え、私の息子はどこに? 義母のインスタで知った“孫”格差。プレゼントやお年玉にも露骨な線引きが…
幸せなはずの結婚生活に影を落とす、姑との問題。令和の時代でも根強く残る嫁姑トラブルに直面したケースをご紹介します。
インスタが示す愛情の偏り
「聞いてよ、ありえないの!」
そう怒りをあらわにしていたのは、私の友人・アヤ(34歳・会社員)だった。
彼女には3歳の息子がいて、夫の実家とは車で1時間ほどの距離に住んでいる。義母は孫が可愛いらしく、月に一度は顔を見に来てくれるという。
しかし、最近になってその“愛情”が偏っていることに気づいてしまった。
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義妹の娘を溺愛
きっかけは、義母のインスタだった。
「たまたま見ちゃったの。お義母さんが“うちの孫にブランドの子ども服プレゼント♡”って投稿してて。写真には義妹の娘ちゃんが可愛い服を着てニコニコしてるの」
アヤの夫には3歳下の妹・ミホがいて、2歳の女の子を育てている。つまり、アヤの息子とミホの娘──どちらも“お義母さんの孫”だ。
「うちの子の誕生日も同じ月なのに、プレゼントは靴下3足セットだったのよ?」
アヤは苦笑しながらも、目の奥が笑っていなかった。
「もちろん物の価値じゃないのは分かってる。でも“差がある”って見せつけられると、やっぱりモヤモヤする」
義母のSNSには「うちの孫が一番可愛い」「おしゃれさん♡」と、娘・ミホの子どもを溺愛する投稿ばかり。
名前すら出てこない息子
アヤの息子に関しては、写真どころか名前すら出てこない。
「たまたまかもと思ったけど、他にもあったの。お年玉の金額、違ったのよ」
そう言ってアヤはため息をついた。
「うちは5千円、義妹の子は一万円。夫に言ったら“母さんが決めたんだから”って。もうフォローする気も起きなかった」
悪気がないならいいの?
「悪気があるとは思ってないの。ただ、“娘の孫”だから感情移入しやすいんだと思う。何でも世話できる距離にいるし、育児の相談もリアルタイムで受けてるから」
実際、義母はミホの家に頻繁に通い、服やおもちゃまで選んであげているらしい。一方アヤの家には「忙しいでしょ?」と訪問は数カ月に一度。
「会えば優しいの。でも思い出話に出てくる孫はいつもミホちゃんの子。うちの息子の名前は出てこない」
夫は「母さん、そういうつもりじゃないよ」と取り合わなかったが、SNSを見せると黙り込んだ。
「でも“今さら言っても揉めるだけだ”って。こっちはモヤモヤ抱えたままなのに」
“娘の孫”と“息子の孫”。同じ血のつながった孫なのに、扱いにはっきりとした温度差がある。
その根底にあるのは、“面倒を見てきた時間”と“心の距離”だ。
“娘の孫”と“息子の孫”の露骨な温度差
「たぶん娘の子って、自分の延長線上にいる存在なんだと思う。娘の子育てを見てると、昔の自分を思い出すって言うし」
アヤはコーヒーカップを見つめた。
「逆に息子の子って、嫁の領域に入る感じなんだろうね。何をあげたらいいかも分からないし、気を使うのかも」
だが、“気を使う”はずが“距離を取る”に変わり、“距離を取る”が“差別”に見えてしまう。そして、気づいてしまった側だけがしこりを抱える。
「見なければ知らずに済んだかもしれない。でも、見てしまったら戻れない。だって“孫の格差”を自分の目で見たんだもの」
アヤの声には哀しみが滲んでいた。義母にとっては小さな「好みの違い」だったのかもしれない。
でも受け取る側には、「私は家族の外側なんだ」と気づかされる瞬間だった。
“無意識の線引き”に決意したこと
「たぶんお義母さんは同じくらい可愛いと思ってる。でも行動がそれを壊してる。言葉よりプレゼントの方が気持ちは伝わっちゃうから」
“無意識の差別”は、悪意よりも根が深い。アヤは最後に静かに言った。
「私が姑になったとき、絶対同じことはしない。どっちの孫にも“同じ気持ち”であげたい。金額じゃなくて、心の重さでね」
――プレゼントの中身よりも、そこに詰まった“無意識の線引き”こそが、家族を遠ざけていくのかもしれない。
(おがわん/ライター)