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ラグビー好き、うのスタに集合! 3年目の「おとラグ」 釜石ラグビーを知り、SW選手とプレー体験

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 「大人だってラグビーしたい!」。競技性の高いラグビーを交流のツールとし、選手が感じている魅力を仲間と体感できるコミュニティー「おとラグ」が6月21、22の両日、釜石市でイベントを行った。一般社団法人Joynt(喜連航平代表理事、東京都)が企画、運営する体験プログラムの一環で、釜石開催は3回目。参加者は2019年のラグビーワールドカップ(W杯)日本大会の会場となった釜石鵜住居復興スタジアム(うのスタ)などで楕円(だえん)のボールに親しみ、“ラグビー好き”の輪を広げた。

 関東、東北圏から男女18人が参加。初日は、うのスタと釜石ラグビーの歴史を学ぶプログラムが組まれた。スタジアムの成り立ちを説明したのは、日本製鉄釜石シーウェイブス(SW)の現役選手で同市文化スポーツ課職員の青柳魁さん(24)。東日本大震災津波にのまれた小中学校跡地にW杯誘致のために建設されたこと、建物には尾崎半島林野火災の被災木が使われ、災害への備えとして貯水槽が整備されていることなどを紹介した。市職員としてスタジアムの案内、利用受付などの業務にあたる青柳さんに、参加者からはさまざまな質問が…。選手として「復興の象徴」の場所で戦う意義、誇りも示した。

釜石鵜住居復興スタジアムの成り立ち、施設の特徴などについて青柳魁さん(写真右上)が説明=6月21日午後


 同市地域おこし協力隊でラグビー普及コーディネーターとして活動、SW事務局の総務も担当する竹中伸明さん(36)は、“24216(日)”という数字をもとに独自の視点で釜石ラグビーの歴史を紹介。日本選手権7連覇の偉業を成し遂げた新日鉄釜石ラグビー部の活躍、地域密着型クラブチーム「釜石シーウェイブスRFC(現日本製鉄釜石SW)」の誕生、震災後のSWの活動などを説明した。先の日数の起点は1959(昭和34)年3月4日。市内で初めて本県高校ラグビー強豪校の招待試合が行われた日で、翌60年4月、富士鉄釜石ラグビー同好会(後の新日鉄釜石同部)が発足した。竹中さんは「SWの誕生がラグビーを使った地域づくりにつながった。“ラグビーのまち”が過去形にならなかったのは、さまざまな人々が寄せてきた釜石への思いのおかげ。それによって今日(24216日目)がある」とした。

竹中伸明さん(写真右上)による釜石ラグビーの歴史解説は面白い視点で参加者の興味を引いた


 貴重な学びの後は、根浜海岸でのビーチラグビー。砂に足を取られながらも、ボールを使った遊びやパス回しを楽しんだ。数人は受けたボールを手に海中ダイブ。今季の海開きを先取りした。

夕方の根浜海岸でビーチラグビー交流。たくさんの笑顔が弾ける


絶好のロケーションの中で体を動かすのは最高!海へダイビング“トライ”も


最後はやっぱりこうなる!? 喜連代表(中央)を海にいざなう参加者。遊びも全力で!


 2日目は、うのスタでプレー体験が行われた。SWからロック山田龍之介(33)、フルバック今大輝(23)、プロップ青柳魁の3選手が協力した。ボールを使ったゲームで参加者同士が親睦を深めた後、タックル、キック、スクラムを実体験。3選手からコツを教わりながら、試合観戦で見るだけだったプレーの一部を自分の体で味わった。パスをつないでトライまで持ち込む実戦形式の体験も。参加者は攻防も楽しんだ。

選手入場を疑似体験する参加者。でんぐり返しも!=6月22日午前


釜石SWの山田龍之介選手とボール回しを楽しむ


青柳魁選手(左)を相手にスクラム体験。観戦では分からなかったことに目からうろこ


山田選手が持つ練習用具に体を当て、タックルの感覚をつかむ


 宮城県仙台市から参加した岩間千帆美さん(26)は父親がラグビー経験者。「自分もやってみたい」との思いはあったが、これまで機会がなかった。「すごく楽しい。新鮮味もあって」と目を輝かせ、「ラグビーは仲間を大切にする。観戦の時も感じたが、相手選手へのリスペクトの気持ちが他のスポーツ以上」と実感。出身は釜石市。他の参加者が「うのスタをラグビーの聖地みたいに言ってくれたり、『釜石、いい所だね』と言ってくれるのがうれしい」と声を弾ませた。

 青森県八戸市の田口佳稔さん(62)は大学以来40年ぶりのラグビー。「今のボールを初めて触った。皮のボールしか知らないので」と笑い、「みんな上手でびっくり。知り合いも増えた」と収穫を口にした。震災の翌年から来釜。仙人峠マラソン大会の“常連”で、うのスタには建設段階から足を運んでいた。「ここまで復興したのは本当にすごい。自然豊かで、魅力が詰まった場所」と特別感を表した。

楕円のボールキャッチは難しい?? 両手のひらをしっかり広げてつかむ


最後は実戦形式で。相手をかわしトライを取る喜びは格別


 「人に教えることが好き。貴重な機会をいただき光栄」と感謝したのはSWの今選手。キック指導で力を発揮した。「コアな質問も出たりし、みんなラグビーが本当に好きなんだと感じた」。ファンと試合後に話す機会はあるが、ラグビーを一緒にするという経験はめったにない。「選手ができることを地道にやっていけば、ファンも増えると思う。これからも互いに協力し合っていけたら」と未来を描いた。

今大輝選手はキックの際のボールの落とし方を伝授(写真右)。参加者はコツをつかむと上手に蹴り出していた


 運営母体の同法人は、現九州電力キューデンヴォルテクス所属選手の喜連航平さん(30、SO)が中心となり、2023年2月に設立。19年のW杯でファンが増えたのを好機に、ラグビー精神の奥深さを選手目線で感じてほしいと、交流スポーツとしての体験プログラムの提供を始めた。釜石など地方へのツアーを兼ねたもののほか、首都圏で定期開催するビーチラグビー交流会、今回のうのスタ2日目のような体験メニューなど各種コースがあり、年間実施回数は約50回にも及ぶ。「おとラグ」参加者が各地で「エリアコミュニティー」を立ち上げ、自主的に活動するケースも。

ラグビーW杯2019のレガシーが残る最上階の部屋で記念の一枚


一般社団法人Joynt代表理事の喜連航平さん(右)。今後の釜石開催にも意欲を見せる


 釜石市は「おとラグ」ツアーの東北唯一の開催地。今年は釜石ラグビーをより深く知る内容で行われた。喜連さんは「鵜住居のスタジアム、地域クラブチームのSWなど釜石には独特の資源がたくさん。ここでやることは震災を風化させないという意味でも大きな意義がある」と強調。参加者同士がコミュニケーションを取りながらワンチームになっていく姿も「ラグビーの助け合いの精神の表れ」と喜ぶ。釜石開催は今後も継続していきたい考え。

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