絆斗を中心に描く“《おかし》 なライダー”の本当の決着ーーVシネクスト『仮面ライダーガヴ ギルティ・パルフェ』知念英和さん×日野友輔さんインタビュー
2025年11月28日(金)より、Vシネクスト『仮面ライダーガヴ ギルティ・パルフェ』が期間限定上映開始!
TVシリーズで、ストマック社と大統領ボッカ・ジャルダックを打ち破り、闇菓子の脅威から世界を救ったショウマたち。最終話後が舞台となる今作では、平穏を取り戻したはずの人間界で、「光菓子」を研究しているショウマと仮面ライダーの記録を残すべく取材を続ける絆斗の前に、新たな事件が立ちはだかります。そこには大統領令嬢リゼル・ジャルダックの姿もあり……?
アニメイトタイムズでは、ショウマ/仮面ライダーガヴ役・知念英和さん、辛木田絆斗/仮面ライダーヴァレン役・日野友輔さんの対談をお届け。今作の見どころはもちろん、TVシリーズ最終話の反響や1年の撮影を終えた感想を語っていただきました。
【写真】Vシネクスト『仮面ライダーガヴ』知念英和×日野友輔インタビュー
『ガヴ』らしい終わり方ができた最終話
ーーまずは、TVシリーズ最終話を終えての感想を教えてください。
ショウマ/仮面ライダーガヴ役・知念英和さん(以下、知念):僕自身も最終話は、TV放送で初めて観たんです。SNSでもたくさんの反響をいただいて、1年かけて『仮面ライダーガヴ』という作品から僕たちが伝えたかったメッセージを皆さんが120%受け取って、愛してくださったと思うとありがたい気持ちでいっぱいになります。それと同時に「もう終わっちゃうのか」っていう寂しい気持ちもあるんです。だからこそ、ファイナルステージやVシネで自分たちの感謝の気持ちを返していけたらと思っています。(取材はファイナルステージ石川公演前に実施)
ーー最終話では、ショウマがキックのポーズをとる演出が印象的でした。今まで変身後の仮面ライダーガヴがやっていたポーズをご自身でやってみて、いかがでしたか?
知念:現場でも時間をかけて練習したんですけど、とても難しかったです。スーツアクターの縄田雄哉さんが1年間やってきたフィニッシュ前のポーズは、仮面ライダーガヴの象徴であり、ショウマの「どうする?」という台詞と同じくらい、大事なルーティーンでもあります。なので、できるだけ縄田さんに近づけるように精一杯やらせていただきました。
スタッフやカメラマンの皆さんも温かく見守ってくださったので、「この時間が一生続けばいいのに」という気持ちでした。
辛木田絆斗/仮面ライダーヴァレン役・日野友輔さん(以下、日野):物語が終盤に入っても、まだ大統領はいるし、ランゴやリゼル、ジープもいるし、「本当に終わるの?」と思っていたんです。そこから怒涛の展開で最終話にいきましたけど、作品の終わり方としては、リゼルも含めてまだ何かありそうな、これからを見据えるラストでした。そういう意味でも、『ガヴ』らしい終わり方ができたのかなと思います。
ーー今作では、絆斗を中心にTVシリーズ最終話後のストーリーが描かれます。台本を読んだ際の印象をお聞かせください。
日野:物語の渦中にいた絆斗がみんなと様々な困難を乗り越えた後、「人間社会はどうなったのか」「人間界に取り残されたグラニュートはどこにいるのか」とか。そういった問題の中で、よりリアルなひとりの人間としての葛藤が描かれています。『ガヴ』らしいテイストを残しつつも、Vシネならではの本当の意味での着地。『仮面ライダーガヴ』の最後の映像作品にふさわしいものになっていると感じました。
ーー今作では、絆斗の体に何か異変が起こるようですね。
日野:SNSでも「絆斗は病院行けないのに、ずっと保険料を払っている」とか、「そんなことまで考えてくれるんだ!?」と思うくらい心配されていました(笑)。やっぱり絆斗を語る上では欠かせない要素のひとつは、「グラニュート器官」だと思うんです。そこが深堀りされるというのはシンプルに楽しみだなと。絆斗は人として成長する瞬間が一番かっこいいと思っているので、そういう彼の魅力がたくさん詰まっているVシネだと思います。
知念:今回はTVシリーズでグラニュート界と人間界が分断されて、行き来ができなくなった後の話です。闇菓子工場がなくなっても、過去に食べたことがあるグラニュートたちは闇菓子を欲しがり、自分で作り出そうとする。
そんな中で、ショウマは残されたグラニュートたちが人間界でも過ごしていけるように、居場所や仕事を提供する。人間社会に溶け込むための支援みたいな仕事をしているんです。闇菓子という色々な人たちを巻き込んだお菓子。その恐ろしさが改めて感じられる描き方をされていてすごく面白いと思いました。
ーーそして、新フォーム「仮面ライダーヴァレン パルフェモード」も登場します。
日野:何と言っても、絆斗らしさが詰まっている「フラッペカスタム」からの新フォームという部分ですよね。「弱いまま強くなってやる!」と言って生まれた「フラッペカスタム」から次のフォームを出すのはなかなか難しいじゃないですか。そういうブレない絆斗の芯があったうえでの新フォームなんです。
知念:TVシリーズの中では、「フラッペカスタム」で完成されたというか。
日野:ただ、絆斗としては別ですけど、日野としては、他のふたりの新しいフォームが羨ましかったんです。だからやっぱり嬉しさもありました。
ーーマントが付いていて、見た目的にも非常に格好良いですね。
日野:そうなんですよ。一方で、戦い方はちゃんと絆斗というか、ヴァレンならではのアクションになっているので、そこは見どころのひとつじゃないでしょうか。現場で柴﨑貴行監督が「ちょっと絆斗がカッコよすぎちゃうね」「カッコよく撮れすぎたな、やめとく?」って言うくらい(笑)。特に必殺技は「これぞ絆斗」って思わず拍手したくなるような“らしさ”が詰まったものになっています。
ーーそして今作の主題歌は、ショウマ&絆斗&ラキアのユニットGateau・Trois(読み:ガトロワ) が歌う「Super Delicious」。こちらについてはいかがでしょう?
知念:この作品の主題歌を三人で歌うと聞いた時、不安な気持ちもあったんですけど、「三人なら聴いてもらえるかも」って。前を向けるような歌になっていますし、今回の内容にも合っていたので、すごくほっとしています。
日野:そうだね。Vシネのラストに聴くと、しっかり主題歌として成り立っていて良かったです。ソロのキャラソンはあったんですけど、3人でひとつの曲を歌うのは初めてで。最初に聴いた時は「もしイベントで歌えたら楽しそうだな」と思いました。
いつか「令和ジェネレーションズ」をやりたい
ーー仮面ライダーとして、スーツアクターの方との綿密なコミュニケーションの中で役を作り上げられたと思います。仮面ライダーガヴを演じた縄田雄哉さんとの1年間はいかがでしたか?
知念:仮面ライダーガヴがあるのは縄田さんがいたからです。アクションもそうですし、お芝居もいちから教えていただきました。僕という人間と向き合って、二人三脚で1年間を駆け抜けました。縄田さんからいただいたものはたくさんあって、僕にとって本当に欠かせない存在でした。この先のお仕事でアクションさせていただいても、縄田さんやアクションチームの皆さんから学ばせていただいた経験に胸を張って、頑張っていきたいと思います。ずっと見守っていてほしいです。
ーー縄田さん演じる仮面ライダーガヴは、印象的なポージングやアクションが映える主人公ライダーでしたね。
知念:そう思います。野生味もありますし、本当にカッコよかったです。縄田さんは歴代の令和ライダーのスーツアクターもやられているんですけど、藤田慧アクション監督と話し合いながら、これまでとは異なる仮面ライダーガヴ独自のスタイルを確立してくれました。
いつの日か「令和ジェネレーションズ」みたいな作品ができて、令和ライダーたちが横並びになった時、「あ、ガヴだ!」って。「すぐシルエットで分かるようなものを作りたい」とおっしゃっていたんです。僕自身は「そうなったんじゃないかな」と思っているので、その“いつか”を楽しみにしています。
日野:縄田さんの仮面ライダーがたくさんいるから、「縄田ジェネレーションズ」になりそうだね(笑)。
知念:(笑)。たしかに、縄田さんと永徳さんには分身してもらう必要があるかもしれないです。
ーー日野さんからも仮面ライダーヴァレンを演じる鍜治洸太朗さんとの思い出を伺いたいです。
日野:絆斗らしさを反映させつつ、カッコいいヒーローでもあるファイトスタイルが本当にすごくて。絆斗が変身する仮面ライダーという順番で出るので、絆斗に見えなきゃいけない瞬間もあるんです。そこがどんどん擦り合っていって、二人が重なっていく感覚がありました。仮面ライダーヴァレンというキャラクターがここまで愛されるようになったのは、鍜治さんの力が大きいと思います。
何より本当に優しいんですよ。鍜治さんって。最初は二人で相談しながら、迷いながらやっていたところもあったので、皆さんからこれだけ愛していただけたのは嬉しいですし、鍜治さんに「ありがとうございました」と言いたいですね。本当に鍜治さんで良かったと心から思います。
ーーその集大成として絆斗のストーリーを描く今作が楽しみです。
日野:今回は僕の生身のアクションもあって、「ヴァレンと一緒だ」と思ってもらえるように、僕が鍜治さんと同じでいなきゃいけない瞬間もあったんです。代名詞的な技も生身で挑戦させていただいているので、ぜひ注目していただけたらと思います。
ーーもし10年後に『仮面ライダーガヴ』をやる機会があるとしたら、どんなことをやってみたいですか?
知念:グラニュートに人間界のお菓子の美味しさ・素晴らしさを伝える役割をショウマが担うようなストーリーができたら面白いかもしれません。
日野:あと、個人的には入れ替り回もやってみたかった。ショウマの体に絆斗が入って、絆斗の体に幸果が入って、幸果の体にラキアが入って、ラキアの体にショウマが入るみたいな。
知念:それは面白そう! それから『ガヴ』は先輩ライダー、後輩ライダーとの絡みが少なくて。
日野:たしかに。
知念:『仮面ライダー平成ジェネレーションズFOREVER』で、佐藤健さん(野上良太郎/仮面ライダー電王)が登場した時はすごかったですよね。10年後は後輩が10人いると思うので、いつか僕もサプライズ出演してみたいです。
日野:逆に先輩とも絡んでみたい。「仮面ライダーゼロノス」の「最初に言っておく。俺はかーなーり、強い!」が好きなので、いつか共演できたら嬉しいです。最後にラキアにも「俺の方がお前より強い」って言われたから(笑)。
知念:やっぱり強いキャラが憧れなんだ(笑)。いつか先輩ライダーとも何かできたらいいなと思います。
ーー最後に、『仮面ライダーガヴ』を1年間応援してくれた皆さんにメッセージをお願いします。
知念:Vシネでは、皆さんが見たかったであろう“これから”の物語が描かれます。例年より少し早いスパンでお届けできるのも楽しみですし、渾身の作品をぜひ劇場で観ていただきたいと思います。
たくさんの愛をくれて、応援してくださって、毎週楽しみにしてくださって、本当にありがとうございました。これからも『仮面ライダーガヴ』が皆さんの心の中に残り続けると嬉しいです。
日野:皆さんの応援のおかげで走りきれましたし、素敵な作品が出来たと感じています。
今回は絆斗がメインのお話になっていて、彼の「グラニュート器官」はもちろん、リゼルがどう絡んでくるのか。そして、何故いつも絆斗の横には怪しい眼鏡の研究者がいるのか……(笑)。『仮面ライダーガヴ』の本当の決着になると思うので、ぜひ楽しんでいただきたいです。
[インタビュー/田畑勇樹 撮影・編集/小川いなり]