真冬の穴釣りゲスト代表格『クジメ』ってどんな魚？ 煮付けで食べると美味な白身魚
冬の海でちょこちょこと目にする魚・「クジメ」。特に穴釣りをしていると、アイナメ狙いで釣れることが多いこの魚だが、実際にクジメがどんな魚か、どんな特徴が持つのかは、あまり詳しく知られていないかもしれない。今は、真冬の穴釣りゲストの代表格クジメについて、その生態などを紹介したい。
クジメって知ってる？
カサゴ、メバルは夏の穴釣りを盛り上げてくれる定番のターゲットである。冬はといえば、クジメやアイナメが登場するようになる。アイナメは比較的知名度が高い魚だが、「クジメ」は、どうだろうか？あるいは、区別なく扱われているかもしれない。しかし見かけももちろん、分類上も厳然と別の魚である。
クジメは、アイナメと並んで冬の穴釣りでよく釣れる魚だ。どちらかといえば本命アイナメ、ゲストとしてのクジメ、といった感じ。アイナメをターゲットにしている釣り人にとっては、近似種とはいってもクジメは残念ながら微妙。チヌのアングラーにとってのキビレみたいなものである。しかし、根魚の釣りのビギナーや、遊び程度の釣り人にとっては、実際釣れると意外な嬉しさがある魚だったりする。
クジメは寒い季節に活発に餌を食べるため、冬の釣りにおいては安定したターゲットとなる。寒さが厳しい中、しっかりとした引きを見せてくれるので、穴釣りアングラーにとってその存在感は大きい。
クジメの生態について
クジメは、スズキ目アイナメ科に属する魚で、特に日本海側を中心に分布している。体長は、通常は20センチ～30cmで、大きくなると40cmほど。穴釣りで釣れるのは、25cmほどまでだ。体は細長く、口が小さいのが特徴で、全体的に地味な色合いのため、他の根魚や雑魚と見間違えられることもあるが、慣れてしまえば、その細長い形状や微妙な斑模様を帯びる体色の違いから容易に見分けることができる。
クジメは底につく魚で、海底の岩礁や砂泥底などに住んでおり、昼間は陰に隠れていることが多い。穴釣りの好ターゲットだ。夜になると活動を活発にし、エサを求めてうろうろとするが、通常は底を離れる魚ではないので、狙って釣ってやる際には徹底して海底べったりを狙った釣り方が有効である。
基本的に餌釣りの魚
クジメは、基本的に餌釣りの対象魚である。口が小さく、ルアー釣りにはあまり向いていない。餌はアオイソメが基本だが、シラサエビもよく食う。生き餌を使用することで、釣果が上がってくるはずだ。
見かけの特徴「口の小ささ」とは裏腹に、捕食には貪婪な魚である。餌が底に落ちた瞬間にバクッと食い込むことが多い。瞬間的なバイトで、アワセるまでもないが、根に潜られないように注意しよう。
どうしてもルアーで釣りたいとなると、ジグヘッドをアジング用の小さなものにして、ワームも一口サイズの小さなものを選ぶといいだろう。ただ、それでもクジメの穴釣りをジグ単化するのは難しいと思う。筆者は以前偶然釣った程度だが、何せクジメのような魚が住まうエリアにはフグやベラなどのエサ取りが多く、そいつらが先にワームをかじってしまう。もしかすると、マヅメのメタルジグでリアクションバイトを狙ったほうがいいかもしれない。アタリははっきりしているので、拾いやすいはずだ。
食べてもおいしい良ゲスト
クジメは、釣れたらぜひ食べてみてほしい魚でもある。地味な見ため、そして「アイナメのゲスト」というイメージからは想像できないが、実は、この魚は非常においしい魚なのだ。
特に、しょうが風味の煮つけにすると、悶絶絶品級の味わいになる。身は柔らかく、脂が適度にのっていて、淡白な味わいが特徴だ。特に冬の寒い時期に釣れるクジメは、脂の乗りがよく、煮つけにするとその旨味が際立つ。
＜井上海生／TSURINEWSライター＞