母「施設にいると、ボケちゃいそうね」いや、認知症だからここにいるんです #母の認知症介護日記 219
アルツハイマー型認知症になった実母のことや、アラフィフ主婦の日常をあれこれ書き連ねるワフウフさん。自身の体験をマンガにしています。
母・あーちゃんが施設に入居して3週間がたちました。あーちゃんは、訪ねるたびに父に場所を知られていないかを確認し、怒り狂った父は「何をするかわからない……」と不安そうに言っています。しかし、そうかと思えば、「きっと狂ったように私のことを探しているわね」と、ちょっとうれしそうに言う様子も見られ、見つかりたくはないけれど、探していてほしいという、なんとも複雑な乙女心が見え隠れしているのです。ワフウフさんは、万が一父が訪ねてきたときのことを考え、施設長さんと改めて話をしてみたのですが、そこで事前に共有されているはずの父に関する情報が共有されていないことを知り、びっくりしました。確認してよかったと、胸をなで下ろしたのでした。
新しい環境による変化は…
あーちゃんは、提携している病院の医師による訪問診察を受けており、施設内で糖尿病の薬の処方とインスリン注射を受けられるようになりました。イベントにも自ら参加しているようで、施設での生活はなかなか順調です。そんな中、父に言われるがまま書かされていたのか判断できずにいた遺言書を、新しく書き直すことにしました。「絶対」と言い切れることがない状態になっている今、あーちゃんの財産を守るためにできることは、早めにしておいたほうが安心です。
施設へ引っ越して4週間がたち、あーちゃんの表情はとても穏やかになりました。
あーちゃん自身もこんなふうに言っていて、ストレスは軽減されている模様。
※たんたん:ワフウフさん姉妹の父。あーちゃんの夫。
自分を必死に探していてほしいという気持ちは捨てきれていないと思いますが、こんな発言もありました。
あまりにも平和だからか、「ここにいるとボケちゃいそう」とひと言。
……認知症だから、ここにいるんですけどね。そこ、順番が逆!
そして、ホームでの生活が進むにつれて、見えてきたことが……。今まで、身のまわりのことがどれだけできているのかは未知数でしたが、一応あーちゃんの言葉を信じていました。
見るからにできていないと感じていても、通いで介護をする私たちに確認する術はありません。
ホームでは入浴が週2回と決められていて、少ないような気もするのですが、以前のように体がにおうということは減りました。
きつい口臭もなくなったのですが、それはつまり、思っていた以上に身のまわりのことができなくなっていた証拠でもあります。やはり、認知症はだいぶ進行していたようです……。
認知症患者は、一般的に変化に弱いとされているので、認知症の病院の先生からあーちゃんを施設に入れたほうがいいと言われたとき、私は住み慣れた環境から離れることであーちゃんが混乱しないか心配でした。しかし、ホームに引っ越して4週間が過ぎ、父と一緒にいるときのようなこわばった顔を見せなくなり、とても表情が穏やかになっています。あーちゃんも今の暮らしが穏やかなのを実感しているのか「ここにいると、ボケちゃいそうね」と言うこともありますが、実際は認知症のためここにいるのです……。
もちろん、あーちゃんの変化は良いことばかりではありません。私たちは、通いであーちゃんの介護をしていたため、身のまわりのことは「ちゃんとできている」という、あーちゃんの言葉を信じるしかありませんでした。明らかにできていないように見えても、それを確認する方法がなかったのです。
ホームで暮らすようになった今、入浴は週2回になっていますが、以前のようにあーちゃんから嫌なにおいがすることはなくなりました。結構きつかった口臭も、ほとんど気になりません。歯磨きは声かけをしてもらえるようホームにお願いしたのですが、声かけをすればまだ自分でできるようです。ということは、体のにおいや口臭は、それだけ身のまわりのことができていなかったというわけで、やはり認知症はだいぶ進行しているということなのでしょう……。
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あーちゃんは、大きく混乱することもなく新しい生活になじめているようで、安心しました。特に、表情が穏やかになったあーちゃんを見るのは、施設への引っ越しという選択が間違っていなかったと感じられて、ワフウフさん姉妹もうれしいのではないでしょうか。
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