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“ジョン・ウィック”ではないからこそ、面白い。『バレリーナ:The World of John Wick』が描く、もう一つの復讐譚【アニメファンのための映画ガイド 連載第2回】

アニメイトタイムズ

写真:アニメイトタイムズ編集部

毎シーズンの新作のチェックに追われている、アニメファンの皆さんーー気づけば「洋画」はちょっと後回しになっていませんか? 食わず嫌いで、あの圧倒的な映像体験を選択肢から外してしまうのは、あまりにもったいない!

生身の人間が繰り出す痛みの伝わる一撃、計算され尽くした振り付け(コレオグラフ)…実写映画の肉弾戦でしか得られない興奮がきっとあるはず。

アニメファンにこそ観てほしい洋画の魅力をお届けする本連載。第2回は、まさにそんな“実写アクションの極地”、『ジョン・ウィック』の世界から放たれる新たな物語『バレリーナ:The World of John Wick』です。

前回はこちら

【写真】『バレリーナ:The World of John Wick』が描く新たな“伝説”【アニメファンのための映画ガイド】

今作の核はアナ・デ・アルマス!シリーズを彩る豪華キャストも集結

物語の主人公は、一流のバレリーナにして暗殺者でもあるイヴ。幼い頃、目の前で家族を殺された彼女は、ジョン・ウィックを育てた犯罪組織「ルスカ・ロマ」で、復讐のためだけに殺しの腕を磨いてきました。ある任務をきっかけに仇の手がかりを掴んだ彼女は、組織の掟を破り、巨大な陰謀へと単身で挑みます。

今作の監督は『ダイ・ハード4.0』などのアクション映画を得意とするレン・ワイズマン。この新たなヒロインを支えるように、ジョン・ウィック役のキアヌ・リーブスをはじめ、ウィンストン役のイアン・マクシェーン、今作が遺作の一つとなったシャロン役のランス・レディック、ルスカ・ロマの首領役、アンジェリカ・ヒューストンといったシリーズの魂を受け継ぐキャストが集結。さらに、『ウォーキング・デッド』のノーマン・リーダスや名優ガブリエル・バーンが加わり、物語に新たな深みを与えています。

これだけ豪華な面々が揃う中、主人公イヴを演じるのは、キューバ出身のアナ・デ・アルマス。彼女の息をのむほどの「カッコ可愛さ」は今作の核と言っていいでしょう。

『ブレードランナー 2049』などで注目され、『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』でボンドと共に戦う新人工作員を演じたアナ・デ・アルマスですが、今作では“未完成”の殺し屋を鮮やかに演じ、計り知れない魅力を放っています。

リアリティの中にコミカルな要素が光る『ジョン・ウィック』シリーズならではのアクションも健在。敵の返り血を浴びる復讐鬼の姿と、アナ自身の可憐さが融合し、キアヌ演じるジョンとは違う「未完成ゆえのカッコよさ」を感じられるのです。

「伝説の男」と「復讐の少女」――対極から生まれる新たなアクション

ジョン・ウィックを演じるキアヌ・リーブスは、恵まれた体格を持つ男性です。彼が繰り出す「ガンフー」は、圧倒的なスキルとパワーで敵を制圧する、まさに“伝説”の名に相応しい戦い方。

一方、今作の主人公イヴは、ジョンとは対照的な小柄な女性。当然屈強な殺し屋たちとの戦いは、苦難の連続です。彼女はまだ新人の殺し屋であり、その戦い方はジョンのものよりも、遥かに泥臭いもの。『ジョン・ウィック:パラベラム』でもハル・ベリー演じる女性の殺し屋・ソフィアが華麗なガンフーを見せてくれましたが、彼女の場合は愛犬との共闘がメインでした。今作のイヴは、より孤独で、より必死です。

アイススケート靴をヌンチャクのように振り回し、手榴弾の束を抱えて至近距離で戦う。肉体的な不利を埋めるため、より独創的な戦い方が披露されます。ジョンとは一味違う、女性の殺し屋ならではのアクションは今作の見どころの一つです。

アクションこそがシリーズの柱になっている『ジョン・ウィック』シリーズ。であれば、アクションが大きく異なる今作は『ジョン・ウィック』の世界観を借りただけの全くの別物なのでしょうか?

その問いには断じて「否」を唱えたいです。アクションのスタイルは違えど、その魂には紛れもない“シリーズの魂”が宿っています。何度倒されても立ち上がる不屈の精神と、地の果てまで敵を追い詰める執念。その根源にあるのは、ジョンと同じく、愛する者を奪われた「復讐心」と、何があってもやり遂げるという「覚悟」です。

その覚悟からくる鬼気迫るアクションの連続は、『ジョン・ウィック』シリーズの系譜を強く感じさせるでしょう。

これは復讐譚であり、成長の物語

物語はイヴのシンプルな復讐劇ですが、それは同時に、未熟な彼女が裏社会の“伝説”へと至るまでの成長物語でもあります。「殺し屋を引退するため」に戦うジョンと、「復讐のため殺し屋になる」イヴ。時に交錯するふたりの鮮やかな対比は、シリーズファンにこそ“ぶっ刺さる”はず。

今作は従来の「ガンフー」というより、様々なアイテムを駆使したアイデア勝負のアクションが中心となっています。それこそがこのシリーズが持つ世界観の懐の深さを示す、新たな挑戦と言えるでしょう。これは、新たな“伝説”の始まりを告げる序章。ジョンの対極にいるからこそ輝く、新たなダークヒロインの誕生を目撃してみてはいかがでしょうか。

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