Yahoo! JAPAN

原発、屋内退避にまつわる議論。きっかけは昨年の能登半島地震?

文化放送

ニュースキャスターの長野智子がパーソナリティを務める「長野智子アップデート」(文化放送・月曜日~金曜日15時30分~17時)、2月20日の放送に調査報道記者の日野行介が出演。原子力発電所の事故が起きた際に住民が行う「屋内退避」について解説した。

日野行介「今月5日、原子力委員会がつくっている検討チームが屋内退避の目安期間を3日間とする報告書を公表して、これについて議論したんですね。屋内退避とは何かというと、原発の避難計画の一部で。福島の原発事故が起きて30キロ圏内の自治体に『避難計画をつくってください』と求められるようになったんですけど、じつは30キロの中に2つブロックが分かれていて」

長野「はい」

日野「5キロ圏内までをPAZ、5から30キロ圏内をUPZという。2段階方式といわれているんですね。5キロ圏内の人は事故が起きたら放射能が出る前にすぐ非難する。その間、5から30キロ圏内の人は家の中で屋内退避するという仕組み。なぜかというと一斉に皆、避難したら交通渋滞が起きて、遅れてしまうからだと。なぜこの話が今月出てきたか。きっかけは昨年元日の能登半島地震なんです」

長野「昨年、能登なんですね」

日野「能登半島地震で何が起きたか思い出してほしいんですけど、能登半島の根本に北陸電力の志賀原発というのがあります。30キロ圏内が当然ながら、防災重点区域といわれます。この中で家屋の倒壊、道路の寸断、それから放射線量を基準に避難する・しないというのを判断するんですけど、モニタリングポストの実測値で判断するんですね」

長野「はい」

日野「モニタリングポスト自体は壊れていなかったんですが、モニタリングポストの数値が通信障害で伝わらない、というトラブルが起きました。避難計画を根本(こんぽん)から揺るがす事態ですよね」

長野「はい」

日野「屋内退避なんてできないじゃん、と。そういう不安が上がったので規制委員会が検討チームを。規制委員会って特定の課題が持ち上がったとき、担当員を決めて有識者を集めて検討チームをつくるんです。公開の会合。それを去年の2月につくると言い出して、1年経って報告書が出てきた、と」

長野「1年かかるんだ、と思いましたけど」

日野「ハッキリ言ってしまうと時間稼ぎだと思うんですね」

長野「というのは?」

日野「これからルポを説明しますけど、屋内退避そのものは無理だから、といってやめる、という選択肢はたぶん規制委員会にはない。それをしてしまうと原発避難計画が成り立たない。そうすると屋内退避を前提とした屋内退避の課題を何か見つけて、課題を解決したことにしよう、というのが真相じゃないかな、と」

長野「そうなんですね」

日野「立ち上げた際に、避難計画を抜本的に改めることはしないだろう、と指摘したんです。報告書を見るとおおむねそのとおりだな、という感じがしました」

長野「聞きたいことが山のように出てきたんですけど……」

このあとも日野が解説を展開した。

【関連記事】

おすすめの記事