沼間在住清水さん 友に託された桜貝 演奏会で作品展示と配布
逗子市沼間在住の清水勝男さん(79)のもとに3月上旬、大量の桜貝が舞い込んだ。グラウンドゴルフを通じて知り合った上田芳雄さん(82)が約20年かけて逗子海岸で拾い集めたものだ。
上田さんは1998年に、逗子海岸前のマンションに住み始め、妻と愛犬と一緒に朝晩、海岸を散歩するのが日課だった。妻が桜貝が好きで散歩の度に貝殻を拾い、20年の間に数えきれないほど集めていた。2017年に妻が亡くなり、貝殻を拾うことはなくなったが、手元にずっと残しておいた。この3月に引っ越しが決まり、大量の貝殻を破棄することも考えたが、妻との思い出を処分するのは忍びなく、旧知の間柄で、芸術活動に取り組む清水さんにその利用を託した。上田さんは「全てお任せだが、多くの人に喜んでもらえたらうれしい」と活用の仕方に期待する。
多才な元広告マン
清水さんは現役時代は大手広告代理店に勤務。定年後は大学で客員教授を務めた。60代まではゴルフ三昧。70歳になって山口蓬春記念館での水彩画教室をきっかけに、色鉛筆画、陶芸など芸術活動に傾倒。若い頃はエルヴィス・プレスリーに憧れ、大学時代にはフォークソングとエレキブームでバンドも組んだ。昨年、念願のギブソンのギターを購入。4月22日(火)に80歳の誕生日を迎えるにあたり、逗子文化プラザ1階さざなみホールで「Concert&Exhibition〜80才のプレゼン〜」と題した誕生日コンサートを企画した。ホール前のギャラリーではこれまで描いた絵画と陶芸作品も展示する。
そのなかの一つに桜貝を花びらに見立てたサクラの木の絵がある。「上田さんから託された貝殻を使った作品だと、経緯を書いたポスターも作って展示をし、興味のある方には貝殻を少しずつお分けしようと思う」と上田さんの思いに応える。
逗子と桜貝
浪子不動(高養寺)前に、「さくら貝の歌の碑」があるなど、逗子海岸は桜貝が多いイメージがあるが、この5年ほどは見かけることが少なくなったという。葉山しおさい博物館の倉持卓司さんによれば、養浜の影響で潮の流れが変化し、砂に埋まった貝殻が打ち上げられることが減ったのではないかという。
イベントについての問い合わせなどは清水さん【携帯電話】090・8844・9143。