大磯在住オダギリミホさん キツネの伝承 小字と共に 「もっと知って」とマップ制作
大磯町西小磯在住のイラストレーター・オダギリミホさんが制作した「大磯にいた、ばかすキツネと小字地名マップ」がこのほど完成し、「大磯市」や町内のギャラリーで販売される。町内にある400以上の小字とキツネにばかされた口承文芸をまとめたもので、イラストレーターらしくポップにマップに落とし込んだ。
コロナ禍を機に、子どもたちと遊べる場所として地元の里山に目を向けたというオダギリさん。2021年に発行した「大磯丘陵里山歩きマップ」を制作する中で、山の中にある古い道についての文献を当たると、小字が多く使われていたという。「どこのことなのかさっぱりわからなかった。だったら調べてみようと、自分の理解のために、小字マップを作り始めた」と話す。
大磯町史民俗調査報告書などの文献のほか、大磯町郷土資料館の学芸員が残した資料を調べる中で、キツネにばかされた話が数多くあることに興味を持ったオダギリさん。登場する小字を理解することで、よりエピソードが鮮明に思い浮かべられると、キツネの話もマップに盛り込んだ。マップの二次元コードを読み込むと、キツネの話をまとめたウェブサイトが表示される。
マップ制作にあたり、過去に大磯町郷土資料館の学芸員が行った聞き取り調査に協力した町民を訪ねたことも。大磯町虫窪の90代の男性は、虫窪地域の「栄山」の畑から、谷を挟んだ向かい側の「東丸山」に縦長の提灯の形をした「キツネ火」を目撃したという。オダギリさんは「こんなに面白い話が当たり前に地域にある。ぜひ小字を知って、キツネの話をリアルに感じ、昔の人のように『ばかされ』て欲しい」と話していた。
マップは1枚800円。ギャラリーウミネコでの展示(12月10日〜)のほか、大磯市(12月15日)でも販売する。