市立小中学校の調査 問題行動などが増加 関係機関と連携し対策
伊勢原市教育委員会が昨年末に公表した「2023年度の児童生徒の問題行動・不登校等調査結果」(市立小中学校が対象)によると、暴力行為の発生件数は95件でコロナ禍前の19年度の2倍に迫る数値となった。いじめ認知件数も増加し、計520件に上った。不登校の児童生徒数も増加傾向にあり、市教委は関係機関と連携した対策強化に乗り出している。
調査によると、小学校では全ての学年で、中学校では1、2年生で暴力行為が多く発生している。背景には、コロナ禍明けで学校活動が再開されたことによるストレスや学業の不振、人間関係の悩みなどが考えられるという。
いじめについては、教職員による積極的な観察や児童生徒からの相談増加などにより、認知件数が前年度より93件増加し、計520件だった。態様別では、「冷やかしやからかい、悪口や脅し文句、嫌なことを言われる」が191件と最も多く、次いで「軽くぶつかられたり、遊ぶふりをしてたたかれたり、蹴られたりする」が94件となっている。SNSでの誹謗中傷も増加しており、情報モラル教育の必要性が高まっている。
不登校の児童生徒数は前年度より40人増加し、計235人だった。市教委は、文部科学省の通知に基づき、不登校を問題行動として判断せず、様々な要因や背景によりどの児童生徒にも起こりうることと捉え、個々の児童生徒の状況に応じた支援を継続している。
教育相談や居場所づくりを推進
こうした状況を受け、市は問題行動と不登校の対策を強化している。市教育センターでは、専門の相談員が電話、面談などで教育相談に対応しているほか、各学校にもスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーを配置し、早期の解決を図っている。自分の学校に籍を置いたまま通うことができる教育支援教室「やまどり」もセンター内に設置されており、カウンセリングや学習支援に力を入れる。
市青少年課では、不登校、引きこもり対策として児童生徒からおおむね30歳までを対象とした「アオハルルーム」を市内に開設。自由な空間を提供し、当事者同士の交流を促進する。保護者には「午後カフェ」を定期的に開催し、悩みや不安を共有できる場を提供している。また、民間でもフリースクールが開所されるなど、居場所づくりへの取り組みが進められている。
市教委は「PTAや学校運営協議会、地域、関係機関と更なる連携し、児童生徒が安心して生活できる体制づくりを目指したい」としている。