日々学ぶ、挑戦の連続 室川さん作陶展 10日から伊賀市で
手回しろくろとまき窯で温かみにあふれた食器を作り続ける三重県伊賀市馬田の室川嗣夫さん(79)が、5月10から18日まで同市上野福居町のギャラリー「アートスペースいが」で作陶展を開く。入場無料。
京都市出身で、20代のころ、桃山時代の焼物の再現などに尽力した人間国宝の陶芸家・荒川豊蔵さん(故人)に感銘を受け、「学ばせてほしい」と懇願し師事。丹波、宇治、多治見を経て、1985年に現在地で穴窯を築き、実用的な食器の創作に没頭してきた。
窯に火を入れるのは年1回だが、それは「夢の破れる時」と苦笑する。気に入るもの、納得するものができるかどうか、毎回が新たな挑戦の連続だからだ。「仕事を通じ、常に刺激を受けていたい」と、貪欲に学ぶ姿勢は歳を重ねても変わらない。
伊賀で2019年から毎年個展を開いている室川さんは「どんな時代でも、気に入ったもの、思い出深いものをそばに置いて暮らすのは幸せなこと。それが、自分が作って気に入った器であったなら、なおありがたい」と穏やかに語った。
時間は午前11時から午後6時(最終日は同5時)まで。14日休館。丸みのあるしょうゆ差し、高坏など、生活を彩る食器と花器の新作50点ほどが並ぶ予定。
問い合わせは同ギャラリー(0595・22・0522)へ。
2025年5月10日付891号5面から