『グレイテスト・ショーマン』ヒュー・ジャックマンが楽曲に納得せず製作中止のピンチだった ─ 救ったのは『BETTER MAN』ロビー・ウィリアムズ
ヒュー・ジャックマン主演の大ヒットミュージカル映画『グレイテスト・ショーマン』(2017)は、サウンドトラックも世界的ヒットを記録した。しかし、一時はジャックマンが音楽に納得できず、製作中止の可能性も浮上していたという。その危機を回避した裏には、ある人物の協力があったようだ。マイケル・グレイシー監督が米やに語っている。
本作は、19世紀に活躍した興行師P・T・バーナム(ジャックマン)の成功を描いた物語。音楽を『ラ・ラ・ランド』の作詞作曲コンビが手がけ、サウンドトラックは「2018年に最も売れたCDアルバム」となるほどの大ヒットを記録した。オープニング楽曲『The Greatest Show』や主題歌『This Is Me』など、映画未見の人でも耳にしたことがある曲は多いだろう。
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しかしグレイシー監督によると、主演のヒュー・ジャックマンは一時、楽曲に不安を抱いていたという。撮影直前、ジャックマンから「ミュージカルの成功は、音楽にかかっています。この音楽は十分な出来ではない。最初から作り直す必要があります」と告げられたそうだ。
本作は、既存のファンベースがない完全オリジナルのミュージカルであり、グレイシーにとっては長編映画監督デビュー作。いわゆるリスクの高い作品とされ、「スタジオがこれを聞いたら、絶対に映画の製作を中止する」とグレイシーは思ったという。「ヒューが“全曲を作り直したい”なんて言ったら、オリジナルミュージカル作品の制作を進めるわけがない」。
映画を完成させるには、ジャックマンへの説得が不可欠だ。そんな状況で監督の頭に浮かんだのは、世界的ポップスターのロビー・ウィリアムズだった。「ロビー・ウィリアムズのような人が、彼を説得したらどうだろう?」
その背景には、ジャックマンがウィリアムズを参考に、P・T・バーナムの役作りをしていたことがある。事あるごとに彼がウィリアムズの名前を出すため、スタッフの間では「ある種のジョークになっていた」とのこと。そこで監督は、共通の知人を通じてウィリアムズに連絡。彼に楽曲を聴いてもらい、動画を通じてジャックマンを説得してほしいと頼んだという。
突然の依頼にもかかわらず、ウィリアムズは楽曲をしっかり聴き、気に入った様子を見せていたそう。その後、カメラの前でジャックマンに向けてこう語りかけたという。「ここ1年間、新しいアルバムの制作に取り組んできた。でも、この映画の曲を歌えるならアルバムは捨ててもいい。もし僕たちが誰にも見られずにお茶していたら、君をティーカップで殴り殺してでもP・T・バーナム役を奪い取るだろうね」。
そのメッセージ動画を受け取ったジャックマンは、考えを改め、すぐグレイシーに「よし、やりましょう」と連絡したそう。「もし彼が音楽を一から作り直そうとしていたら、映画は打ち切りになったでしょう。初監督の下でオリジナルのミュージカル映画を作るのは、あまりにリスクが高すぎる。僕は、ロビーがこの映画を救ったと考えています」と振り返っている。
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ちなみに、この出来事をきっかけに、グレイシー監督はロビー・ウィリアムズの人生を描くミュージカル映画『BETTER MAN/ベター・マン』を制作。ウィリアムズをサルとして描くという奇想天外なアイデアの下、斬新な映像表現と圧巻のミュージカルシーンが繰り広げられる。同作は2025年3月28日より日本公開。
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