墨汁に浸かってるみたい!? どんどん黒くなる富山上市の黒い温泉【アルプスの湯】北アルプス剱岳の麓で登山客にも人気の“美人の湯”
寒いこの時期、あまりお金をかけずに手軽なレジャーとして楽しめるのが、日ごろの疲れを癒してくれる温泉やサウナ。
三方を高い山々に囲まれ、北には深海を抱く富山湾が広がる県内には、泉質が異なる温泉が各地にあります。
今回は墨汁のように“黒いお湯”が人気の源泉かけ流し露天風呂を紹介します。
北アルプスの名峰 剱岳を望む天然温泉
黒い温泉があるのは、富山県上市町。
3000m級の山々が連なる北アルプス立山連峰の中でも“岩と雪の殿堂”と呼ばれ、アルピニストが憧れる剱岳の麓にあります。
その名も、「アルプスの湯」。
天気がよければ、白銀の衣をまとい、凛とした美しい剱岳を望むことができる抜群のロケーションです。
こちらは、実際に「アルプスの湯」から見ることができる剱岳の雄姿。
さすがに山肌の陰影までくっきりと見える日はそれほど多くありませんが、天気が悪くても大丈夫。内山さんが撮影した絶景が露天風呂に飾られているため、その姿を拝みながら風呂に浸かることができます。
天然温泉の高濃度人工炭酸風呂
あれ、でもこちらの湯は黒く見えませんね…。
実は、剱岳の写真パネルが飾られているのは、高濃度人工炭酸風呂。“黒い温泉”とは異なる、「アルプスの湯」のもうひとつの名物です。
「気泡がいっぱい出てくると思いますが、この気泡が血液循環をよくしたり、老廃物を排出する効果があると言われています」(アルプスの湯 所長 伊東永雅さん)
ヨーロッパなどでは、伝統的な医療法として広く活用されている「炭酸風呂」。炭酸ガスが皮膚から体内に吸収され、血管が拡張されて、新陳代謝の促進につながるといわれています。日本でも医療や健康、美容など、さまざまな分野で活用されています。約39℃のぬるめのお湯になっていて10~20分程度入浴するのがオススメなんだとか。
剱岳に見惚れて長湯にならないよう、ご注意ください。
墨汁に浸かっているような黒湯 源泉かけ流しの露天風呂
お待たせしました、こちらが本命、「アルプスの湯」名物の黒い温泉です。
どれくらい黒いかというと…
露天風呂の柱が黒く染まっているのがわかるでしょうか。
洗面器で湯を汲み上げてみると、黒というよりは茶褐色。
ですが、温泉に入ってみると足元が見えないほどの黒さです。
この温泉は、植物由来の有機質が多く溶けだしたモール泉。
「モール」とは石炭に似た燃料の亜炭などをさすドイツ語に由来し、植物が長い時間をかけて堆積し、できあがった亜炭層を通って湧き出た温泉だと考えられています。
緑茶のような薄い緑からコーヒーのような黒いお湯まで、有機物の種類や含有量によりさまざまな湯色があるそうですが…
「オープン当初はこんなに黒くなかったんです。もうちょっと茶色い木肌のような色だったんです」(伊東さん)
「アルプスの湯」のモール泉は、開業した1998(平成10)年当時と比べると、だんだんお湯の色が黄土色から黒っぽく変化しているんだとか。その理由については「わからない」そうですが、温泉成分に変化はないので、ご安心を。
「この黒湯は“美人の湯”って言われているんです」(伊東さん)
少しトロ~ッとしたお湯は、刺激が少なく、ツルツルとなめらか。肌もすべすべになって、ぽっかぽかになります。とにかくあたたまりやすいということで、入浴推奨時間はたったの5分。のぼせないようご注意ください。
「杖をついて来たけど、帰りは杖を忘れて帰ったっていうおばさんがおるくらい、いいお湯」と常連客の笑い声が飛び交うアルプスの湯。
モール泉のほかにも、アルカリ性単純温泉の源泉を一部利用した大浴場や、赤ワイン・ヒノキなどの香りを楽しめる「香湯」、サウナ、120畳の無料休憩所などもあり、町外からの客も多い人気の温泉施設です。
定期的に訪れてお湯の色をチェックする、なんて楽しみ方も!?
出典:KNBテレビ「いっちゃん☆KNB」
2025年2月6日放送
記事編集:nan-nan編集部
【アルプスの湯】
住所 富山県中新川郡上市町湯上野1176番地
営業時間 10:00~19:00
定休日 月曜 ※月曜が祝日の場合は翌日
12/31~1/1