「民主主義が壊れかかっていた」石川県穴水町のドキュメンタリー映画が公開予定
大竹まことがパーソナリティを務める「大竹まことゴールデンラジオ」(文化放送・月曜日~金曜日13時~15時30分)、5月14日の放送に石川テレビのディレクターで映画監督の五百旗頭幸男が出演。5月17日に公開となる監督映画『能登デモクラシー』を語った。
大竹まこと「石川県穴水町が舞台になっている、今回の映画『能登デモクラシー』。どんな作品か簡単に説明していただけますか?」
五百旗頭幸男「能登半島の真ん中辺りにある、人口7000人を切った穴水町。そこは民主主義が壊れかかっていたんですね。そこで手書き新聞によって町を変えようと、滝井元之さんという、いま80歳の元中学校教師の方が活動しておられる。その方を中心に、コンパクトシティ政策によって切り捨てられていく周辺、限界集落の人たちのたくましさが、能登半島地震があったことで目立った。そういったものを描いた番組を去年5月に放送したんです」
大竹「はい」
五百旗頭「すると放送をきっかけに町長しかり議員しかり、町民しかり、町がだんだん変わっていくという。そこまでを描いて。それによって、壊れかかっていた民主主義が再生していく、という芽吹きを見ることができる物語です」
大竹「地元メディアの中で、どれぐらいカメラを回したことになりますか? (昨年)1月1日の震災は撮る予定だったわけではない」
五百旗頭「能登半島地震の1年前から取材に入っていました。なのでもともと『過疎と民主主義』というテーマで。震災は完全に想定外の出来事でした」
大竹「がんばって仮設住宅が建つわけだ。仮設の手前は川? ギリギリに建っていて、こんなところにできるんだ、と思いました」
五百旗頭「穴水町に限らず、場所がなくて。川、海のすぐ近くに仮設住宅がある、というのは穴水に限ったことではないんです」
大竹「前回は石川県知事選を扱った『裸のムラ』という映画でした。今回、穴水町を舞台にしようと思った理由はなんですか?」
五百旗頭「前作の主人公のひとり、中川生馬さんという方が穴水町に住んでおられて。当時から町役場がおかしいぞ、ということは雑談の中で聴いていたんです。2020年の暮れにじつはいまの町長は社会福祉法人の理事長を務めているんですけど、新しい施設を街なかにつくるけど、そこに国や県の補助金を流し込もうとしている、という話を聴いて。そんな露骨なことできるんだ、と思って、詳しく調べていくと、新しい施設を建てようと持っていたかというと、辞めたばかりの前町長、石川さんが大半を持っている土地だった、と」
大竹「はい」
五百旗頭「そういうことが分かって。これはまずいな、と、本格的に取材に入りました」
大竹「前の町長が売る、という話だったのが途中から貸す、辞退しよう、みたいな話になりましたね」
五百旗頭「だからずっと前町長にお金が入り込む仕組みに。まっとうなら議会でハネられる話です。それが異常だな、と」
大竹「小さな町で、いろんなことが当たり前のように古い習慣が残っているというか」
五百旗頭「長年、こびりついたものというか。それがおかしいと思わない、当たり前に続いてきたことだから。もしかしたら悪気がない状態なのかもしれません」