「ただ入る」から「正しく入る」へ 体に良いお風呂の入り方
さまざまな効果を得られる、「お風呂の入り方」を専門家に教えてもらいました。お風呂で健康習慣、始めましょう!
※体調不良の際は入浴を避け、持病や肌の不安がある方は医師の指示を守り入浴ください。
教えてくれたのは…
早坂信哉さん 7万人を超える入浴を医学的に研究してきたお風呂の専門家。新刊『入浴 それは、世界一簡単な健康習慣』(発行:アスコム/価格:税込み1,650円)発売中!
血流の改善による体と心に良い効果
お風呂に入ることでの効果は、短期間で得られるものと長期間続けることで得られるものがあります。
まず、短期的な最大の効果は、体が温まることで血管が拡張し、血液の流れが良くなることです。
血液は、体内にある約37兆個もの細胞に栄養分と酸素を運び、疲労物質などの老廃物を回収する重要な役割を担っています。
つまり、血流の改善こそが疲れを取り、体をリフレッシュさせる基盤となるのです。
また、温熱効果により神経の過敏性が抑えられるため、痛みの軽減も期待できます。
それから、睡眠に対する効果も非常に重要です。
入浴でいったん上がった体温が、その後約1時間半かけてゆっくりと下がっていく過程で、良質な睡眠がとれるようになります。
長期的な効果は、湯船に繰り返しつかることを生活習慣にすると、介護予防やうつ病の予防につながります。
さらに最近の研究では、認知症を予防するといった効果も期待されています。
湯温40度・10分間の全身浴
体に良い入浴方法は、「程よい温熱作用」を得るための時間と温度がポイント。
推奨されるのは、40度のお湯に10分間の全身浴です。
温度が熱すぎると交感神経が刺激され、体が興奮状態になり、リラックスできず逆効果に。
40度で10分間の入浴は、体の深部体温を約0.5度上げ、血流を十分良くします。
また、良質な睡眠を得るためには、寝る時間の90分前にお風呂から上がるのが理想的なタイミングです。
消化不良を避けるため、食事の直後や直前(30分〜1時間以内)は避けましょう。
ヒートショックや脱水などに注意
冬場の入浴では、ヒートショックに注意が必要です。
脱衣所に暖房器具を設置したり、お湯を張る際にふたをせず湯気を立てたり、入浴前にシャワーで浴槽や洗い場を温めるなど、温度差をなくす工夫をしてください。
そして、湯船につかる前には必ずかけ湯を忘れないこと。
冷えた体でいきなり湯船につかると急激に血圧が上がり危険です。
また、脱水予防のため、入浴前にコップ1〜2杯の水を飲むよう心掛けましょう。
脱水は血液をドロドロにし、脳梗塞や心筋梗塞のリスクを高めます。
血液をサラサラに保つためにも水分補給は重要です。
最後に、お風呂から上がる時は、立ちくらみを起こすことがありますので、湯船の縁に一度座ってから立ち上がるなど、ゆっくりと出るようにしましょう。
何げなく入っているお風呂ですが、適切な温度と時間、そして正しい準備を行うことで、心身共に快適な状態を維持できます。
これってどうなの? お風呂のギモン
入浴剤っていいの?
温熱作用を高める効果があるので◎。
成分がしっかりしている「医薬部外品」または「浴用化粧料」と書かれたものを選びましょう。
高温風呂っていいの?
42度以上の高温のお風呂は基本的におすすめしません。
若い方が目を覚ましたい場合に5分程度入るのは例外ですが、それ以外は血圧上昇のリスクがあります。
温泉の正しい入り方は?
基本的には自宅のお風呂と一緒ですが、温泉のお湯は水道水よりも体を温める力が強いので、汗がにじんできたらお湯から出るというのを目安にしてください。
複数の浴槽を楽しみたい場合は、一つ一つを短く切り上げることが大切です。
風呂上がりのコーヒー牛乳っていいの?
体に良いと言えます。
牛乳にはタンパク質が含まれており、水よりも脱水を補正する力が強く、体が温まると一時的に血糖値が下がるため糖分も補給できるからです。
未就学児の入浴の注意点は?
体温調節機能が未熟なので、子どもが熱いと言ったらぬるくして、出たいと言ったら出してあげましょう。
40度10分というのはあくまで大人の話。
子どもの体調に合わせてあげるのが一番です。
温泉は、刺激の少ない弱アルカリ性、中性、弱酸性の泉質が安心です。