく「Save Me」へ。華麗なダンスを披露しつつ、キュートネスをダダ漏れさせるうらたぬき、安定のイケメンオーラを放つ志麻、やんちゃな魅力をふりまくとなりの坂田。、そして歌唱力の高さで魅了するセンラ……パフォーマンスには、それぞれの個性がしっかりにじむ。この異なるキャラが浦島坂田船の最大の魅力。「ホワイトプリンス」でも目まぐるしいボーカルローテーションを駆使して飽きさせない。まぁ、これは浦島坂田船のライブの鉄板の光景だが、忘れてはいけない。この日はウェディングなのである。なんと、ここで「新郎新婦から誓いの言葉を……」のアナウンス。会場の観客には「そして新婦……あなたは病める時も健やかなる時も常に浦島坂田船を愛し、守り、いつくしみ、支え合うことを誓いますか?」と宣誓が促されると、「誓いま~す!」と、crew達が一斉に声を揃えた。この団結力には感服。続けて「それではおふたりにうかがいます。本日おふたりはここに集まった皆様に見守られて、晴れて夫婦となることができました。この喜びを忘れることなく、力を合わせて明るく幸せな家庭を築くことを誓いますか?」という問いかけがなされると、メンバー4人と観客全員が「誓います!」と声を合わせた。直後にカウントが入り、「Mermaid」へ。超アッパーチューンで、場内のテンションが一気に上がる。2人で築いていく生活を描いた「フレテ」も、胸に刺さる優しさや強さが伝わる曲で、一気にマリアージュ気分が高まった(ちなみにこの曲は人気BLドラマ『彼のいる生活』の主題歌としても話題に)。テンポよく続いた前半のあと、ここで映像タイムへ。この映像は、浦島坂田船の結成時期からのヒストリーを懐かしいシーンを交えながら追っていくと内容。こういうムービー、もしかしたら結婚式で新郎新婦の成長をまとめた感動の映像のようなもの……なのかもしれない。改めて、彼らの約11年にわたるヒストリーの重みを実感することができた。
と、ここでまたもアナウンスがあり、「これよりキャンドルサービスを行います。皆様、どうぞ大きな拍手でお迎えください」と、またもやテンションの上がるイベントをぶっこんできた。白タキシードからそれぞれの個性に合わせた色合いのスーツに着替えたメンバーが登場して(まさにお色直しといったところ)、キャンドルに点灯。甘いムードが流れたところでここから『Weddiing』収録の「シックスセンス・ベル」へ。その後、「スタンダップ、プリーズ! 一緒に楽しみましょう!」と志麻が観客を鼓舞し、「幸せのレシピ」を披露。「幸せのレシピ」ではステージに運ばれたケーキをパクリと食べるキュートなメンバーの姿もスクリーンに映され、crewは絶叫。次々に展開する進行をこなす4人の体力には感服させられた。
見どころ満載のセレモニーは中盤へ。ここからはメンバーのソロコーナーへと突入していく。最初に登場したのはうらたぬき。客席のペンライトが彼のメンバーカラーのグリーンに染まる中、「メリメリ」を熱唱。彼の持ち味である繊細なハイトーンで場内を魅了した。続いて場内を赤のライトに塗り替えたのはとなりの坂田。やんちゃな雰囲気をまとう彼が歌うのは「マグネティック」。情熱的な楽曲で熱いパフォーマンスを見せつける。このあとは再びうらたぬきがとなりの坂田。と合流。crewとの掛け合いもバッチリな「妄想注意報」で、会場の一体感を作り上げた。
続いてはパープルのライトに迎えられて、志麻が登場。彼はタオルを手にはじけるようなアッパーチューン「Killer Killer My Love」をダンサーと共に歌い上げ、フェスのようなノリで躍動した。このあとはまたガラリと雰囲気が変わり、ペンライトはイエローに……というわけでセンラのターン。安定感のある歌声で「Flashback」をしっとりと歌い上げる。次の「Treat You Better」は志麻とのデュエット曲。激しめのダンスで逞しい側面を見せつけた。
さて、ここでようやく4人揃ってのMCタイムへ。それぞれが個性あふれる胸キュンフレーズを披露したり、ステージ上で乾杯したりと、“Weddiing”のハッピーな空気をキープ。
そして本編はラストブロックへ。18曲目はアゲアゲ調の「シャララ」。曲後半ではメンバーがセンターステージへ移動し、全方位の客席に視線を投げつつ、ボルテージを上げていく。続く「むしろ Why?」でメンバーがジャケットを脱ぐと、場内は絶叫の渦。ここにきてもメンバーは疲れを見せず、ダンスを披露。そこからメインステージに移動すると、「生き証人」で、またも待ち受けるトロッコ車にメンバーが分乗。下手からとなりの坂田。と志麻、上手からうらたぬきとセンラが通路を移動していく。21曲目の「フレンドシップ」冒頭でメインステージに戻ると、アツい男、となりの坂田。が場内を煽る。crewからは拳が上がり、ちょっと“Weddiing”を忘れる瞬間も(笑)。
こうして本編はラスト1曲を残すのみ。センラは「あっちゅ~まやねんけど!」と驚きの表情だ。ラスト曲の「+」は元気がもらえるナンバー。うらたぬきの「歌って~!」の声に場内から大きな歌声が起こる。ここは一体感でライブをシメるという、浦島坂田船らしい隙のないフィニッシュとなった。
まだまだ終われないcrew達からはアンコールがかかる。本編ではセレモニーから披露宴……という流れだったが、アンコールはやはり友達と楽しむカジュアルなパーティーといったところ。再びステージに戻ってきたメンバーはラフなグッズTシャツに着替えて登場し、沖縄サウンドをフィーチャーした「ハイサイ守護礼」で、アンコールをスタートさせた。そして、これでもかとばかりにトロッコ車を再々導入。はじけるようなラブソングにのせてアリーナを1周。志麻が「みんなの声を聞かせてくれ~!」とお祭りムードを高めていく。トロッコからメインステージに戻ると、となりの坂田。が「写真を撮りませんか~?」と提案。ウェディングの列席者(もしくは当事者?)となった満員のcrew達と共に記念撮影が行われた。全員、結婚指輪を見せるポーズでキメたのもいい思い出になったはず。ステージ上ではメンバー間で「結婚したね~」「そうだね~」と、何ともほのぼのとした会話が繰り広げられる。
さて、セレモニーもついに大詰めとなり、大ラス曲へ。ここで選ばれたのは「ヘウレーカ」。最後にcrewと一体になれる曲を持ってくるのは、やはりさすがの流れ。全員でジャンプするタイミングではキラキラテープも発射され、セレモニーは完走。ただ、これで終わりかと思ったら大間違い(笑)。最後にトロッコで場内をもうひとまわりしてくれたのだ。ファンサ……いやいや、もはや家族サービスと言うべきか? crewへの愛の深さ、感謝の思いが伝わってくる。
いつも惜しみなくcrew愛を伝えてきた浦島坂田船だが、“Weddiing”という究極のテーマを通して、多くの人に自分達の気持ちをより具体的に表現したかったのかもしれない。
終演後も、当日のオフショットを映像で流すなど、ギリギリまで演出にこだわっていたようだ。映像の最後には“これからもどうかよろしくね”というメッセージが映され、場内はほっこり……。この先、浦島坂田船とcrew達の固い絆は末永く続いていくに違いない。次なるライブがまた楽しみになった。
文=海江敦士
撮影=堀卓朗(ELENORE)、鈴木彰