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こまつ座『母と暮せば』24年版含む3公演分が一挙放送 富田靖子、松下洸平のインタビューも公開

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こまつ座『母と暮せば』(2024年版)

CS放送「衛星劇場」にて、こまつ座『母と暮せば』(2024年版)が、2024年12月29日(日)にテレビ初放送されることがわかった。

本作は、祈りのナガサキを舞台に紡がれる母と息子の命の物語。ヒロシマ(『父と暮せば』)、オキナワ(『木の上の軍隊』)に続き、ナガサキを描くこまつ座「戦後“命”の三部作」の第三作。初演より同じキャスト・スタッフが作品を深めるべく集結し、待望の再々演となる。

こまつ座『母と暮せば』(2024年版)           撮影:福岡諒祠

井上作品の担い手として数多くの作品を手掛ける演出の栗山民也、情感豊かな演技で陰陽併せ持つ母親像を表現した母・伸子役の富田靖子、母への想いを熱量豊かに演じた息子・浩二役の松下洸平が出演。

こまつ座『母と暮せば』(2024年版)           撮影:福岡諒祠

こまつ座『母と暮せば』(2024年版)           撮影:福岡諒祠

さらに、『こまつ座「母と暮せば」24年版含む3公演分一挙放送』と題して、2018年版と2021年版も放送される。

こまつ座『母と暮せば』(2018年版)           撮影:宮川舞子

こまつ座『母と暮せば』(2021年版)           撮影:宮川舞子

なお、今回、放送を記念して富田靖子、松下洸平にインタビューが行われ、その模様も公開された。

【あらすじ】
1945年8月9日の原爆で壊滅的な被害を受けた長崎で、ひとり暮す伸子。彼女は息子・浩二を原爆で亡くしていた。あれから3年、ようやく息子の死を受け入れられるようになった伸子の前に、浩二が亡霊となって現れた——。
オフィシャルインタビュー

放送を記念して富田靖子さん、松下洸平さんにインタビューを行いました。

(左から)松下洸平、富田靖子        撮影:宮川舞子

ーー『母と暮せば』は2018年に初演され、2021年に再演、そして3年を経た2024年に三たび上演するという形になりました。再々演が決まったときはどのようなお気持ちでしたか?

富田:最初に連絡を受けたのは前回の長崎公演のときでした。でも、その公演は「明日みんなで頑張るぞ!」という前日に、コロナ禍の影響で中止になってしまって。それから数時間後に演出の栗山民也さんから、「再々演、絶対にやるよ!」という直筆のメッセージをいただいたんです。

松下:前回のそうした悔しさがあっただけに、またやれることが決まって本当に嬉しかったです。それに、3年前には回りきれなかった場所でも今回は公演ができたので、喜びもより大きかったです。この『母と暮せば』は栗山さんがとても大切にしていらっしゃる作品ですし、僕ら演者も、やり続けるべき作品だと思っています。それに、何よりも長崎に住む皆さんが心待ちにしてくださっているのをこの3年間ずっと感じていたので、気を引き締め臨まないといけないぞという気持ちにもなりました。

ーー今回の再々演に向けて、演出面での変化はありましたでしょうか? 3年前の再演のときにお2人にインタビューをさせていただいた際は、栗山さんが母と子の距離感や会話によりリアリティを持たせるようになったとお話しをされていました。

富田:今回はそのこだわりがより一層、強くなったなと感じました。「家の中なんだから、そんなに大きな声は出さないでしょ」って言われたり(笑)。

こまつ座『母と暮せば』(2024年版)           撮影:福岡諒祠

松下:そうでしたね。“これ、客席に声が届くのかな……”って不安になるときもありました(笑)。でも、栗山さんが大事にしているのは、そうした日常的な風景なんだと思います。何よりも、“母の伸子と息子である浩二がそこにいる”ということをお客様に届けたいと思っている。だから、僕たちも、いい意味でお客様の存在を感じないようにしているんです。目の前にあるのは客席ではなく、家の庭であり、その向こうには長崎湾が広がっているんだと常に想像していて。そうすることによって、反対にお客様たちのほうが僕たちの世界に入ってきてくれるし、親子の暮らしを覗き見しているような感覚になってもらえる。だからこそ、当時の様子をより濃くお伝えすることができて、観ていただいた皆さんの心や記憶に残るようなお芝居になったのではないかと思います。

ーーこの『母と暮せば』は富田さんにとっては初めての二人芝居でしたよね。

富田:はい。最初はお声を掛けてもらってすごく嬉しかったんです。でも、台本が届いて、台詞の量に驚いて。栗山さんには言えなかったのですが、演出助手の方に「これは人が覚えられる量ですか?」って聞いたほどでした。

松下:そうなんですか!?(笑)

こまつ座『母と暮せば』(2024年版)           撮影:福岡諒祠

富田:そしたら、「覚えられます」とさっぱりと言われて(笑)。同時に、「そうは言っても、二人芝居はいちばん難しいですよね」ともおっしゃられたので、“えっ、うそ!? それは早く言ってくれなきゃ困るよ!”と思いながら稽古をしていました(笑)。

松下:確かに台詞量は多いですよね。だけど、こうして100回以上も本番を重ねてきたこともあり、今はその膨大な台詞が100%どころか、150%ぐらい体に染み付いている。それってすごくいいことだなと思うんです。“次の台詞はなんだっけ?”と考える必要もなく、勝手に口から出てきますから。それに、本番中に頭で台詞を考えなくていいので、その分、母親の気持ちも慮れるようになるんです。靖子さんの台詞を聞きながら、“今、母さんはどんな気持ちで僕(浩二)に話しかけているんだろう”とか。舞台ってどれだけ稽古を重ねても、どうしても本番で緊張してしまうものですが、この作品ではそんなことを一切考えずに物語の中に入っていける。それができるのは、本当に幸せなことだなと思います。

ーー最後に、放送を楽しみにされている方にメッセージをお願いします。

松下:映像でもしっかりと作品に込められた想いをお届けできるように一生懸命演じましたので、一人でも多くの方にご覧いただければと思います。栗山さんもおっしゃっていましたが、この演目は続けていくべき作品ですし、画面を通じて、親子の絆や彼らの物語に触れて、何かしらを感じとっていただけると嬉しいです。

富田:本当に松下さんの言葉どおりで。多くの方にご覧いただくことで次の上演に繋がっていきますので、のちの世代に残す意味でも放送を見ていただき、多くの方にこの作品を伝えていっていただければと思います。

こまつ座『母と暮せば』(2024年版)           撮影:福岡諒祠

文:倉田モトキ

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