「読み」が苦手ならイラストで、「書き」が苦手なら歌で 子供たちの〝得意〟を伸ばすICT教材、全国に拡大中
近年、人々の働き方はどんどん多様化してきている。
自宅での在宅勤務やや旅先での「ワーケーション」など働く場所も様々だし、フレックスタイム制などを用いて時間もある程度自由に勤務している人も多い。
そして、そんな変化は大人に限ったことではない。
ベネッセコーポレーション(本社:岡山県岡山市)では、多様化する子ども・学校の〝学び支援ニーズ〟に対応すべく、様々な取り組みを行っている。
2025年3月25日、その記者説明会が東京・赤坂で行われた。
ベネッセが展開するICT学習教材に「まるぐランド」がある。
問題文の読解などにも繋がることから、全ての学習の基礎となる〝読み書き〟を育てるための教材だ。
児童ひとりひとりの読み書きや発達特性の基礎スキルをはかり、それぞれの多様な特性に合わせた〝学び方〟を提供することで、児童に自信をつけ、未来を切り開く力を伸ばすことを目的としているという。
実際の効果は...
説明会には、山形県寒河江市の教育委員会・布川真二さんが登壇。「まるぐランド」を導入している市内の小学校での実践事例について発表した。
寒河江市が「まるぐランド」の導入を始めたのは2023年度。2024年度は2~4年生は全員、5・6年生は希望する特別支援学級で活用された。布川さんは、すでに様々な〝効果〟を実感していると述べる。学校現場からは、こんな声が届いているという。
「板書を見て書くのが苦手な子が、耳で覚える力が高いことが分かり、教師の範読をノートに取ることができた」 「クラスの中で学力の高い子どもが、記憶力に配慮が必要だという結果が出て、新たな気付きを得ることができた」 「これまで、全員に同じタイミング、同じ成果を求めていたが、その子なりのペース、結果、振り返りで学習を進めていくことのよさを実感できた」
まるぐランドではまず最初に、認知特性と読み書きのチェックテストを約30分かけて行う。それに基づき、細かい適性まで考慮した上で、個別最適化されたレッスンを自動で提案するのだという。
たとえば、目で見た情報を処理するのが得意な「視覚優位」で漢字の読みが苦手な児童の場合は、例文とイラストをセットで漢字を学習する。聞いた音の情報を処理するのが得意な「聴覚優位」で漢字の書きが苦手な児童であれば、部品を意識する〝おぼえうた〟で漢字を学習する、といった具合だ。
また、児童たちの小さな「できた」を褒められるような情報提供・指導サポートも先生向けに行われている。
まるぐランドは、寒河江市の他にも、東京都江戸川区や埼玉県鴻巣市、熊本県天草市など複数の自治体で導入されている。ベネッセの広報担当者によれば、2024年度の導入自治体数は、前年度の1.8倍に増えているとのことだ。
また、ベネッセでは25年4月より、通信制サポート校「ベネッセ高等学院」を開校。ここでも、ICTを活用し、小中学校の勉強で不安が残る箇所をやり直せる「進研ゼミ√Route Be」やオンラインで全国に友達が作れる「バーチャルキャンパス」など様々な専用教材を導入予定だ。
それぞれの特性を理解した上で、〝得意〟を伸ばし、やりたいことを見つける手助けをする。
そんなベネッセの取り組みは、これからの時代、ますます広がっていくことだろう。