気になる目の不調は「アイフレイル」かも。原因と対策、漢方でのケア方法
年齢を重ねるにつれ「なんとなく見えにくい」と感じることはありませんか?
加齢によって体力が衰えるように、目も衰えるといわれています。目の不調は、日常生活に大きく支障がない場合は放置してしまうこともあるかもしれません。
しかし、それは不調の悪化につながる可能性があるのでおすすめできません。そこで、今回は目の不調である「アイフレイル」とは何か、そしてその原因や対策についてお伝えします。ぜひ、最後までチェックしてみてくださいね。
こんな目の症状がある人は、アイフレイルかも?
そもそも、アイフレイルとは何でしょうか?
「アイ」は目、「フレイル」は加齢による心身の衰えを指します。つまり、アイフレイルとは「加齢により目の機能が低下した状態」のことです。
40代の半数が目(視覚)に不安を感じているといわれています。2021年に日本眼科啓発会議が行った全国調査では、「現在、健康面で不自由を感じていること」に関して、「目(視覚)に関すること」を挙げる人がが47.7%と、歯や足腰と比べて最も多い結果でした。
そこで、まずは下記のような症状がないか、確認してみましょう。
・目が疲れやすくなった
・夕方になると見えにくくなることが増えた
・新聞や本を長時間見ることが少なくなった
・食事のときにテーブルを汚すことがたまにある
・眼鏡をかけてもよく見えないと感じることが多くなった
・まぶしく感じやすくなった
・はっきり見えないとき、まばたきをすることが増えた
・まっすぐの線が波打って見えることがある
・段差や階段が危ないと感じたことがある
・信号や道路標識を見落としそうになったことがある
2つ以上当てはまる場合はアイフレイルの可能性があるので、医療機関の受診をおすすめします。
フレイルとは、健康と要介護の中間の状態です。しっかりと対策を行うことで健康な状態に戻すことも可能だといわれています。
そのため、定期的な眼科検診や生活習慣の改善で予防を行うことが重要です。(※1)
アイフレイルの原因は?
アイフレイルの原因は主に加齢だといわれていますが、そこに外的要因(生活習慣、喫煙、紫外線、低栄養、薬剤など)や、内的要因(構造的な脆弱性(強近視など)、糖尿病、高血圧、脂質異常症などの全身要因、遺伝的要因など)が加わることで発症する可能性があると考えられています。(※2)
そのなかでも、外的要因は日々の過ごし方が大きく関係していることが多いため、生活を見直すことでアイフレイル対策につながることが期待できるでしょう。
今日からできる、アイフレイル対策を紹介
アイフレイルは、きちんと対策を行えば予防したり進行を遅らせたりすることが可能だといわれています。そこで、ここからは今日からでも始めたい「アイフレイル対策」をお伝えします。
すべてを一気に実践するのは難しいかもしれませんが、まずは生活の負担にならない方法から徐々に始めていきましょう。
1.生活習慣の見直し
加齢によって視力や視野が自然に衰えることは避けられませんが、不適切な生活習慣は進行を早める要因となります。
たとえば、栄養バランスの乱れた食事や運動不足、喫煙、過度な飲酒は、血流を悪化させ、目に必要な酸素や栄養を届きにくくさせるかもしれません。その結果、白内障や緑内障、加齢黄斑変性といった目の病気を引き起こすリスクが高まります。
食事面では、ルテイン(緑黄色野菜に多く含まれる)やオメガ3脂肪酸(青魚に多く含まれる)を意識的に摂取するようにしましょう。これらの栄養素は目の細胞を守り、老化を緩やかにする働きがあります。
また、適度な運動や十分な睡眠で血流を促進することも、目を疲労や乾燥から守るために重要です。家から出ずに仕事や買い物ができる時代になりましたが、ウォーキングなどの適度な運動を習慣化してみましょう。
運動不足の解消だけでなく、程よいからだの疲労感が良質な睡眠にもつながるので、運動はまさに一石二鳥の対策方法といえます。(※3)(※4)
2.紫外線対策
一見、関係のなさそうな目の健康と紫外線ですが、紫外線は目の老化を進行させる大きな要因のひとつだといわれています。紫外線を長時間浴びることで、目の水晶体や網膜にダメージが蓄積され、白内障や加齢黄斑変性などの疾患のリスクが高まり、アイフレイルの進行につながる可能性があるのです。
したがって、外出時にはUVカット機能付きのサングラスや帽子を着用し、目を紫外線から守ることが重要です。紫外線対策は日常的に取り入れやすく、アイフレイル予防に効果的な方法のひとつといえるでしょう。(※3)
3.定期的な眼科検診
アイフレイル対策に定期的な眼科検診が効果的な理由は、目の機能低下や病気の早期発見・早期治療が可能になるからです。視力の低下や視野の異常は徐々に進行することが多く、自分では気づきにくい場合もあります。
そのため、気づいたときには症状が進行していることが少なくありません。定期検診では、視力測定だけでなく眼圧や眼底の状態などもチェックできるため、異常を早期に見つけることができます。早期に治療を始めれば、進行を抑えることができ、視機能の維持につながりますよ。(※3)
目の不調には漢方薬もおすすめ
ここまでアイフレイルの対策方法をお伝えしてきましたが、アイフレイルのような目の不調には漢方薬の服用もひとつの手段です。漢方薬は自然由来の生薬からできており、不調に根本からアプローチしてくれます。決まった量を飲むだけなので、忙しい毎日にも取り入れやすいのが嬉しいポイントです。
アイフレイルには、下記のような働きのある漢方薬を選びましょう。
・からだ全体の機能低下を改善する
・目に栄養を届けて加齢によるピントの調節機能を回復する
・水分の循環をよくしてドライアイを改善する
・血流をよくして目の周りの筋肉をゆるめたり、疲れを軽減したりする
漢方薬は、一般的に西洋薬よりも効果がマイルドで副作用も少ないといわれています。そのため、気になる人はまずはお試しで始めてみるのもいいかもしれません。
<アイフレイルが気になる人におすすめの漢方薬>
・杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)
眼精疲労や加齢に伴うかすみ目、視力減退などに用いられます。飲む目薬ともいわれ、温めるとよくなるしびれや浮腫に対しても処方される漢方薬です。(※5)
・滋腎明目湯 (じじんめいもくとう)
体力が虚弱な人におすすめです。炎症を抑えて潤いを与え、過労や老化による眼精疲労、かすみ目、目の痛みに用いられます。(※6)
スマホで気軽に専門家に相談できる「あんしん漢方」のような、オンライン個別相談も話題です。あんしん漢方はAI(人工知能)を活用し、漢方のプロが効く漢方を見極めて自宅に郵送してくれるオンライン漢方サービス。
スマホで完結できるので、対面では話しづらいことも気軽に相談できますよ。お手頃価格で不調を改善したい人は、医薬品の漢方をチェックしてみましょう。
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アイフレイルも含め、目の病気の多くは進行するまで無自覚の場合も多いといわれています。そのため、定期的に眼科検診を受けて今の自分の状態を知り、もし発症してしまった場合は早期発見につなげることが大切です。
アイフレイルの症状が進行してしまうと、自動車の運転が難しくなってしまったり人の顔の区別ができなくなったり、日常生活にかなり支障をきたす場合があります。まずは、すぐにできそうな対策から始めてみましょう。
参考サイト
(※1)日本眼科啓発会議「40歳以上の人のためのアイフレイルガイド」
(※2)一般社団法人 日本予防医学協会 公益社団法人 日本眼科医会「アイフレイルって何?」
(※3)健康づくりかわら版「避けられない「アイフレイル」どう向き合う??」
(※4)中野眼科「アイフレイルとは?」
(※5)小太郎漢方製薬株式会社「一般用医薬品 : 杞菊地黄丸エキス錠N「コタロー」」
(※6)小太郎漢方製薬株式会社「一般用医薬品 : 滋腎明目湯エキス細粒G「コタロー」」
<この記事の監修者>
あんしん漢方(オンラインAI漢方)薬剤師
碇 純子(いかり すみこ)
薬剤師・元漢方薬生薬認定薬剤師 / 修士(薬学) / 博士(理学)
神戸薬科大学大学院薬学研究科、大阪大学大学院生命機能研究科を修了し、漢方薬の作用機序を科学的に解明するため、大阪大学で博士研究員として従事。現在は細胞生物学と漢方薬の知識と経験を活かして、漢方薬製剤の研究開発を行う。
世界中の人々に漢方薬で健康になってもらいたいという想いからオンラインAI漢方「あんしん漢方」で情報発信を行っている。
(ハピママ*/あんしん漢方)