クライミングW杯初出場 日本代表に 摂南大・名張の小林さん
6、7月にヨーロッパで開かれるスポーツクライミングのワールドカップ(W杯)3大会に、三重県名張市在住で摂南大学農学部3年の小林舞さん(20)がリード種目の日本代表として派遣されることが内定した。ユース年代で果たせなかった代表入りをかなえ、「自分にとって大きな経験になる。たくさん吸収して楽しみ、良い結果を残したい」と意気込みを語る。
リードは、制限時間内に高さ12メートル以上の壁のどの地点まで登れたかを競う種目で、「スピード」「ボルダー」を含めたスポーツクライミング3種目の中で、特に持久力や洞察力が要求される。スポーツクライミングは21年の東京五輪で3種目の複合競技(コンバインド)として初採用され、28年のロサンゼルス大会はそれぞれ単種目での開催となる。
小林さんは8歳で競技に取り組み始め、中学3年以降は国体の三重県代表にも選出されており、キャリアは早12年。強豪クラブのある摂南大に進んでからは「練習の量を増やし、内容もハードにしていった」といい、大学で同じスポーツクライミング部に所属する吉田智音さんが5月のW杯男子リードで初優勝したことも大きな刺激になっているという。
地元での大舞台で健闘
小林さんは3月に伊賀市で開かれたリード競技の国内最高峰「リードジャパンカップ」で「地元なので久しぶりにすごく緊張した」ものの、決勝進出の8位以内にあと一歩と迫る活躍をみせた。食事の見直しや練習前後の栄養補給など、現在学んでいる栄養学の知識も競技に生かしているそうだ。
競技を始めた時から支え続ける父春彦さん(48)は「結果が出ない時期も競技から離れず、1人の選手として自ら強くなろうという気持ちが感じられるようになってきた。3戦の中で光るような登りを見せてほしい」とエールを贈る。
W杯リード種目への派遣優先順位は、森秋彩選手(茨城県山岳連盟)、野中生萌選手(無所属)らに次いで9番目で、小林さんは昨年も派遣候補に名を連ねていたが、出場機会は無かった。6月25日からのオーストリア・インスブルック大会、7月11日からのフランス・シャモニー大会、同18日からのスペイン・マドリード大会に出場予定で、「日本からも自分の登りを見てもらえるよう、映像配信がある準決勝以上に進めるように100%の力を出し切りたい」と話した。