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京都に片岡仁左衛門、市川中車(香川照之)ら歌舞伎役者が大集結、京の年中行事『吉例顔見世興行』開幕レポート到着

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「元禄忠臣蔵 仙石屋敷」片岡仁左衛門

12月1日(日)に南座にて、松竹創業百三十周年 京の年中行事『當る巳歳 吉例顔見世興行 東西合同大歌舞伎』が開幕した。昼の部、夜の部ともにオフィシャルレポートが到着したので紹介する。なお、昼の部「大津絵道成寺」の藤娘、鷹匠、座頭、船頭、鬼、夜の部「色彩間苅豆」百姓与右衛門実は久保田金五郎に出演を予定しいた片岡愛之助は負傷のため休演。開幕時より当面の間、「大津絵道成寺」は中村壱太郎、「色彩間苅豆」中村萬太郎が代役を勤めている。

●昼の部

「蝶々夫人」中村壱太郎

昼の部の幕開けを飾ったのは、プッチーニのオペラを題材とした新作歌舞伎「蝶々夫人」。中村壱太郎演じるお蝶は、市川笑三郎演じる下女のお杉とともに、アメリカ人の夫の帰りを待つ。中村錦之助演じる山森酉蔵は、お蝶を嫁にと言い寄るが、割って入ったのは中村鴈治郎演じるお駒。夫の心離れを知ったお蝶は、子どもを夫の元へやることを決め、悲しみに暮れながら長崎の野辺をさまよい歩く。長崎の海を背景に、桜散る中で心乱れるお蝶。歌舞伎の「道行」をなぞったお蝶の儚くも美しい姿に会場は感動に包まれた。

「三人吉三巴白浪」左から片岡孝太郎、中村錦之助、中村隼人

続いては、黙阿弥の七五調の台詞が聞きどころの「三人吉三巴白浪」。お嬢吉三を片岡孝太郎、お坊吉三を中村隼人、和尚吉三を錦之助が演じる。お嬢吉三が夜鷹のおとせから百両を奪い、「月も朧に百両の…」の名台詞を謳いあげる。その様子を見ていたお坊吉三とお嬢吉三は刃を交えての争いとなるが、和尚吉三が仲裁に入り、やがて三人は義兄弟の契りを結ぶこととなる。歌舞伎の様式美にあふれた世話物の名作に、惜しみない拍手が送られた。

「大津絵道成寺」左から中村鷹之資、坂東巳之助、中村壱太郎

続いては、中村壱太郎が初役で五役を踊り分ける「大津絵道成寺」。華やかな藤娘、さわやかな若衆姿の鷹匠、中村虎之介演じる犬と戯れる軽やかな座頭、粋な船頭、荒々しい鬼へと次々と変化し、早替りも魅せる目にも楽しい舞踊劇で、その鮮やかな変化ぶりに客席からは感嘆の声が。中村鷹之資演じる弁慶や坂東巳之助演じる矢の根の五郎に正体を見破られた鬼は、押し戻されて、祈り伏せられるのだった。

「ぢいさんばあさん」左より、中村扇雀、市川中車

昼の部最後の演目は、夫婦の変わらぬ愛情を描いた感動作「ぢいさんばあさん」。市川中車演じる美濃部伊織は、中村萬太郎演じる弟の宮重久右衛門の代わりに、江戸から京都の二条城へ単身赴任をすることに。中村扇雀演じる妻のるんとは一年間のお別れのはずが、ふとしたことで巳之助演じる下嶋甚右衛門を殺めてしまい、越前有馬の家にお預けの身となってしまう。そして、三十七年後…ようやく罪が赦され、再会を果たした伊織とるん。お互いに年老いてすっかり変わってしまっても、お互いへの愛は変わらず、抱き合って再会を喜ぶ。会場は感動に包まれ、割れんばかりの拍手で幕を閉じた。

●夜の部

「元禄忠臣蔵 仙石屋敷」左から片岡仁左衛門、中村梅玉

夜の部の幕開きは赤穂浪士の討入り事件を題材に、劇作家真山青果が書き下ろした「元禄忠臣蔵」より「仙石屋敷」。人間国宝である片岡仁左衛門が大石内蔵助を、仙石伯耆守を中村梅玉が勤める。主君の無念を晴らした内蔵助をはじめとする四十七人の赤穂浪士たち。伯耆守の詮議によどみなく答え、故主最後の一念を果たしたと語る内蔵助の姿に、ゆるぎない信念をにじませる。仁左衛門の至極の芸に、観客からは惜しみない拍手が送られた。

「色彩間苅豆 かさね」左から中村萬太郎、中村萬壽

続いて、中村萬壽のご当地御目見得狂言である「かさね」。萬壽演じるかさねは、心中まで約束した恋人の中村萬太郎演じる与右衛門を追って、木下川で再会する。一緒に死んでほしいとかき口説くかさねだったが、そのとき川面に鎌の刺さった髑髏が流れ着き、与右衛門が鎌を引き抜くと、かさねの顔は見るも恐ろしい形相に。実はこれは与右衛門の悪事と二人の因縁によるものだった。男女の色模様が一変、おどろおどろしい場面になる急展開に、観客は手に汗握る様子。恐ろしくも美しいドラマティックな一幕となった。

「御所五郎蔵」左から中村隼人、坂東巳之助、中村壱太郎

続いて、清新な配役で男伊達を魅せる「御所五郎蔵」。中村隼人の御所五郎蔵、坂東巳之助の星影土右衛門、中村壱太郎の傾城皐月、片岡孝太郎の甲屋女房お松と、花形俳優をはじめとする俳優陣の力強い演技が光る。皐月との不義を土右衛門に密告された五郎蔵は、偶然であった土右衛門と一触即発となるが、その場をお松が収める。一方、金策に苦心している五郎蔵のため、皐月は土右衛門になびいたふりをして五郎蔵に偽りの愛想尽かすが…。随所に黙阿弥らしい名台詞がちりばめられ、歌舞伎美に富んだ本作。これぞ歌舞伎といった場面の数々に、客席は引き込まれた様子だった。

「越後獅子」左より、中村鷹之資、中村鴈治郎、中村萬太郎

そして夜の部の掉尾を飾るのは、「越後獅子」。中村鴈治郎、中村萬太郎、中村鷹之資が越後の大道芸人である角兵衛獅子に扮し、軽業や踊りで観客を楽しませる。最後には布を波に見立てた布さらしを軽やかに披露。大胆で鮮やかな舞に客席は釘付けに。顔見世らしい絢爛豪華な舞台に万雷の拍手が送られ、お客様は笑顔で劇場を後にした。

『吉例顔見世興行』は12月22日(日)まで上演(10日(火)、16日(月)は休演)。チケットはイープラスにて販売中。

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