光合成をまったくしない「掟破り」な植物とは!?【眠れなくなるほど面白い 図解 植物の話】
Q 光合成をしない植物はあるの?
A 世界最大の花は寄生植物なので、光合成をしない
どんな植物も光合成をする、というのが植物界の「掟」でした。ところが、例外のないルールはないといわれるように、光合成をまったくしない植物あります。必要な栄養分は、ほかの植物に「寄生」することで得ています。
たとえば、東南アジアの島々やマレー半島のジャングルに自生するラフレシアは、世界最大の花として有名ですが、葉も茎も根も持っていません。したがって葉緑体がありませんから光合成をしません。
根もなく光合成もしないので、水分や栄養分は、ラフレシアのつぼみが付着して寄生している宿主、ブドウ科の植物(ミツバカズラ)から吸い取ることで得ています。
ラフレシアが開花すると、肉の腐ったような強烈な臭いをジャングル中に発散させます。するとさっそくハエたちがやってきます。ハエは腐肉だと勘違いしてラフレシアの花に産卵しにやってきます。
じつは、ラフレシアの花にはおばなとめばながあります。おばなの葯(花粉の入った袋)から、粘液におおわれたクリーム状の花粉が出て、花の奥に入り込んできたハエの背中につきます。
ハエは産卵のほか、腐肉のたんぱく質を求めてきます。腐肉はないので、ハエはめばなに飛んでいき、また花の奥に入ります。すると、ハエの背中がめしべの柱頭に触れます。ラフレシアはこうして受粉しますが、できた種がどういう経緯で再びミツバカズラに付着するのかは、いまだ謎です。
おそらく、ネズミなどの小動物が種を食べ、たまたまミツバカズラのツルに糞として排出されて芽吹くのでは、という説もありますが詳細は定かではありません。
世界最大の花は寄生植物だった
一般にラフレシアとよばれているのは、数十種類ほどあるラフレシア科 の「ラフレシア・アルノルディイ」を指す。完全寄生植物 で、花は宿主から吸い取ったエネルギーで大きくなり、直径約 1m に達することがある。
ラフレシアのライフサイクルを推測する
リスかモグラに似たツパイ、あるいはネズミのような小動物が実を食べ、種子が糞によってばらまかれて芽吹くとされるが、その詳細は明らかではない。
すごい!光エネルギー
完全寄生植物(ラフレシアなど)は植物のくせに光合成を行わないパラサイト的な植物。半寄生植物(ヤドリギなど)は、水分は寄生する木からもらい、養分は光合成でつくる居候的な植物。
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 植物の話』監修:稲垣栄洋