【駿河湾フェリー運航再開】乗り場や券売所が変わり、より使いやすく魅力的に!フェリーで伊豆へ出かけよう!
静岡トピックスを勉強する時間「3時のドリル」。今回のテーマは「駿河湾フェリー運航再開」。先生役は静岡新聞の橋本和之論説委員長です。(SBSラジオ・ゴゴボラケのコーナー「3時のドリル」2025年4月15日放送)
(山田)今日は、清水港と土肥港を結ぶ駿河湾フェリーの話題です。運休していたんですね。4月18日に運航再開ということですが、改めて経緯を教えてください。
(橋本)駿河湾フェリーは利用したことがある方も多いと思います。今年1月7日から1カ月間の予定で定期点検が行われましたが、車両や人が乗降するために岸壁とフェリーをつなぐ箱型の補助船舶「台船」に穴が開いているのが確認されました。復旧作業を行うのに10日ほど運休期間を延長したんですが、その間に老朽化対策を検討する必要があるということらになって、さらに2カ月ほど運休期間を延ばしていたんです。それがようやく4月18日に再開されるということになりました。
本来なら3、4月は春の行楽シーズンで利用者が増える時期ですから、その前に再開したかったんだと思いますが、安全に関わる問題なので仕方なかったのでしょうね。
ターミナルも変更、より便利に
(橋本)今回の運航再開で、駿河湾フェリーにとってもう一つ重大な変化がありました。
フェリーの乗船場はこれまで日の出地区にありましたが、JR清水駅前の江尻地区に移転することです。
(山田)変わるんですよね。これまではけっこう駅から遠かったんですが。電車を利用する方はだいぶ便利になりましたね。
(橋本)駅から徒歩3分のところだそうです。コロナ収束後、外国からの訪日客が増えているので、輸送人員の拡大が重要な経営課題となっている駿河湾フェリーにとっては、そうした訪日客の需要を今まで以上に取り込みやすくなるのではないかと思います。
(山田)外国人のお客さんたちが清水に着いてすぐ、いろんなところに散らばっていくということになりますよね。
(橋本)そうですね。それに加えて、例えば新幹線で静岡駅まで来て在来線で移動し、降りて伊豆に行く、という乗降客も増える可能性があると思いますね。
自動車やバスに比べて伊豆への移動時間が短縮できるということもメリットの一つですが、やはり晴れた日は海側から雄大な富士山の景色を見ることができる点が、フェリーを利用する大きな動機になると思います。その意味でも、今回の乗船場移転は、大きなポイントだと考えます。
また、清水港に巨大なクルーズ船の寄港が増えていますね。日の出地区だと混雑するそうで、その混雑解消という意味もあるようです。
(山田)これだと、乗ってみたいなと思いますね。他にも変更をしたことがありますか?
(橋本)今回、ダイヤも変更されました。これまで土日祝日や繁忙期に運航されていた第4便はやめて、年間を通じて1日3便の3往復で運航になるということです。また清水港内を長く航行することや離着岸にも時間を要することから、片道の乗船時間が75分から90分に延びるようです。
(山田)なるほど。
(橋本)チケットの券売所や待ち合いスペースも移動し、「清水魚市場 河岸の市いちば館」に設置されます。
(山田)河岸の市も盛り上がるでしょうね〜。
(橋本)そうですね。行き帰りに、施設の中を見ることができるようになりますね。
(山田)戸田で塩を買って、土肥から乗ってまた河岸の市でお土産買って、みたいなこともできますね。海鮮丼など美味しいものもあるので、楽しめることも増えたということですね。
(橋本)当面、利用は徒歩と自転車だけということで、バイクや車は乗れないんです。台船がまだ修理ができてないそうです。徒歩で乗船する方は予約不要ですが、自転車の人は事前予約が必要だとホームページにありました。関心のある方は駿河湾フェリーのホームページなどで調べていただければと思います。
利用者増のきっかけに
(山田)リスナーからも、「海の上から富士山を眺められる貴重な体験ができていいですよね」「駿河湾フェリー、気持ち良かったですよ」などとメッセージが来ています。これを機にまた多くの方に利用してもらいたいですね。
(橋本)本当にそう思います。駿河湾フェリーを運営していた民間企業が、2019年3月末で事業から撤退すると発表し、その企業からフェリー1隻と関連施設一式の無償譲渡を受け、静岡県と関係する静岡、伊豆、下田、南伊豆、松崎、西伊豆の6市町でつくる一般社団法人が19年6月から運航事業を引き継いで今に至っています。
民間企業が撤退の判断をしたので、そもそも運営がなかなか難しいところが背景にあると思います。さらに、引き継いだ直後にコロナ禍があって利用者が激減し、コロナ収束後も思うように戻ってきてないという事情もあった中で、いろいろ努力はしたものの、19〜21年度は赤字でした。
22年度に初めて黒字を出しましたが、23年度はまた赤字に戻ってしまったということです。まだ利用客が目標の7割程度にとどまっているということなので、まずはこれを伸ばさないと経営の安定化もできないため、今回の変更を機に利用者を増やすことが最大の目標になると思います。
(山田)また周辺施設も、いろいろ新しくできそうな感じはしますね。
(橋本)先ほどお話にあったように、フェリーに乗る前や乗った後を楽しむような使い方もできるので、それを目当てに利用する人も当然いると思います。ここでぐっと大きく飛躍してもらいたいと思います。
民間企業が撤退を発表した当時は、静岡新聞の読者からも存続を望む投書などをいろいろいただきました。一定のファンがいますし、単なる観光資源というだけでなく、県民にとっては富士山と静岡の関わりを示すシンボルの一つという部分もあるので、今回のことが飛躍のきっかけになればいいなと思いますね。
(山田)県外から遊びに来た人たちにも、「駿河湾フェリー乗って伊豆の方行こうよ」っていう提案も今後もっとしやすくなると思います。我々も新しくなるところを改めて認識し、活用していくのが大事かもしれませんね。今日の勉強はこれでおしまい!