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知らないと損する!「家族の介護でもらえるお金」一覧 補助金・給付金を総まとめ<最新版>

「みんなの介護」ニュース

小島 章彦

「親の介護のために仕事を減らさないといけないけど、収入は減るし、介護の費用もかかる…」

「家族の介護で使えるお金の制度はあると聞いたけれど、どんな種類があるのかわからない」

ご家族の介護に直面したみなさん、そんな不安や疑問を抱えてはいませんか?

生命保険文化センターの調査によると、介護にかかる費用は初期費用で平均234万円、月々の費用は平均15.8万円とされています。これは、家計の中のかなりの割合を占める額なのではないでしょうか。さらに、介護期間は平均で181.2カ月(約15年)に及ぶことが明らかになっています(出典:生命保険文化センター『2021年度 生命保険に関する全国実態調査』)。

この、長期間にわたり大きな額が必要となる介護費用ですが、実は、さまざまな形でお金がもらえる制度が存在します。
この「もらえるお金」について知っているか知らないかで、実は大きな差が出てしまうのです。

この記事では、介護の現場で本当に使える「家族の介護でもらえるお金」について、具体的な金額や申請方法、さらには受給事例まで、徹底的に解説していきます。
是非参考にしていただき、うまく生活を回していくために活用していただけましたら幸いです。

家族の介護でもらえるお金

家族の介護で「もらえる」お金は、大きく分けて3種類あります。

まず国から直接もらえる「介護休業給付金」、次に自治体からもらえる「家族介護慰労金」、そして住宅改修や福祉用具の購入にかかる費用の補助です。

実際の受給事例では、これらの制度を組み合わせることで、年間50万円以上の給付を受けることも可能です。

「仕事を休んでの介護」でもらえる「介護休業給付金」

最も給付額が大きいのが、「介護休業給付金」です。

2024年現在、給料の67%という高い給付率で、対象となる家族1人につき合計93日分のお金がもらえます。この制度は、年齢や勤続年数に関係なく、要件を満たせば必ずもらえる制度です。

具体的な給付額を見てみましょう。

月給30万円の場合、月額約20万円(30万円×67%)がもらえます。93日間の給付期間は最大3回まで分割できるため、例えば「親の退院直後に1ヶ月」「その後の通院に2週間×2回」というように、必要な時期に合わせて柔軟に活用できます。

大阪府在住の山田さん(52歳・会社員)の実例を見てみましょう。

山田さんは、脳梗塞で倒れた父親の退院に合わせて2ヶ月の介護休業を取得しました。月給35万円だった山田さんは、2ヶ月で約47万円(35万円×67%×2ヶ月)の給付金を受け取ることができました。さらに、その後も父親の定期的な通院に合わせて2週間単位で介護休業を取得し、残りの日数を有効活用しています。

住宅の改修でもらえる「居宅介護住宅改修費」

次に金額が大きいのが、住宅改修にかかる費用補助です。「居宅介護住宅改修費」という制度を使えば、手すりの設置や段差の解消といった工事費用の最大90%(上限20万円)がもらえます。

実際の工事内容と費用の例を見てみましょう。

神奈川県在住の佐藤さん(55歳・専業主婦)のケースでは、以下のような改修を行いました。

玄関の段差解消と手すり設置:6万円
廊下の手すり設置:4万円
浴室の段差解消と手すり設置:8万円
トイレの手すり設置と和式から洋式への変更:9万円

工事費用の総額は27万円でしたが、上限額20万円の90%にあたる18万円の給付を受けることができました。

この制度の特徴は、要介護度に関係なく利用できる点です。

要支援1の認定を受けたばかりの段階でも、将来の介護に備えて住宅改修を行うことができます。ただし、事前申請が必須となっているため、工事を始める前に必ず市区町村の介護保険窓口に相談する必要があります。

また、季節によって工事費用に差が出ることも知っておくと有利です。

一般的に、住宅改修の需要が少ない11月から2月は、工事費用が5~10%程度安くなる傾向があります。

千葉県在住の鈴木さん(59歳・パート)は、1月に工事を行うことで、見積額から約8%の値引きを受けることができました。

さらに、住宅改修と同時に介護用の設備や福祉用具を導入する場合は、「特定福祉用具購入費」の制度も利用できます。この制度では、年間10万円を上限に、購入費用の70~90%(所得に応じて変動)が給付されます。

自治体からもらえる「家族介護慰労金」

自治体独自の制度として、まず「家族介護慰労金」があります。

この制度では要介護4または5の家族を在宅で1年以上介護している場合、年間10~12万円程度のお金がもらえます。

ただし、この制度は自治体によって支給条件や金額が大きく異なります。

例えば、東京都江戸川区では「熟年者激励手当」として月額1万5,000円(年間最大18万円)が支給されますが、世田谷区では要介護2以上を対象とし、年額10万円が支給されます。

また、自治体独自の介護手当には、介護保険サービスの利用制限がないものもあります。例えば、大阪市の「在宅高齢者介護手当」は、要介護4以上の高齢者を在宅で介護する家族に対して月額7,000円を支給し、介護保険サービスの利用の有無は問われません。

介護費用の負担を軽減できる給付制度

直接お金がもらえる制度の他に、介護にかかる費用を抑えられる制度も多数存在します。これらの制度を賢く活用することで、実質的な経済的負担を大きく減らすことができます。

高額介護サービス費で払い戻しがもらえる

介護サービスの利用料が高額になった場合、「高額介護サービス費制度」を利用することで、上限額を超えた分のお金が払い戻されます。

2024年現在の上限額は以下の通りです。

世帯区分 自己負担上限額 年収約1,160万円以上 140,100円 年収約770~1,160万円 93,000円 一般世帯 44,400円 住民税非課税世帯 24,600円

埼玉県在住の中村さん(63歳・自営業)の例では、要介護3の母親のためにデイサービス、訪問介護、ショートステイを利用し、月の利用料が78,000円かかっていました。

一般世帯の上限額44,400円との差額33,600円が毎月払い戻されることで、年間約40万円の負担軽減につながりました。

医療費と介護費用の合算でもらえるお金

医療費と介護費用の両方がかかる場合は、「高額医療・高額介護合算療養費制度」が非常に有効です。

この制度は、医療保険と介護保険の自己負担額を合算し、年間の限度額を超えた分が払い戻されます。

実際の例として、東京都在住の木村さん(58歳・会社員)のケースを見てみましょう。要介護3の母親は通院が多く、年間の医療費が85万円、介護費用が45万円でした。木村さんの世帯は一般世帯区分(限度額67万円)に該当し、合算額130万円から限度額を引いた63万円が払い戻されました。

特に、この制度は冬季に入院が重なったり、医療処置が必要な状態が続いたりする場合に効果を発揮します。福岡県在住の高橋さん(65歳・無職)は、肺炎で入院した夫の医療費と介護費用の合計が一時的に高額になった際、この制度を利用して約45万円の払い戻しを受けることができました。

確定申告で医療費控除がもらえる介護サービス

確定申告の際の医療費控除では、介護保険サービスの中でも医療系サービスが対象となります。

具体的には以下のサービスが医療費控除の対象です。

訪問看護
訪問リハビリテーション
通所リハビリテーション
介護老人保健施設の利用料

神奈川県在住の井上さん(54歳・会社員)は、要介護1の父親の介護で年間150万円の医療系サービスを利用していました。保険適用後の自己負担額から10万円を引いた金額が医療費控除の対象となり、約12万円の税金が還付されました。

重要なのは、領収書の保管と分類です。医療費控除の対象となるサービスと対象外のサービスが混在している場合、事前に分類して整理しておくことで、確定申告の手続きがスムーズになります。

介護のお金をもらうための具体的な手続き

各種給付金や助成金を確実に受け取るためには、適切な手続きと準備が必要です。

ここでは、申請時の具体的な手順と注意点を、実例を交えて解説します。

申請の手順とタイミング

申請のタイミングは制度によって大きく異なります。例えば、介護休業給付金は休業開始前に会社への申し出が必要です。一方で、住宅改修費は必ず工事前の申請が求められ、工事後の申請では給付金を受け取れない可能性が高くなります。

愛知県在住の山本さん(51歳・会社員)は、母親の介護のために以下のようなスケジュールで申請を行いました。

要介護認定の申請:介護が必要になった直後
住宅改修の事前申請:認定から2週間後
介護休業の申し出:工事開始の1ヶ月前
高額介護サービス費の申請:サービス利用開始時

特に注意が必要なのが、複数の制度を同時に利用する場合です。大阪府在住の田中さん(47歳・会社員)は、介護休業中に住宅改修を行う予定でしたが、改修の事前申請を忘れていたために20万円の給付を受けることができませんでした。

このようなミスを防ぐために、地域包括支援センターやケアマネジャーには早めに相談することをお勧めします。多くの場合、これらの専門家が申請手続きのアドバイスや書類作成のサポートを無料で行ってくれます。

将来を見据えた制度活用のポイント

介護の状況は時間とともに変化するため、将来を見据えた制度の活用が重要です。例えば、住宅改修費の支給限度額20万円は生涯で1回限りですが、要介護度が重くなった場合や引っ越しをした場合には再度申請が可能です。

京都府在住の伊藤さん(56歳・パート)は、母親の要介護度が1から3に変わった際、追加の住宅改修を行い、再度20万円の給付を受けることができました。このように、介護度の変化に応じて利用できる制度が増える可能性があります。

また、2024年4月からは介護保険制度の改正が予定されており、新たな給付金や助成金が創設される可能性もあります。定期的に市区町村の介護保険課や地域包括支援センターに問い合わせることで、最新の情報を入手することができます。

介護離職を防ぐための制度活用術

介護のために仕事を辞める「介護離職」を防ぐためには、経済的支援制度を最大限活用することが重要です。

埼玉県在住の中川さん(49歳・会社員)は、以下のような形で複数の制度を組み合わせることで、退職することなく父親の介護を継続できています。

介護休業給付金:月20万円(給与の67%)
時差出勤制度の活用:残業なしの働き方に変更
高額介護サービス費:月額約3万円の還付
福祉用具のレンタル費用:9割給付

また、2024年度からは、介護休業の分割取得回数が増えるなど、より柔軟な制度の利用が可能になります。人事部門やケアマネジャーと相談しながら、長期的な視点で制度を活用することが大切です。

まとめ

家族の介護でもらえるお金には、介護休業給付金や住宅改修費、家族介護慰労金など、さまざまな制度があります。特に介護休業給付金では給与の67%が支給され、住宅改修費では最大20万円の給付を受けることができるなど、具体的な支援額も充実しています。

これらの制度を上手に組み合わせることで、年間数十万円から場合によっては100万円以上の給付を受けることができます。例えば、介護休業給付金と住宅改修費を組み合わせたり、高額介護サービス費制度を利用したりすることで、より大きな経済的支援を得ることが可能です。

ただし、各制度には申請期限や条件があり、事前の申請が必要なものも多いため、早めに市区町村の介護保険課やケアマネジャーに相談することをお勧めします。特に、住宅改修費などは工事前の申請が必須であり、タイミングを逃すと給付を受けられない可能性があります。

介護は長期戦です。経済的な支援制度をうまく活用することで、介護者の負担を軽減し、より良い介護を続けていくことができます。さらに、介護保険制度は定期的に改正されるため、最新の情報を継続的に収集し、新たな支援制度も積極的に活用していくことが、長期的な介護生活を支える重要な要素となります。

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