津波避難の新表示、拡大 「改めて避難場所の確認を」
南海トラフ地震の新たな被害想定が3月31日、国から発表された。被害想定が拡大した地域もあるが、鎌倉市は津波の最大予想は10メートルで、これまでの被害想定からの変更はなかった。市では、津波からの避難を促すため、英語を並記した新たな案内表示を沿岸部9カ所に設置。今年度中には30カ所まで拡大する予定だ。
30年以内の発生確率が約80%とされている南海トラフ地震。新想定での全国の死者数は、2014年の国の基本計画から3万4千人減の29万8千人になった。一方で、津波の浸水域の拡大や津波到達時間が早くなるエリアもあると分かった。
鎌倉市は、南海トラフ地震で最大10メートル、相模トラフ地震では最大14・5メートル(七里ガ浜地区)の津波が到達すると予想されている。
現在、市ホームページで公開中のハザードマップや津波避難経路マップは、南海トラフなど5つの地震の被害想定の最大浸水域、最大浸水深となるように設定していることから、今回の発表を受けての見直しは予定していない。
最短8分で到達
鎌倉市の被害想定では、津波の最短到達時間は8分(相模トラフ地震・由比ガ浜地区)と設定されており、市では市民や国内外からの観光客への津波避難場所の周知・啓発を進めている。
津波の到来をイメージし、16年4月に公開したシミュレーション動画の再生回数は、9年間で83万回に達している。
23年3月からは、由比ガ浜や材木座の沿岸部で観光客も多いエリアの電柱の海抜表示部分に、英語を並記した津波避難案内表示を試験的に9カ所設置。高台にある長谷寺や第一中学校、稲村ヶ崎小学校などへの距離と方向、海抜を記載し、避難する人を誘導する。今年度中には、設置場所を30カ所まで増やす予定だ。
市総合防災課は「災害時はパニックになってしまうので、あらかじめハザードマップなどで避難場所の確認を。高い場所や離れた場所など、まずは津波浸水区域から離れることを日頃から意識してもらえたら」と呼びかける。