道の駅マニア注目の新駅「そらっと牧之原」が想像を超えてた! ライブ会場みたいな待機列に感じたムーブメント
東京都に住んでいると遠い存在である道の駅。しかし、そんな道の駅は2025年現在、全国に1200駅以上ある。近年、娯楽性を意識した道の駅もできていて、ロードサイドの休憩所というイメージが古いものになりつつあることは、以前お伝えした「道の駅 保田小学校」などの記事でも感じられるのではないだろうか。
そんな道の駅を700駅以上巡っているマニア注目の新駅がオープンするという。そこで初めてプレオープンに行ってみたところ盛り上がりが想像を超えてた! え、そんなに?
・牧之原市
その道の駅とは『そらっと牧之原』。7月18日にオープンとなる静岡県牧之原市初の道の駅だ。マップで見てみると牧之原市は焼津のさらに下の駿河湾沿い。鉄道は余裕で通ってない。そんなわけで、声をかけてくれた道の駅マニアYouTuber『拝啓、道の駅から』と車で一緒に行くことになった。
・「拝啓、道の駅から」とは
『拝啓、道の駅から』はだんぺいさんとスーザンさんの2人組で、道の駅を紹介するYouTubeチャンネルを運営している。その範囲は全国的で、私(中澤)としては、日本一行くのが困難と言われる『道の駅とくのしま』に一緒に行ったことが思い出深い。
2人の顔を見るとあの地獄の船旅を思い出す。我々は年末に何をやってるのか? そんな根源的な疑問を感じる30時間だった。俺、1人だったら乗り越えられなかったよ。車内でもその話題になったから『拝啓、道の駅から』の道の駅巡りにおいても特殊な事例だったようだ。体張りすぎな2人だけど、楽しみながらやっているのが良い。
・注目の理由
そんな『拝啓、道の駅から』が牧之原に注目する理由は、運営会社がTTC株式会社だからなのだそうな。なんでも、今、TTC株式会社は勢いがあるらしい。手掛ける道の駅に気が利いてるのだとか。現地で最先端を追っているマニアならではの着眼点と言えるだろう。
やがて景色は広大な田んぼへ変わる。その中にはお茶畑も。なんでも牧之原市は日本一のお茶の産地らしい。ポツポツした民家のバックになだらかな山がある景色が独特だ。
牧之原市自体は海に面しているけど、どうやら道の駅は山側なようだ。広大な空の下に広がる牧歌的な景色の中を進んでいくと『そらっと牧之原』があった。
・食堂グルメ
いくつかのアーチが並ぶような構造の建物は、この景色の中において近代的なセンスを放っている。我々が到着したのは、メディア内覧会開始の少し前で、テレビ局からインフルエンサー的な人まですでにかなりの数のメディアが集まっていた。
メディア内覧会の内容は試食会や道の駅の案内など。と言っても案内が必要なほど広くないため、私(中澤)は一般入場者に開放される12時までソロで時間を使うことにした。まず、興味深いのはお食事処である「お茶の間食堂」である。名物のお茶を推しだしたメニューだけでなく海鮮、肉類までバリエーションの豊富さが良い。
前述の通り、焼津が近いので焼津かつおやマグロを贅沢に使った丼がある。だが、試食してみた感想を述べると、そんな茶そばや焼津かつおも美味しかったけど、個人的には「駿河湾しらす三色丼(税込1650円)」が頭一つ抜けていた。
生のしらすはさることながら、釜揚げしらすにも新鮮さが感じられる。そんなしらすが酢飯の味に凄く合っていた。しらすがかつおに勝ったのは自分史上初めてかもしれない。
スタッフさんによると「この辺の人はしらすにうるさい」らしい。やっぱり駿河湾が近いからだろうか。道の駅の周りの景色から想定してたラインを超えてきた。
・お土産コーナーグルメ
続いて、別棟のお土産コーナーに行ってみたところ、お茶推しや魚介推しな点は同じなのだが、何かとオシャレだ。お濃茶専門店のパン屋さとりベーカリーの、「お濃茶あんぱん(税込400円)」や「お濃茶食パン(税込900円)」はさすが日本一のお茶産地であることを感じさせられるし……
なんかすんごいメロンパンもあった。
直径が肩幅くらいありそうなこのメロンパンの名前は「亀の甲羅メロンパン」。確かに、背負ったら亀の甲羅みたいになりそうである。しかも、スタッフさんに聞いたところによると普通に購入できるもので、税込3000円なのだとか。量的には通常のメロンパン20個分らしい。
他にも「そらっと牧之原限定ティーバッグ(80袋税込1620円)」などもあったり、地域の土産屋に売ってるものを集めただけではなく、この場所だけの商品も結構あるように見受けられた。そういった付加価値も含めて多角的に攻めて来るグルメや土産がどれも洗練されている。
・想像を超える
マニアに話を聞いていた段階では、道の駅において気が利いているというのがピンと来なかったけど、行ってみたら分かった。これが道の駅のニューウェーブ。でも、このニューウェーブ、はたして広がるのだろうか?
なぜなら、前述の通り、この周辺は畑が広がっていてなかなかのポツン具合だ。そのため、私は、多少人が集まったとしても平常運転みたいな雰囲気を想像していた。だが、プレオープン前になると……
ライブ会場みたいになった。
なんならプレオープンのカウントダウンもしていた。嘘だろ。道の駅のオープンってこんな祭みたいなことになるの!?
・道の駅イノベーション
初めて目撃した私としては衝撃を受けずにいられなかったこの状況。だがしかし、『拝啓、道の駅から』の2人に話を聞いてみたところ、「むしろ、もっと盛り上がってるオープンもある」という。例えば、ロケットニュース24でも記事になっている道の駅『べに花の郷 おけがわ』のオープン時はこの5倍くらい人がいたそうな。
なんてこった。道の駅ってそんなに盛り上がってたのか。東京で暮らしているとなかなか伝わってこないこの熱。だが、日本全体では新たなムーブメントが動き出しているのかもしれない。郊外から始まる道の駅イノベーション。広大な空と畑に囲まれた『そらっと牧之原』でその一端に触れたのであった。
・今回紹介した店舗の情報
店名 道の駅 そらっと牧之原
住所 静岡県牧之原市坂部582-1
営業時間 9時~17時
定休日 無休
参考リンク:そらっと牧之原
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.