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みんなの覚悟、向き合わなければいけないものが見えてきている──『プリンセス・プリンシパル Crown Handler』第4章 古賀 葵さん、関根明良さん、大地 葉さん、影山 灯さん、古木のぞみさんインタビュー【ネタバレあり】

アニメイトタイムズ

写真:アニメイトタイムズ編集部

2025年5月23日(金)より劇場公開された『プリンセス・プリンシパル Crown Handler』第4章。スチームパンクを基調にした世界観、ハードなストーリー、黒星紅白によるキャラクター原案、梶浦由記の音楽などにより、2017年のTVアニメスタートから今なお、多くのファンがいる作品となっている。

全6章で構成されている劇場版『プリンセス・プリンシパル Crown Handler』は、21年2月に第1章の公開がスタートし、今作で第4章。いよいよ物語が大きく動き出しそうな様相を呈している……。

アニメイトタイムズでは、チーム白鳩=アンジェ役の古賀 葵さん、プリンセス役の関根明良さん、ドロシー役の大地 葉さん、ベアトリス役の影山 灯さん、ちせ役の古木のぞみさんに集まっていただき、第4章のネタバレありの座談会を敢行。『プリンセス・プリンシパル Crown Handler』の新しい魅力とも言える、新キャラクターのターナー(CV.ささきいさお)などについて、大いに盛り上がる時間となった。

 
※本稿には作中のネタバレが含まれますので、ご注意ください

 

【写真】『プリプリCrown Handler』第4章 チーム白鳩声優インタビュー【ネタバレあり】

毎回衝撃の展開がある劇場版。台本初見の印象は?

──2023年公開の第3章から約2年。チーム白鳩での思い出は作れましたか?

ドロシー役・大地 葉さん(以下、大地):プライベートだと、5人揃ってどこかに行くことが、結局できていないんですよ。

ベアトリス役・影山 灯さん(以下、影山):肉バルで、お肉は食べたのですが……。

大地:そのときも、あきらりん(関根明良さん)が来れる予定だったのですが、来れなくなってしまって。

影山:でも、指で星を作って、あきらりんの部分は空けておいて、あとで無理矢理加工で手の写真を入れて……まるで一緒にいたかのような写真にしました(笑)。

プリンセス役・関根明良さん(以下、関根):生霊は飛ばしていました!(笑)。

アンジェ役・古賀 葵さん(以下、古賀):記憶としては、いたと思ってる(笑)。

 

 
影山:そのあと大地さんオススメの映画を見に行って、応援上映をしてきました(笑)。

ちせ役・古木のぞみさん(以下、古木):めっちゃ楽しかったぁ。

古賀:新しい世界を見ましたね。

影山:(大地さんが)急に泣き出してびっくりしました。何度も観ていて展開を知っていたみたいで、そのシーンが来る前から泣き出していて(笑)。

大地:情緒がメチャクチャで……ホントにご迷惑をお掛けしました。

古賀:記念にグッズを買って帰りました(笑)。

──直近では、『AnimeJapan 2025』のステージなどで、劇場版についてもお話しされていました。ステージでのファンの反応はいかがでしたか?

関根:とても優しい空気感でしたね。

古賀:思っていた以上にたくさんの方が観に来てくださっていて。

関根:私たちのトークに対して、頷いてくださる方が多かったですし、やっぱりノルマンディー公は人気なんだなと、再認識しました。

──その後のラジオ『プリプリ♡秘密レポート すーぱー』はいかがでしたか?

大地:いつもたくさんのお便りをいただいているのですが、そのお便りの文量がとにかく多くて、こんないっぱいの文字数で送ってくれるんだ!と思っています。熱量の高いファンがずっと追いかけ続けてくれていることがわかって、とてもありがたいです。

影山:『プリプリ(『プリンセス・プリンシパル』)』を観ている人って、頭が良さそうだよね。

大地:いつも考察してくれるよね(笑)。

関根:監督がXで上げている設定を見て、考察されている方もいるものね。

大地:我々も、その考察を読んで「そうなんだぁ……!」って感心しています(笑)。

古木:私たちも整理できてないからね。

関根:色々と教えていただきたい。

 

 

──まさに「おしゃぐりあい(=おしゃれな探り合い)」ですね。

古木:私、裏とかかけなくて……。

大地:誰よりも真っ直ぐに受け取る女、古木のぞみだから(笑)。誰よりも視聴者視点で楽しんでるよね。

関根:お兄様(アルビオン王国王位継承権第三位の王子・リチャード=アーカム公)を、良い人だと思っていたものね(笑)。

大地:本当に、騙されないように気をつけてほしい。

──そしてこのたび、第4章が劇場公開となりました。台本を読んだ際の感想をお聞かせください。

古木:ラストはだいたい「え!?」で終わるんですよ。最後のシーンの映像を見たのですが、あそこまでとは思いませんでした。

大地:私たちも、完成してからじゃないとわからなかったけど、すごかったよね。

古木:なので、より気合が入りました。

──影山さんはいかがでしたか?

影山:私は「たくさんベアト(リス)が出てる! 嬉しい!」でした。

大地:そろそろスポットが当たるんじゃないかって、話はしていたよね。

影山:最近、任務に参加してる感じがなくて、ドキドキしていることが多かったので(笑)。

大地:今回はベアトが大活躍だったなぁ。

影山:ベアトが頑張ってるし、私も頑張らなきゃ!って思いました。

──大地さん演じるドロシーも、大活躍でした。

大地:ドロシーは割と説明が多いキャラクターなので、今回も大変なんだろうなと思いながら台本を読んでいたのですが、第4章では感情をむき出しにする部分も多くて。ドロシーらしさが随所に散りばめられている上で感情も忙しいから、絶対にみんなで一緒に録りたいなと思いながら読んでいました。

 

 
影山:コントロール(アルビオン共和国側のスパイ組織)に行くシーンなんて、本当に肝が座っているよね。

大地:「ドロシー、頑張ってる……!」って思った。私には無理かもしれないです(笑)。

関根:今回、プリンセスの出番は多くありませんでしたが、ノルマンディー公にひるまず受け答えをするシーンでは、彼女も後悔や葛藤をしつつも、必死で抗い続けているのだなと感じ、負けてはいけない、と背筋が伸びる思いでした。

この章で何か覚悟を決めたらしい彼女に寄り添える様これからも精進せねばと思います。

古賀:私はざわつき過ぎてしまって……。古賀としてもざわつくし、たいちょーも言っていたことと同じく、アンジェの感情も表に大きく出ていたんですよね。プリンセスをノルマンディー公に握られているので、とても焦っていて、どうにかしなきゃ!という感じがある。これまでも危ういところはあったけれど、今回はこれまで以上に危うくて。ちょっと待って、ちょっと待って!と思いながら読んでいました。

大地:これまでで一番危うかったかもね。

影山:やっぱりプリンセスのことになると……。

古賀:冷静さを欠いてしまう場面もあったので、アンジェもざわついているなぁと思っていました。本編終盤では、「必ず選択を迫られる。国を選ぶか、仲間を選ぶか、自分を選ぶか」というセリフがあったのですが、そこが怖すぎて……。絶対に今後に繋がってくるんだろうなと思いました。

そのような意味でも、第4章のラストはとても衝撃的だったし、今までにないくらい、みんな感情をぶつけ合っているなとも思っていました。

──二重スパイという不安定な状態に置かれて、どこかみんな落ち着かないのでしょうね。

影山:(アンジェが)「知ったふうな口きかないで!!」とベアトに言うところは、完成映像を見たら、「わー!」って思いました。迫真で……!

関根:そのシーンの「ついに余裕がなくなるアンジェ」というト書きも良かったよね。追い詰められているなぁって。

大地:アンジェ的にも、そこまで我慢していたんだよなぁ。

関根:劇場版が始まってからのアンジェはモヤモヤすることや葛藤することが多かったからこそその糸がついに切れたというくらいの余裕のなさで…。

 

 

新キャラクター・ターナーの魅力にキャスト陣が大興奮!

──ここからさらにネタバレも含めてお話をお伺いしていきます。第4章ですが、まずはチーム白鳩がメアリーの亡命計画に失敗し、ノルマンディー公に捕らえられているところからスタートしました。

大地:そもそも第3章のラストからどうなるんだろう?と思っていたんです。

影山:もう、ゲームオーバーかと思ってた。

大地:(第3章が)ミッション失敗の雰囲気で終わって、「これ、どうやってコンティニューするの?」と思っていたので、「こういう切り口があったか!」と。同時に、こうするしかないよね、とも思いました。

──ノルマンディー公に、二重スパイをさせられるという展開でしたね。

影山:でも、みんなが拷問とかを受けなくて良かったです。

大地:絶対にヒドイことをされると思ってた。

古賀:爪をはがされたり……。

古木:アンジェやちせは、そのくらいやられるだろうと思っていたかも。

 

 
影山:あそこの取り調べシーンも、個性が出ていましたよね。

大地:表情に出ちゃう子もいれば、一切出さない子もいたり。らしさが出ていました。

関根:あと、ここはノルマンディー公自らが尋問をするんだなぁと思っていました。

古賀:ノルマンディー公がアンジェに対して「お前が何者なのか個人的には興味があるが……」というようなことを言っていて、「き、気づいとるんか……?」ってなりましたね(笑)。

影山:そこですべてを聞かないところが、また上手いよね!

大地:泳がせてる〜って(怖)。ノルマンディー公がしゃべるたびに、「もうしゃべるな!」って思うよ……。

湯川チーフプロデューサー:王族が絡んでいることなので、普通の人には尋問を任せることができなかったんです。拷問がなかったのは、ベアトがほとんどしゃべったからだと思います(笑)。

逆にアーカム公は、目に見えることをしてしまったので取調官がいた。ノルマンディー公としては、プリンセスはまだ利用価値があると思っていたのかもしれません。

大地:なるほど!

影山:ベアトは、姫様のこととなるとしゃべっちゃうだろうな……。

──ノルマンディー公役の土師孝也さんとは、一緒に収録されたのですか?

古賀:できました。

──では、リアルにあのプレッシャーを感じながら……?

古賀:はい。怖かった……。

──より、迫力も増しそうですね……。そして物語では、二重スパイの疑いを掛けられつつ、コントロールから共和国に出回る偽札の原盤を造っているとされる彫金師のグラハム・ターナーを探る指令が出ます。

古木:激渋。

関根:ターナーさん、好きです!

影山:カッコ良かったぁ。

大地:正直、付き合いたいって思わない?(笑)

一同:(爆笑)

古木:それはズルいよー!

影山:また、「わっしょい、イケオジ祭り」だったね(笑)。

大地:新たなるイケオジが出てきて、「イケオジの手札ってまだあるんだ!」って思いました。

影山:今回は無骨系ね。不器用・優しい系。

(このあと、“今日イチのテンション”でしばらく盛り上がる5人……)

影山:あの……(今日イチのテンション)と書いておいてください(笑)。

大地:急にみんなが口々にしゃべりだしたね(笑)。

──それだけ魅力的なキャラクターということですよね(笑)。

古木:ナイスなアイデアまで出せるし、決断力もありますから。

古賀:ターナーさん、好きだなぁ。

 

 
関根:でも台本を最初に読んだときは、また亡くなっちゃうのかなぁと思っていました。良いキャラであればあるほど……。

古賀:思った! 今回の犠牲者か……って。

大地:最後のギリギリまで、死んじゃうんだろうな、って思ってたもんね。

影山:声を担当されているささきいさおさんとは収録でご一緒できなかったので、台本でターナーを感じていたのですが、完成した映像を観て、よりターナーのことが好きになりました。「この人、絶対に良い人じゃん!」と。自然に信頼できる声の温かみがあって。

大地:でも、びっくりしたよね。「ささきいさおさん!?」って。

湯川チーフプロデューサー:監督が絵コンテを描いている段階から、「ターナーは、ささきいさおさんで」と言っていました。

古木:香盤表を二度見してしまいました。

関根:私の知っている、あのささきいさおさんですか?と(笑)。

古木:台本を読んでいるとき、ぎゅっと緊張しました。お会いはできなかったけれど……。

大地:新たに登場するキャラクターには、毎回ゲストの声優さんが来てくださるのですが、今回ばかりは本当に驚かれたのではないかと思います。

──声が本当に渋かったですよね。

古賀:素晴らしかったです。

大地:無骨だけど温かい雰囲気が、絶妙で……!

関根:温かい人だったからこそ、夜ではなく朝日が登ったところで「覚悟のシーン」があったのがカッコ良くて……。

影山:私、「……どうしても…妻に会いたかった…」で泣いてしまいました。台本を読んでいるときは、「そうだよなぁ」と思っていたんですけど、声を聞いたら、ブワーってきてしまって……声の力ってすごいと思いました。

大地:めっちゃわかる!

影山:説得力が増すんですよね。

──この言葉を受けた、アンジェもグサッと来ていましたからね。

古賀:本当にそうだと思います。

大地:あそこのアンジェの表情、めちゃめちゃ人間だったもん。

古賀:ねぇ! 

──みなさんがターナーに抱く愛が伝わってきます。まだまだ、ターナーのカッコいいところについて教えてください。

大地:ベアトに「帰る時間まで、その辺の本でも読んでろ」と言うところが好きです。

古賀:わかるー!!

大地:あそこが一番、優しさが出ているような気がして。

影山:さり気なく、部屋でベアトを守ってくれているんだなって。

 

 
古賀:その前にベアトが男2人に襲われているから、それも考えて、自分のところに置いてあげている感じが、お父さんのようで……大好きです。

大地:言葉は少ないのですが、観ている人にはわかりますよね。

影山:男2人に襲われそうになったときに助けに来てくれたシーンもカッコ良かったです! ヒーローアニメが始まったかと思いました。

古賀:(興奮気味に)良すぎる……!

古木:そのあと、ベアトを連れて逃げるところがあるじゃないですか。そこでもベアトに「お前があんな所で働いていてもロクな目に合わない。俺は共和国に行く。お前もこんな所で人生を棒に振るな!」と言うんですよね。「そんなことを言ってあげるんだ! 好き!」ってなりました(笑)。

大地:言葉の一つひとつが熱いんだよね。

古賀:良い人だなぁ。

関根:「いざとなったら、お前だけでも逃がしてやる!」は本当に素敵!

大地:もうこれは乙女ゲームだよ!! ルートがないのが信じられないくらい、激アツシーンが多すぎる!

影山:あと、ベアトリスがスパイだとわかったところでの2人のシーン。ベアトとしては、後ろめたい気持ちがあるのに、包み込むような表情で、ひとりの人として興味を持ってくれて、話を聞いてくれていたんですよね。親戚のおじさんというか、お父さんというか。

古賀:本当に温かい。無償の愛を感じてしまう。すごい……(興奮しながら)。

関根:そのシーンで、ベアトに喉の機械が埋め込まれていることをターナーさんは知るのですが、そのト書きには、「ターナー、気まずそうにポケットに手を突っ込む。いい言葉が出ず、やっと絞り出す」とあるんですよ。

一同:(興奮した様子で)わ──! いい──!!

関根:そこで出した言葉が「悪い事を聞いてしまったな…」で、こういうところが無骨で素敵なんですよね。

大地:でも考えてみると、この作品って台本のト書きが小説かと思うくらい細かいよね。心情描写をしっかり書いてくださるから、アフレコのときも、心が作りやすい。

古賀:本当にありがたいです。

古木:「ビアンカは偽名なんです…」(ベアトリス)、「覚えておこう」(ターナー)って次の瞬間、「ベアトリス」ってターナーは呼んでますからね!

影山:ベアトリスってフルで言ってくれる人、もう中々いないですから(笑)。

──第4章にして、この作品の新たな魅力が見出せた気がします。これは女性ファンが増えそうです(笑)。

大地:ぜひ、イケオジを観に行ってほしいです。この作品自慢のイケオジを!

 

 
古木:今回は新たなタイプのイケオジです。

影山:しかも一途に妻を想い続けているところも良くて。

古賀:それ──!! だから、(妻への手紙とか仕送りを懐に入れていた)あいつらが憎くて仕方がない!! (かなり興奮しながら)許せないっ! 

影山:妻の写真が入ったロケットをずっと持ってくれているのもいいですよね。います? そんな男性。

古木:まぁ、スマホの中には入ってるんじゃない?(冷静に)

影山:情緒が違うっ!(笑) そのロケットを、妻も持っているというのがまた良いんです。

大地:とっても素敵ですよね。

影山:妻を想っているキャラクターはこれまでもいましたが、ターナーはちゃんと奥さんに会えたので良かったです。今回は殺されなくて本当に良かった……。

──個人的に、腕を銃で撃たれた時点で、「これはもしかしたら生き残るかもしれない」と思いました。

湯川チーフプロデューサー:そこは監督が追加した演出で、撃たれたからこそ、感情にダメ押しをしたんだと思います。腕を撃たれ、もう彫金師としてはダメだと思ったからこそ、自分の腕を切るという決断ができたんです。

影山:私たちチーム白鳩的にも、まだ使える腕を切るというのは、選択としてかなり重くなりますからね。

古木:それも、ベアトを庇った上で撃たれたところだったから。

──ターナーとしても、後悔はなかったでしょうね。切り落としたからこそ、ターナーの命も助かりました。

大地:本当に良かった。

 

 

アンジェとドロシーの衝突。決断を迫られる第4章

──ターナー以外のシーンで、印象的だったところはありますか?

影山:Lとノルマンディー公の絡みがすごかったなと思います。

── 一緒に写真を撮っていたシーンですね。

大地:あの写真、欲しい……。

影山:写真を撮るシーンですが、すごく『プリプリ』っぽいなぁと思いました。良いおしゃぐり合いをしているなって。

大地:実はバチバチだもんね。

影山:「今はスミス・カミング文化事業局長だったか」と言うところも、「今は」という言葉が良いですよね。どこまで把握しているんだろうと思うと、怖い。周りに聞かれても良いような、表面上の会話のやり取りが良くて。

関根:ノルマンディー公の「死者に鞭打つ事は私も望まん。彼の名誉の為にもな」は、「そんなこと本当に思ってる?」って思いました(笑)。

 

 
湯川チーフプロデューサー:Lはビショップ(第1章に登場)のことを気に入っていたから、それもわかって言っているんです。

大地:怖い大人たちだ……。

古木:ここに来て、Lとノルマンディー公の歴史を感じさせるシーンですよね。ずっと前から知っている2人の間柄がわかるというか。

影山:あと、2人が写真を撮っているときに後ろにあった絵画も気になっているんです。『プリプリ』は、意味のないものは映さないから、何かを示唆しているのかな?と思っているので……誰か考察してください(笑)。

大地:お待ちしています(笑)。

──ノルマンディー公といえば、プリンセスと対峙するシーンもありました。「ウマが合わない」と言われていましたが……。

関根:このシーンは、本当に一緒に録れて良かったなと思います。

土師さんは、収録外では本当に優しく接してくださる方ですが、収録中は演技や声、存在感でもノルマンディー公のような圧を出してくださっていて。その圧に怯まないように、でもちょっと臆してしまいそうな……そんな絶妙な心境を引き出していただいているなと、一緒にお芝居をさせていただくたびに思います。

──第4章は「判断・決断」が重要なポイントかと思います。ノルマンディー公がターナーを不要だとして始末する決断をしたシーンで、「何を守るべきなのか」と、ドロシーとアンジェがぶつかりました。

大地:お互いに譲れないものが明確にあるというか……。ドロシーが考えている仲間の中には、もちろんアンジェもいるわけで。これは本当に、どこが落とし所なのかがわからないなと、いつも思っているんです。スパイとして、誰の意見を優先させるべきなのか……。

そんなとき、どちらかというと人間らしい感情に従うのがドロシーで、アンジェは一度決めたことは必ずやるタイプ。その違いが顕著に出たから生じた、2人のぶつかり合いでした。でもこの難しい状況の中で、チームをまとめられていたのはすごいなと思います。

古賀:確かに、すごい。

 

 
大地:最後はドロシーが「最終判断は私が下す」と言っていたので。

関根:ドロシーにアンジェが付いて行くのも、今までの過程を経た結果だなと思います。以前のアンジェだったら、勝手にどこかに行って、ひとりで動いていたと思うので。

大地:アンジェが勝手に動いて、ドロシーに怒られていたこともあったからね(笑)。自分の意見を一度飲めるようになったのは、成長ですよね。

古賀:私としても、この場面は中々言葉にするのが難しいんですよね。アンジェもアンジェで、ターナーが良い人だというのはわかっている……だからこそ自分は「鬼でいないと」と思う。そんな葛藤もあったと思いますが、色々なものが重なりすぎていたので、自分も強く出ないと決意が揺らいでしまう。そんな気持ちとも戦っていたんだろうなと思います。

──アンジェにとって、プリンセスの命が握られている状況は、本当に大きい問題ですからね。

大地:アンジェにとって、絶対に揺らぐことができないことですから。

古賀:人としての感情とスパイとしての感情がぶつかるシーンが多かったなと思います。

──その後ターナー亡命作戦が継続されます。敵に追われているときに、撃たれそうになるターナーをベアトリスが庇おうとしました。

影山:ベアトは本当に良い子だから、何かを捨てて何かを取るという決断ができないタイプなんです。「全部救いたい」と思っている子で、何も諦めたくないんですよね。

大地:特に、ターナーの優しさを知っているからね。

関根:ベアトの「姫様は壁にひきさかれた人を救うために命をかけてるんですよ!?」の台詞には本当にプリンセスのことを信じてくれているんだなと感じて、「なんて可愛いんだろう」と。

ベアトはベアトでプリンセスのことを考えていることはわかるけれど、スパイとしても、誰にも言えないプリンセスとの秘密もあるから、アンジェは「知った風な口きかないで!!」と言ってしまう……。これはプリンセスが知り得ないやり取りですが、関根として後ろから見ていて、心が痛くなりました。

影山:ト書きには、「理想論 ベアトリスも、どうしていいかわからない」と書いてありました。本当は誰も傷ついてほしくないんですよね。

──でも、確かに理想論ではありますよね……。

影山:(カーチェイスのシーンで)ターナーが撃たれて気にならないわけがないのに、アンジェは興味がないような雰囲気で前を向くのですが、絶対に辛いだろと。アンジェも本当は優しい子だから。

──ドロシーもベアトリスも、今はターナーを守ろうと必死でしたが、プリンセスの身を案ずる気持ちがアンジェにあり続けて、だからこそ焦っている雰囲気がありましたね。

大地:そうですね。ドロシーらは目の前で起こっていることを必死に対処するけれど、アンジェの場合は絶対的な存在が大きすぎるので、まったくブレないんですよね。

関根:常に深くプリンセスのことを考えてくれていますよね。

──第4章は、派手なアクションはもちろん、このような精神的なやり取りも見応えがありました。そして最後は、ターナーが自分の腕を切るという決断をし、それを自分の命の代わりとして、持ち帰ってほしいと言います。その役はちせが引き受けましたね。

古木:ここは、ちせも私がやるべきだと進んで名乗りを上げたのだと思います。

影山:カッコ良かった。やっぱり決定には従うんだなって。

 

 
関根:それに武士や侍どちらが正しいでしょうか?として、介錯をする……。

湯川チーフプロデューサー:覚悟を持った人間を介錯できるのは自分しかいないという気持ちと、彼女自身も父親を手にかけているので、「覚悟」についてもわかっているのでしょう。

大地:言葉は少ないけど、覚悟が伝わってきたなぁ。

古木:クライマックスに差し掛かったあたりから、ちせは全然しゃべっていなくて、ずっと見守っているんです。どうなっていくのかを見ているんだなと思いました。

ちせだけ日本人だし、みんなと国が違う状態での関わりだから、ドロシーとアンジェがぶつかり合っているのも、ちゃんと聞いているんですよね。

影山:そこで口を出さないカッコ良さもあるよね。

大地:決断が出るまで見届けている感じがして。

関根:上の意見を聞いて、それに従うというのもこちらも武士or侍問題という感じがします。だから、ドロシーとアンジェが話し合って決めたことに従うんでしょうね。

古木:すごい女です。ターナーの男気に応えたかったというのもあるのかなと思いました。

──そして第4章のラストでは、いよいよアーカム公が動き出しました。しかもゼルダがアーカム公側についているという衝撃の展開も……。

大地:ちょっと情報が多すぎます。

関根:うわー血だー。お兄様がー!(アーカム公)! え!ついに貴女が!うわ〜っという感じでした。

大地:ついにゼルダさんが動き出すということは、次回以降は大活躍するのではないかと思っています。声を担当している園崎未恵さんも喜んでいるのではないかと。「私、いつ出るの?」とずっと言っていますから(笑)。

古木:台本を読んだとき、びっくりしました。「あのゼルダ?」って。

大地:満を持しての登場だったからね。

影山:あと、「じゃあ始めるとしようか…革命を…」で終わる作品、カッコ良すぎません? 締め方が良すぎる。

──次回への期待も煽りつつ、気持ちも高まるラストでしたね! 関根さんはこの一連のシーンについて、いかがでしたか?

関根:本当に申し訳ないんですけど……アーカム公が隊長に助けられるシーンのト書きの「仔犬のように格子に飛びつくアーカム公」に、星マークを付けていました(笑)。

一同:(爆笑)

大地:アーカム公推しとしては、見逃せないワードだもんね(笑)。

関根:「もー、忘れられてるんじゃないかと思ったよー」というアーカム公のセリフにも、関根がキュンと来ていたんだと思います。大好きなシーンです……!

大地:私は怖かったけどね(笑)。

 

 

──本当に数え切れないほど、必見のシーンが盛り込まれていますね。それでは最後にひと言ずつ、ファンへのメッセージをお願いします。

古木:一度観ただけではわからないところもあると思います。『プリプリ』は劇場で観る価値がある作品だと思いますので、何度も観ていただきたいです。物語的には、大変不穏な空気になってきていますが、このあとどうなっていくのか、私たちも気になっています!

影山:第4章は、重いけど面白いシーンが散りばめられていて……やっぱり『プリプリ』って良いですよね。今回は、ターナーのカッコ良さやベアトとの関わりなど、見どころがいっぱいありますので、ぜひたくさん楽しんでください!

大地:第4章ともなると、「次回もお楽しみに!」と、気軽に言うのを躊躇するような展開になってきつつあるなと感じています。みなさんも続きを見るのが怖いというフェーズに入っていると思いますが、我々もそうです。兎にも角にも、第6章まで、5人が無事に生き残ることを強く願っています。

毎回、前回を超える面白さで、今回も本当に面白かったので、この調子で突っ走っていけるよう、応援していただければと思います。

関根:第4章で改めて決めたプリンセスですが、(以前、命を狙われた)ゼルダさんの登場によって、断頭台フラグがまた見え隠れし始めたことに関根としてはドキドキしております。まだまだ怖い状況が続きますが、たいちょーも言っていたように、第5章、第6章とみんなで生き抜いて、カサブランカにある白い家に行けるよう願っています。

また第4章でも音楽が本当に素敵で! 音楽を聴いているだけで鳥肌が立つシーンもたくさんあったので、ぜひ映画館の良い音響で楽しんでいただければと思っています。

古賀:第4章まで来ました。こんな展開になるんだー!という気持ちもありましたし、特に心がざわざわする内容で……次が怖いですね。この先、誰がどのように動いていくのか、最後のアーカム公の登場でさらにわからなくなりました。

とにかく、とにかく全員が無事でいてほしいという気持ちと、ターナーさんの人間力があって、今回は上手く収まりました。ですがアンジェとしては、もうはち切れそうなので、次の章でこれ以上のことがあったらどうなってしまうのか、今から恐ろしいです。

みんなの覚悟、向き合わなければいけないものが見えてきているので、みなさんも覚悟を持って見届けていただけたらと思っています。

【インタビュー・文:塚越淳一 編集:西澤駿太郎】

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