各時代の芸術家たちの中の“ゴッホ”を提示する展覧会「ゴッホ・インパクト―生成する情熱」が11月30日まで、箱根『ポーラ美術館』で開催中
ゴッホからの影響を糧としながら、芸術家たちはそれぞれの時代にふさわしい情熱をどのように生成してきたのか?「ゴッホ・インパクト―生成する情熱」が2025年11月30日(日)まで、神奈川県箱根町の『ポーラ美術館』で開催されている。TOP画像=森村泰昌《自画像の美術史(ゴッホ/青い炎)》2016年 『ポーラ美術館』 copyright the artist, courtesy of ShugoArts。
ゴッホの影響が色濃くにじむ各時代の名作が一堂に
ゴッホの“パッション”は同時代、また次世代の芸術家たちにどのように受け止められたのか? 『ポーラ美術館』が所蔵するゴッホ油彩画3点、アルル時代の風景画《ヴィゲラ運河にかかるグレーズ橋》(1888年)、サン=レミ時代に身近な自然を捉えた《草むら》(1889年)、オーヴェール時代の静物画《アザミの花》(1890年)を中心に、ゴッホ以降の美術の系譜をたどるとともに、今を生きる我々にとってゴッホがいかなる価値を持ち得るのかを検証する展覧会が開催される。
広報担当者は、「2025年は、国内のさまざまな場所でゴッホ展が開催される“ゴッホ・イヤー”。日本では戦後の「ゴッホ・ブーム」以降、たびたび大規模なゴッホ展が開催され、人気を博してきました。私たちはなぜ、いつの時代もゴッホの作品に心を揺さぶられ続けるのでしょうか? 本展は、現代まで引き継がれる“ゴッホ像”を、ゴッホに影響を受けた作家たちを通じてあぶり出そうと試みる、新しいアプローチの展覧会です」と見どころを語る。
芸術家たちの中に息づく“ゴッホの情熱”に触れる
本展では日本で初めてゴッホ・ブームが巻き起こった戦前にまで振り返り、ゴッホにまつわるさまざまなエピソードをひもといていく。それにより、日本におけるゴッホ・インパクトの歴史を振り返りながら、各時代から浮かび上がるゴッホの“パッション”の諸相が検証される。
また、ゴッホからの影響を糧としながら、芸術家たちはそれぞれの時代にふさわしい新たな情熱をどのように生成してきたのか、作品を通して検証する。『ポーラ美術館』の新収蔵である森村泰昌の作品から、ゴッホの母国であるオランダを拠点として活動するフィオナ・タンの作品まで、多様性にあふれた現代におけるゴッホの変奏曲から、そこに存在する確かなゴッホの息吹を感じたい。
開催概要
「ゴッホ・インパクト―生成する情熱」
開催期間:2025年5月31日(土)~11月30日(日)
開催時間:9:00~17:00(入館は閉館30分前まで)
休館日:会期中無休
会場:ポーラ美術館(神奈川県足柄下郡箱根町仙石原小塚山 1285)
アクセス:箱根登山線強羅駅から無料送迎バス8分(1日13往復)または観光施設めぐりバス(湿生花園前行き)13分
入場料:一般2200円、高校生・大学生1700円、中学生以下無料
※身体障害者手帳などの手帳をお持ちの方とその付添いの方(1名まで)1100円。
【問い合わせ先】
ポーラ美術館☏0460-84-2111
公式HP https://www.polamuseum.or.jp/sp/vangogh2025/
取材・文=前田真紀 画像提供=ポーラ美術館
前田真紀
ライター
『散歩の達人』『JR時刻表』ほか雑誌・Webで旅・グルメ・イベントなどさまざまなテーマで取材・執筆。10年以上住んだ栃木県那須塩原界隈のおいしいものや作家さんなどを紹介するブログ「那須・塩原いいとこ、みっけ」を運営。美術に興味があり、美術評論家で東京藝術大学教授・布施英利氏の「布施アカデミア」受講4年目に突入。