Conton Candy、「私たちの小っちゃい背中についてきてくれると嬉しいです」初の自主対バンイベントに込めた想いと誓い
『Conton Candy pre. “CHAOS!!!” Vol.1』2024.08.30(fri) Spotify O-Crest
Conton Candyによる自主企画イベント『Conton Candy pre. “CHAOS!!!” Vol.1』が8月30日・東京・Spotify O-Crestで開催された。対バンとして招かれたのはThis is LAST。熱い共演となったこのイベントのConton Candyのステージの模様をレポートする。
オリジナルグッズのタオルを掲げて彩楓(Dr./Cho.)と楓華(Ba./Cho.)が現れたのに続いて紬衣(Vo./Gt.)も登場。準備を整えた3人が手を重ね合った後、「好きなものは手のひらの中」がスタートした。強力なナンバーがいきなり飛び出し、一気に興奮状態となったフロア。拳を突き上げる観客の勢いがものすごい。その後に披露された「baby blue eyes」と「プードル」は、力強い手拍子を誘っていた。会場を満たした熱気を射抜くかのような紬衣の歌声が絶好調。エネルギッシュなバンドサウンドの中で埋没することなく、輝度をどんどん増す様が素敵だった。
「私たちの対バンイベント、今日が初めてです。来てくれてありがとうございます。記念すべき第1回はThis is LAST先輩。3ピース対バンです。個人的に「#情とは」を聴けてめっちゃ嬉しかったです」――最初のMCタイムで早くも楽しくて仕方がない様子だった彩楓。ファンコミュニティ「Fanicon」で行われていたセットリストの1曲目を予想する企画について楓華が説明して、「正解した人はいる?」と問いかけると数名の観客が挙手した。「好きなものは手のひらの中」は、ライブのラストに演奏されることが多いので、正解者がゼロとなることも想定されていたらしい。そんなひと時を経て再開された演奏。「リップシンク」が強力なサウンドでフロアを震わせた。ビートを感じながら飛び跳ねて踊る観客が実に楽しそう。その後は表現力の高さを示す3曲が続いた。情感豊かに響き渡った「花びらと生活音」、久しぶりのライブでの披露となった「milk」、寂寥感を鮮やかに浮き彫りにした「もっと」……各曲に刻まれた感情が奥行き深く表現される様を、観客はじっくりと耳を傾けながら受け止めていた。
観客の大合唱が加わりながらドラマチックな展開を遂げた「ファジーネーブル」の後に迎えたMC小休止。「もっと」の時に彩楓がドラムを叩きながら密かに歌っていたので、観客にも聞こえるのではないかと冷や冷やした旨を楓華が明かすなど、3人が和やかに言葉を交わし合っていた。ライブハウスに対する想いを紬衣が語っていたのも印象的だった場面として触れておきたい。「春から夏にかけてイベントやフェスに出させていただく機会が増えて、東京で最後にライブハウスに立ったのが渋谷のCLUB QUATTROでした。2ヶ月ぐらいライブハウスに立っていなかったと考えると震えるね(笑)。私はやっぱりこういう場所が好きだなあ。誰も1人ぼっちの場所がないのがライブハウスだと思っています」という言葉が心からの実感であると証明する演奏が、その後も続いた。「執着」「ロングスカートは靡いて」「エンジェルスモーク」……観客の興奮を誘う曲を連発する3人が本当に楽しそう。演奏しながら時折微笑み合う姿は、Conton Candyファンが好きな瞬間のひとつではないだろうか。本編ラストの「102号室」のギターソロ明けで、観客に大きな声で語りかけた紬衣。「言い忘れていたけど、今日の雨の影響で来られなかった人のことを思って、「執着」以降の4曲、インスタライブで配信してるの。ライブハウスが最高だと、“そこに行きたいな”と思えるように、熱い気持ちを画面で観てる人たちに伝えてあげようよ!」という言葉と共に雪崩れ込んだクライマックスは、とても美しいフロアの風景を作り上げていた。
アンコールを求める手拍子に応えてステージに戻ってきた3人は、ステージの前方に並んで歓声を浴びた。演奏中はドラムセットから離れられない彩楓は、この瞬間を楽しみにしているらしい。「ライブハウスって本当に思いもよらぬ化学反応が起きたり、“このバンドとこのバンドが一緒にやるんだ?”っていう企画も実際に行ってみたらめちゃめちゃ良い1日になったりします。そういう魔法みたいな特別な力を持っている場所がライブハウスだと思っています。これからもそういう場所を大切にして頑張っていきますので、私たちの小っちゃい背中についてきてくれると嬉しいです」と紬衣が語った後、1stフルアルバム『melt pop』が10月9日にリリースされる旨が発表された。「Conton Candyの頭皮から足の裏までわかる1枚になっておりますので!」という紬衣の言葉が示していた手応えと達成感。そしてアルバムに収録される「急行券とリズム」が初披露された。広い空へと飛び立つかのようなサウンドを楓華と彩楓のコーラスが一際心地よいものにしていたのが思い出される。3人の演奏と歌のコンビネーションの良さを再確認できる新曲だった。
「この曲、私はライブハウスに、みんなに育ててもらったと思ってる。次に出すアルバムの大事な1曲1曲がこの曲みたいにライブハウスとみんなに大きく育てていってもらえますように!」という紬衣の願いが込められた「好きなものは手のひらの中」がラストを飾った。スタンドマイクがフロアに向けられると高まった大合唱。沸き立つ胸の内をメンバーたちと観客が全力で交わし合うことによって、1曲目で披露された時とはまた別の表情を浮かべているのを感じた。演奏が幕切れると「私が求めていたのは、今日みたいな日でした!」という言葉を残してステージを後にした紬衣。楓華と彩楓も満ち足りた表情を浮かべながら観客に手を振った。こうして終演を迎えた『Conton Candy pre. “CHAOS!!!” Vol.1』。Vol.2の開催が既に決定しているとのことで、継続していく意欲を彼女たちはライブ中に語っていた。1stフルアルバム『melt pop』のリリース後には、11月9日(土)・北海道・SAPPORO SPiCE公演を皮切りに全国9都市9会場を巡るワンマンツアー『Conton Candy ONEMAN TOUR 2024 “melt pop”』が行われる。最新アルバムを引っ提げたこのツアーも各地を沸かせることになるはずだ。
取材・文=田中大