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【富士登山】噴火の危険を忘れていませんか⁉活火山を登る時の心構えや対応策について考えよう

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静岡トピックスを勉強する時間「3時のドリル」。今回のテーマは「富士登山」です。先生役は静岡新聞の山本淳樹生活報道部長が務めます。(SBSラジオ・ゴゴボラケのコーナー「3時のドリル」 2024年9月12日放送)
 
(山田)富士山、今年も閉山しましたね。

(山本)真夏の開山シーズン、つまり一般の人も登山道を歩いて山頂まで行けるような状態が9月10日に終わり、シーズンオフになったということですね。

環境省は、どれだけの人が富士山に登ったのかを、登山道の途中でカウントしています。山梨県側からは7月1日、本県側からは7月10日からカウントし、9月4日までの速報値だと17万8000人強の方が登ったということです。

(山田)17万8000人も富士山に登ってるんですね。

(山本)2カ月余りの間にそれだけ登っているということです。去年が22万1300人、一昨年が16万人でした。

(山田)減ってるんですね。

(山本)悪天候の日があったことが影響しているかもしれません。17万人ということですが、閉山した9月10日までの数値は、これよりも多い数になると思います。(※9月10日までは19万9606人=9月13日発表の速報値)

(山田)入山料など少し規制が昨年とは違った影響はありますか?

(山本)分析はまだこれからだと思いますが、特に山梨県側で3割ぐらい減ったという数字があります。夜中に登ってすぐ下山するというような「弾丸登山」を防ごうと、山梨県は今季、ゲートを設置して夜間の登山を規制しました。静岡側はそうした対応までは取っていませんが、事前に登録をしてから登るよう、協力していただくということはしました。その結果、山梨側が3割ぐらい減ったという数字が出ています。

(山田)静岡側も規制を検討というニュースもありましたよね。

(山本)少し今までよりも規制を強める方向で話していこうと。来年の夏までにいろいろ動きがあるんじゃないかなと思っています。

「富士山は火山」という認識は…

(山本)さて、皆さんは富士山が火山であるということを、どれぐらい意識していますか。

(山田)いやー、普段富士山が火山っていう意識はないですよね。航空写真とかで大きな火口を見ると「火山だな」と思いますけど、静岡県から富士山を眺めてる分には、火山っていう認識を普段してないですね。

(山本)私達の記憶の中には、「富士山が噴火した」っていう事実はないわけです。300年
ぐらい前に「宝永の噴火」という大規模な噴火があってからは実際噴火が起きてないので、「火山であることはあまり意識していない」というのが一般的な感覚なのではないかと思います。

しかし、気象庁が観測する活火山は全国に111あって、その中でも富士山は最大級の火山なんですね。静岡県内には富士山以外にも、伊豆東部火山群があります。これは伊東市の周辺にあり、今から35年前の1989年に一度海底噴火しました。これは記憶に新しい火山活動なのですが、とにかく富士山も活火山の一つなんです。

(山田)活火山っていう認識、あまり普段はないですよね。

(山本)活火山と認定されているので、国が常時観測をしています。何か異常があった場合や、火山性の微動や火山性地震などが発生した場合には、即座に気象庁が警戒を高めるという「噴火警戒レベル」が導入されている山でもあります。

そんな富士山に、2カ月間に20万人ぐらいの人が登っているというのが実情です。多い時には1日数千人ぐらいが山頂を目指してこの山の5合目から上にいる。もし、その時に噴火が起きたら、非常に大きな混乱を招くのではと思います。

(山田)黒澤明監督の「夢」という映画の中で、富士山が噴火するシーンが出てくるんですが、それぐらいちょっとファンタジー感があるのかもしれないです。

(山本)現実的にはちょっと考えにくいところがあるかもしれませんね。噴火と一口に言ってもいろんな形態があります。富士山で300年前に起きた非常に大きな噴火から、最近だと2015年に箱根の大涌谷で起きた水蒸気爆発のように、それほど大きな噴火ではないけれども噴煙が上がって入山規制された例など、いろいろなパターンがあります。

御嶽山の噴火から学ぶこと

(山本)ここで思い出していただきたいのが、2014年、10年前の9月27日に発生した御嶽山の噴火です。御嶽山は長野県と岐阜県の県境にある有名な山で、富士山と同じように登山客に非常に人気の高い山です。9月27日は、秋の登山シーズン真っ只中でしたが、我々にしてみれば突然噴火してしまいました。登山客の方が中にいっぱいいる時に発生したため、63人の方が犠牲になった。58人の方が亡くなって、5人の方はまだ行方不明のままだそうです。

(山田)そうなんですね。

(山本)このときは噴煙が上がって、岩のように大きな​噴石が飛び散って体に当たるなどの被害がありました。日本の火山では、戦後、一番被害を出した災害になってしまいました。

(山田)登山されてる方がスマホか何かで映像を撮ってたんですよね。青空にその噴煙が上がっていくところが、怖かったですよね。

(山本)あの時は非常にいい天気で、後になって、火山の活動がちょっと日常とは違う動きがあったというのが分かったんです。ただ、「そこで登山するな」とか「逃げろ」というようなアナウンスは十分になされず、こういう結果になってしまいました。同じことが富士山でも起こってもおかしくないと思います。

(山田)あの御嶽山の噴火の事故から、活火山への登山の規制は変わったんですか?

(山本)噴火直後に言われたのが、「やっぱりヘルメットが登山のときに非常に重要だろう」ということでした。噴石が当たったり、転倒した時に頭を打ったりして動けなくなってしまうことがあったようです。

それから「登山届」。「今誰が御嶽山に登っていたのか」ということがあまりはっきりしていなかったために、非常に安否の確認に手間取ってしまったそうです。こうしたことから、ヘルメットと登山届の重要性については、発災直後によく言われていました。

その2点は比較的簡単に、他の山にも導入できることですね。特に富士山については、「ヘルメットをかぶりましょう」と翌年ぐらいからかなり言われました。行政機関もヘルメット着用を呼びかけていました。富士山はたくさんの人が登るので、登る途中で石を蹴って落石をさせたりする人もいますし、転んで頭を打つような事故も実際に起こっています。ヘルメットが非常に有効だと考えられます。

ところが、静岡新聞社が開設した富士山臨時支局に派遣された記者によると、ヘルメットをかぶっている人や持っている人はほとんど見かけなかったということでした。

(山田)もし登山シーズンに富士山噴火したらとんでもないことですよね。ドミノ状態になっちゃうのでは…。一列で登ってるじゃないですか。

(山本)一番混んでる時には、非常に危険な状態ですよね。なので、最低でも「活火山なんだ」という意識は登る時に頭のどこかに置いてほしいですね。山頂を目指すのは、これから1年間はちょっとお預けですが、例えば富士宮口は6合目まではまだ行けますからね。火口そのものも、噴火の後であの形になって今の富士山があるので、火山であることは意識して富士登山に臨んでほしいなと思いました。

全国にはたくさんの活火山

(山田)富士登山は終わりましたが、秋の登山シーズンはこれからなので気をつけることはたくさんありますよね。

(山本)全国的に見れば、至る所に実際に噴煙を上げてるようなもの、活動が沈静化してるものなどがあります。やはりここで感じるのは、「大自然の前では人間は非常にちっぽけだな」ということです。

(山田)登る前に、噴火レベルについてホームページなどで確認することができるんですか。

(山本)できます。富士山の場合は、何も起きていない今は「噴火警戒レベル1」の状態です。いろんな予兆が出てきたときに、気象庁つまり国が判断して、警戒レベルを上げ、それに沿った行動を促すことになっています。

富士山の場合はレベル2になった時に「もう登っちゃ駄目だよ、登っている人は降りなさいよ」という呼び掛けがなされることになっていますが、実際どうやって呼び掛けるのかは分からないです。

最近だとアプリを通じて呼びかけるので、登る前にアプリを入れてくださいとお願いしています。山小屋の人たちの協力を得て、登山道で呼びかけて回るということにもなっていて、その訓練もきちんとやっているんですが、実際、何千人も登山者がいる中で、どれぐらい実効性があるのか、やってみないと分からないというところです。

(山田)今年は本当に自然災害が多いですよね。

(山本)1月1日の能登半島地震に始まって、8月には南海トラフ地震臨時情報の巨大地震注意という1週間もありました。その後に台風も来ましたね。

(山田)火山の噴火もちょっと意識しておく必要がありますね。今日の勉強はこれでおしまい!

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