「パスタVS丼」ランチにオススメなのはどちらなのか、糖尿病専門ドクターが検証結果を公開
糖尿病内科医の山村 聡さんは、自身のYouTubeで血糖値に関する情報を発信し、多くの反響を呼んでいます。書籍『糖尿病専門ドクターが検証! 血糖値を下げる食事法について、実際に試してみた』(KADOKAWA)は、YouTubeで特に人気のあったテーマを厳選し、さらに動画では伝えきれなかった情報や、本書だけの新しい内容を盛り込んだ1冊です。「これを食べたら、血糖値はどれくらい上がる?」この切実な問いに答えるため、著者が実際に食べ、血糖値の変化を検証。具体的なデータと、血糖値を上げにくい食品の選び方、食事の工夫をわかりやすく解説しています。今回はこの本の中から、誤解している方が多い「血糖値を上げにくい食べ物」についての比較・検証をご紹介します。
※本記事は山村 聡(著)による書籍『糖尿病専門ドクターが検証! 血糖値を下げる食事法について、実際に試してみた』から一部抜粋・編集しました。
【パスタVS.丼】ランチの王道グルメ対決、血糖値はどこまで上がる?
【初期値】
パスタ(カルボナーラ):91mg/dL
牛丼(並盛):95mg/dL
↓(パスタ:110分後 牛丼:70分後)
【最大値】
パスタ(カルボナーラ):172mg/dL
牛丼(並盛):169mg/dL
【上昇幅】
パスタ(カルボナーラ):81mg/dL
牛丼(並盛):74mg/dL
カルボナーラ:エネルギー737kcal 炭水化物83.3g(糖質79.0g、脂質31.8g)
牛丼(並盛):エネルギー633kcal 炭水化物88.2g
今日のお昼、何を食べようかと考えたとき、みなさんの頭に浮かぶレシピはどんなものがあるでしょう?
パスタや丼物をあげるかたも多いに違いありません。ここでは、お昼の王道メニューとして、カルボナーラと牛丼(並盛)で検証を行ってみました。
まずは、カルボナーラ。
初期値は91mg/dL。食後、血糖値はゆっくりとゆっくりと上がっていき、70分後にいったんピークを形作ります。しかし、その後、いったん下がりかけた血糖値は、再び上昇。ようやく110分後に最高値を記録しました。その値が172mg/dL。上昇幅は81mg/dLとなっています。
カルボナーラの場合、食後血糖値の山が2つできていますから、これは、明らかに二峰性の変動ということになります。
次に、牛丼並盛。
初期値が95mg/dL。血糖値は急上昇し、70分の時点でピーク。169mg/dLを記録しました。上昇幅は74mg/dLです。
カルボナーラは、血糖値が上昇する際も、下降する際も、非常にゆっくりでした。カルボナーラには、多くの脂質(含有量31・8g)が含まれているため、こうした現象を引き起こしていると考えられます。
二峰性の変動が起こっているところからも、炭水化物の摂取しすぎになっていることは明らかですね。カルボナーラには83・3gの炭水化物(糖質79・0g)が含まれます。
お昼に、こうした二峰性の変動を起こしてしまうような食事をとると、午後には強烈な眠気に襲われたり、だるくなったりします。
血糖値を気にしているかたでなくとも、午後の仕事をしっかりやりたいビジネスパーソンにとっては、あまりおすすめできないメニューといっていいかもしれません。ましてや午後に重要な会議がある人などは、できるだけ避けたいですね。
脂質をある程度含んだ食品は、血糖値の上昇をゆっくりに、ピークも低めに抑制できるとお話ししてきました。いわば、それは脂質を含んだ食材をとることのメリットでした。
しかし、カルボナーラの場合のように、糖質も脂質もたっぷりある食品では、脂質の影響で血糖値の上昇下降が非常にゆっくりになる結果、血糖値が高めの状態がかなり長い間続くことになります。
その分、血管やすい臓にかかる負担が大きくなります。これは脂質多めの食品のデメリットといってもよいでしょう。
カルボナーラに比べて、牛丼のほうは、血糖値が急上昇したのち、ストンと下がっています。含まれる炭水化物は88・2g。この大量の炭水化物によって、明らかな血糖値スパイクが起きているわけです。
こちらも、カルボナーラと同様、お昼には、あまりすすめられないレシピということになるでしょう。
結論
・パスタvs.丼物の対決は、両者ともに大きな血糖値上昇を引き起こし、痛み分け
・お昼のパスタや丼物は、午後の会議の大敵