「初めて転職」で押さえておくべき転職エージェントとの正しい付き合い方【転職デビルに聞く!キャリアの真実】
初めての転職活動、「何から始めたらいいのか分からない」と不安を感じる人は多いでしょう。そんな時に心強い味方となるのが、転職エージェントです。転職エージェントは豊富な求人情報と専門知識を提供してくれて、選考のサポートもしてもらえますが、その一方で付き合い方には一定の注意が必要です。
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そう語るのは、転職・キャリアをテーマにX(旧Twitter)、note、書籍で情報を発信するライター、転職デビルこと安斎響市さん。今回は安斎さんに、 「転職エージェントを賢く使うための3つのポイント」について伺いました。
ホワイト企業希望者こそ、転職エージェントの「非公開求人」を狙え
転職エージェントを利用する最大のメリットの一つは、「非公開求人」へのアクセスです。
多くの企業は、重要なポジションや戦略的な採用に関しては、一般の求人サイトではなく、信頼できるエージェントを通じて求人募集をします。これらの求人は「非公開求人」と呼ばれ、転職エージェントに登録しなければ募集要項を見ることさえできません。
こういう話をすると「転職エージェントの肩を持つのか」「大手エージェントの回し者じゃないか」と難色を示す人もいますが、私はあくまで、求職者目線でのメリット・デメリットを加味した内容として紹介しています。
事実上、転職エージェントに一切登録しないで転職活動をするのはデメリットが大きすぎます。 給料や労働条件が比較的良く、働きやすい環境のホワイト企業の求人にも「非公開求人」は一定ある ものです。そうした求人は、エージェント経由でなければ応募は不可能です。
ただし注意点として、転職エージェントに登録すれば自動的にすべての非公開求人にアクセスできるようになるわけではありません。
個人的な希望やスキルセット、志望業界などをエージェントにしっかり伝え、彼らが持つネットワークを活用して、自分に最適な求人を見つけてもらう必要があります。
転職エージェントは「企業から報酬を得るビジネス」だと理解する
転職エージェントは企業側から報酬を得て成り立っているサービスです。
つまり、彼らの主要なクライアントは「企業」であり、求職者ではありません。このことを理解しておくのが、エージェントを賢く使うための第二のポイントです。
求職者にとって、転職エージェントのサービスを無料で利用できるのは本当に有難いことです。しかし、無料で利用できるということは、実は自分がエージェントにとって「お客様」ではないという事実を示しています。
このため、 エージェントが提供する求人が必ずしも「求職者にとって最適な仕事」であるとは限らない のです。エージェントは、企業の採用ニーズに応じて候補者を推薦するため、時には求職者の希望とは明らかに異なる求人が紹介されることもあります。
中には、「とりあえず20社応募しましょう!」と、“数撃てば当たる” 方式で強引に面接に誘導しようとする担当者も実際にいます。
転職エージェントはあくまで、求職者の入社が決まった後に仲介料を得るビジネスとして成り立っているため、報酬を得るために できるだけ早く、沢山の企業の面接に送り込もうとする傾向がある ことも、念頭に置いておきましょう。
複数の転職エージェントを使い分けて、バランスよく活用する
転職エージェントとのコミュニケーションにおいては、エージェント担当者に頼りすぎることは避け、常に自分のキャリアビジョンや長期目標を第一に考えるべきです。
エージェントから紹介された求人が自分に合わないと感じたら、無理に応募する必要はありません。担当者のアドバイスは参考にしつつも、 自分自身で求人をしっかり精査し、最終的な判断を下すことが重要 です。
また、転職エージェントは複数登録しておきましょう。
エージェントごとに得意とする業界や職種、企業とのコネクションが異なるため、1社だけに頼るのではなく、複数のエージェントを使い分けるのが転職活動の基本です。大手の総合型、専門分野を持った業種/職種特化型など様々なタイプのエージェントを同時併用することで、幅広い求人情報へのアクセスが可能になり、異なる視点からのアドバイスを受けることができます。
複数のエージェント担当者からの提案やアドバイスを比較することで、自分を客観的に見つめ直し、適性を把握した上で、より自分に合った方法で転職活動を進められる でしょう。
ただし、当然ながら、複数の転職エージェントと同時に付き合う場合、面接や面談のスケジュール調整、進捗把握などが煩雑になったり、事前準備に使える時間が分散して中途半端になったりと、デメリットもあります。
あまり多くのエージェントを併用し過ぎると時間の浪費になり、自分の首を絞めることになるので、 同時期に利用する転職エージェントは2社~3社程度にしておくのがオススメ です。
初めての転職活動では、とりあえず大手の転職エージェント1社に登録しつつ、転職ポータルサイトや求人検索サイト経由で知り合うことのできる小規模なエージェント1社~2社程度に絞ってやり取りをしながら、様子を見て進めるのが良いでしょう。
以上、3つのポイントを理解し、実践することで、転職エージェントを有効活用し、より効果的な転職活動を行うことができるはずです。
転職活動は、エージェントの力を借りつつも、自分のキャリアビジョンに沿って進めることが成功への鍵です。転職活動の主導権を握るのは、あくまで自分自身です。
プロフィール
安斎響市@転職デビル
1987年生まれ。日系大手メーカー海外営業部、外資系大手IT企業の事業企画部長などを経て、2023年に独立。「転職とキャリア」をテーマに、X(旧Twitter)、note、書籍などで情報発信を続けている。Xフォロワー4.4万人。転職活動の実践ノウハウを語る週刊連載noteマガジンの有料会員は、累計7,000名を突破。
代表著書
『私にも転職って、できますか? 〜はじめての転職活動のときに知りたかった本音の話〜(ソーテック社)』
『転職の最終兵器 未来を変える転職のための21のヒント(かんき出版)』
『すごい面接の技術 転職活動で「選ばれる人」になる唯一の方法(ソーテック社)』
『正しいキャリアの選び方 会社に縛られず「生き残る人材」になる100のルール(ソーテック社)』
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