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チェッカーズ「GO TOUR」メンバー7人の誰が欠けても成立しないライブバンドの凄み!

Re:minder

2024年12月25日 チェッカーズのBlu-ray「チェッカーズ 1987 GO TOUR at 中野サンプラザ【完全版】」発売日

劇場公開ではカットされていたカバー曲の演奏も収録


2024年春、全国の劇場を沸かせた『チェッカーズ 1987 GO TOUR at 中野サンプラザ』のデジタルレストア版爆音上映会。

ザ・チェッカーズ(以下:チェッカーズ)がセルフプロデュースに舵を切った5枚目のアルバム『GO』をリリースした直後のライブ映像が37年の時を経て復活したことにファンは熱狂。劇場では声出しOKということもあり、ライブ現場さながらの臨場感が楽しめた。そして、このライブ映像が『チェッカーズ 1987 GO TOUR at 中野サンプラザ【完全版】』として2024年12月25日にBlu-rayでリリースされる。今回のリリースでは、劇場公開ではカットされていたカバー曲の演奏も収録されている。

また、本作は40周年特設サイト限定の『チェッカーズ 40th ANNIVERSARY GO TOUR SPECIAL Blu-ray BOX』としても発売。このボックスには中野サンプラザ公演に加えて、大阪球場公演と日本武道館公演の映像も収録。すべてのライブ映像素材をレストアして高画質化、さらにドルビーアトモスMIX音声も追加したBlu-ray3枚組の永久保存版となっている。

これまでのチェッカーズサウンドとは明らかに一線を画していた「NANA」


1987年、チェッカーズの音の進化は目を見張るものがあった。作詞:藤井郁弥(現:藤井フミヤ)、作曲:藤井尚之という、シングルとしては初めてメンバーがソングライティングに名を連ねた「NANA」はブリティッシュビートを下敷きにマイナーコードでフックを効かせた作風。それまでのチェッカーズサウンドとは明らかに一線を画していた。

しかしその反面、サックスを主体としたアレンジ、サイドボーカルの際立たせ方は、これまでのチェッカーズサウンドを踏襲したもので「哀しくてジェラシー」「ジュリアに傷心」などで感じられる “青春の焦燥” ともいえるセンチメンタリズムも十分に感じ取れた。

つまり、チェッカーズはファンの期待を裏切らず、自分たちの作り上げてきたものを葬るのではなく、そこを踏まえて一歩踏み出したということになる。それは初の全編セルフプロデュースアルバム『GO』でも同じことが言える。ドリーミーなチェッカーズの側面を残しながらも、UK寄りのサウンドフォーマットを独自の解釈で昇華させた。それは、ファンに “僕たちの新しい世界を見せてあげるよ” といざなっているようにも感じられた。

ここからチェッカーズが始まったことを忘れてはならない珠玉のカバー


そんな時期のライブの集大成である『GO TOUR』。そこで披露されたカバー曲が「ザ・ワンダラー 〜 ビー・バップ・ア・ルーラ 〜 ザ・ワンダラー」メドレー、「ロック・アラウンド・ザ・クロック」、「ウィスパーリング・ベルズ」というのは、チェッカーズバンドの根源を象徴しているようで興味深い。

これらの楽曲は彼らがアマチュア時代に恋焦がれたアメリカン・フィフティーズの名曲たちだ。著しい音楽的進化を遂げたこの時期にあえて原点回帰し、自分たちのルーツに向き合いながら “ここからチェッカーズが始まったことを忘れてはならない” と自分たちを鼓舞しているようにも感じられた。

「ザ・ワンダラー」は1950年代後半に活躍したドゥーワップ・グループ、ザ・ベルモンツ出身のディオンによるヒット曲で、1979年のアメリカ青春映画『ワンダラーズ』の主題歌としてもお馴染み。一時期はストレイ・キャッツがオープニングのSEに使っていた。哀愁を漂わせながらも、自由への憧憬を存分に感じ取れるミディアムナンバーだ。

「ビー・バップ・ア・ルーラ」(ジーン・ヴィンセント)、映画『アメリカン・グラフィティ』のオープニングでも知られる「ロック・アラウンド・ザ・クロック」(ビル・ヘイリー&ヒズ・コメッツ)はもはや誰もが知るアメリカン・オールディーズの金字塔と言ってもいいだろう。そして「ウィスパーリング・ベルズ」は結成当時のチェッカーズにとって目標のひとつであったドゥーワップ・グループ、デル・ヴァイキングスの代表曲だ。

これらは、練りに練ったマニアックな選曲というわけではなく、自分たちがアマチュア時代から彼らの根源にあったアメリカン・フィフティーズの世界を肩肘張ることなく披露している。そこにはコーラスワークの見事さもあるし、何よりも “音楽が好きで好きでたまらない” 。これが俺たちの原点だよと言わんばかりの多幸感が溢れているのが素晴らしい。もちろん、キャリアを重ねたパフォーマンスは研ぎ澄まされているが、そういったテクニックを凌駕した音楽の楽しさ、素晴らしさを十二分に体現している。サウンドは尖りまくっているのだけど、両手を広げてファンを迎え入れるような相反する魅力があった。

メンバー7人のうち誰が欠けても成立しない世界観


オープニングナンバー「REVOLUTION 2007」では、安定感のあるバッキングの演奏と、高杢禎彦、鶴久政治というサイドボーカルの個性が見事に調和する中で、郁弥の伸びのあるボーカルがホール全体に響き渡る。

メンバー7人のうち誰が欠けても成立しない世界観に観客は熱狂する。ステージの構成も自らが手掛けるチェッカーズのフォーメーション。とにかく目の前の観客を楽しませることに一意専心している。ヒットメイカーであり、アルバムアーティストであり、そしてライブバンド。デビューから4年で確立させたバンドの凄みが存分に伝わってくる。

そして、モータウン的なアプローチを施した2曲目の「クレイジーパラダイスへようこそ」や、鶴久がリードボーカルをとる、ジャングルビートにアレンジされた後半の「HE ME TWO(禁じられた二人)」など、デビュー以降に彼らが吸収していった音楽性が自然体となって表れている。

常に現在進行形のバンドであったチェッカーズ


アルバムに収録されたオリジナル曲中心のセットリストが中心のステージだが、「俺たちのロカビリーナイト」「Song for U.S.A.」「ジュリアに傷心」といった売野雅勇 / 芹沢廣明コンビがソングライティングを手がけた頃のヒット曲も忘れない。それはヒットしたからとか、ファンサービスだからとか、そういう心情ではなく、あくまでも自分たちの軌跡をしっかりと確かめるかのように、1987年時点でのチェッカーズの音として打ち出している。

チェッカーズはデビューから1992年の解散まで常に現在進行形のバンドであった。自らのルーツであるアメリカン・オールディーズ、ドゥーワップ・サウンドを常に矜持としながら、革新的に音を開拓し、ヒット曲にすがることは一度もなかった。そんな彼らの記録が『GO TOUR』の映像には凝縮されている。

チェッカーズ 40th ANNIVERSARY GO TOUR SPECIAL Blu-ray BOX(ポニーキャニオンショッピングクラブ限定商品)

チェッカーズの幻のライブ、1987年『GO TOUR』中野サンプラザ公演をBlu-ray化。さらに大阪球場、日本武道館での『GO TOUR』ライブ映像を含むBlu-ray3枚組BOX
▶ Disc1:GO SUMMER TOUR at 大阪球場【Remaster Edition】
▶ Disc2:GO TOUR at 中野サンプラザ【完全版】
▶ Disc3:GO WINTER TOUR at 日本武道館【Remaster Edition】
▶ Blu-ray3枚組 / 特製ミニフォトブック付 / 三方背BOX収納マルチケース仕様
▶ 発売日:2024年12月25日(水)

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