SUPER★DRAGON『SUPER X』インタビュー――いろんなものを背負って自分たちの正義を信じる姿
──今回のアルバム『SUPER X』は“ダークヒーロー”がテーマですが、ダークヒーローをテーマにしたのはどうしてだったのでしょうか?
古川毅「もともとヒーローをコンセプトにするのはアリかな?と思っていました。ただ、今年結成10周年で、メジャーデビューして最初のアルバムをリリースさせていただくタイミングだからこそ、“SUPER★DRAGONとはどんなグループなのか?”を、音楽性、スタンス含めて提示したいと考えたときに、“ヒーローというよりはアンチヒーローかな?”と思ったんです。僕たちは、世の中や業界のシステムに対して、ちゃんとアンチテーゼを持っているグループだという自覚があるので。それをうまくキャッチするには…と考えたときに“ダークヒーローだ!”と思いました」
──SUPER★DRAGONがダークヒーロー的な立ち位置になったのっていつ頃からなのか、ご自身たちとしてはどう感じますか?
古川「明確に“あのときですね”みたいなものはなくて、そもそも闇堕ちしたつもりもないんですけど(笑)。でもスタンスをしっかり持ち始めたのは、各々がクリエイティブに関わるようになったあたりからですね。コロナ禍を経て、スタッフも含めたチームがまとまっている感覚がありました。一筋縄じゃいかない感じとか、いろんなものを背負って自分たちの正義を信じる姿がアメコミのダークヒーローと重なると思います」
──リード曲「Dark Heroes」はジャンさんプロデュースですが、どのようなイメージで作り始めたのでしょうか?
ジャン海渡「今、毅が言ったように、自分たちでクリエイティブを手がけるようになって、より自分たちらしさや、自分たちの譲れないものを追求して、僕たちなりの音楽を作っていくようになると、BLUE(SUPER★DRAGONのファンの愛称)をはじめとする、聴いてくれている一人一人の理想のSUPER★DRAGONではいれないんですよね。僕たちなりのやりたいことや表現したいものは、時に誰かにとっては理想の姿ではないかもしれないので…。そういうところがダークヒーローみたいだなと思うんですが、それでもやっぱり僕たちはあくまでもヒーロー。みんなを救いたいという気持ちは忘れていません。だから、“僕たちなりの音楽で救ってあげるから、たとえ理想とは違うものがきても、信じてついてきてほしい”という気持ちをテーマにしました」
──トラックはどのようなイメージで?
ジャン「ビートを作ってくれたのは、SUPER★DRAGONの「Welcome to my hell」を作ってくれたGeek Kids Clubというチームの、Noli StarkとKANEです。メロディはAce Hashimotoと僕の2人でスタジオに入ってセッションしながらつけていきました。この曲を作るにあたり、僕と毅、彪馬、和哉の4人でビートメーカーとディスカッションをしたんです。そこで、ダークヒーローというテーマや、“こういうビートにしたい”というリクエストを投げさせてもらいました。それをもとに彼らが、僕たちの望む要素を取り入れてくれたり、違う角度からのアイデアを入れてくれたりして…」
池田彪馬「ジャンくんが言ってくれたように、ビートメーカーの皆さんは僕たちと関わりがある方だからこそ、SUPER★DRAGONをちゃんと理解してくださっていて。だから僕たちのやりたいことをふんだんに詰め込んでくださいました」
古川「楽曲としてはキャッチーにしたいと思っていました。というのも、ダークヒーローというテーマに引っ張られすぎて、内省的で本質的なものにフォーカスしすぎると堅くなってしまうので。そうではなくて、曲はちゃんとキャッチーにしたかったんです。そのために、どういうジャンルがいいのか?などはかなり話し合いました。最初はもう少しテクノっぽい感じにする予定だったんです。だけど終盤で“やっぱり違うね”という話になって。彪馬が提案したシネマティックであることや、僕が提案したダブステップやドラムンベースといったものを、Geek Kids Clubの皆さんがまとめてくださいました」
松村和哉「僕はリリックから参加したんですけど、それこそ全体像がキャッチーにまとまっていると思ったので、リリックでは本質的な部分を足したいと思って。何のことを言っているのかがわかりやすくて、かつ強さも感じられるようなバランスにしようと思って書きました」
──振り付けはどのようなものになっていますか?
志村玲於「コレオグラフは、SUPER★DRAGONではお馴染みのAkanenさんにお願いしました。どの視点から見ても面白いフォーメーションや移動で、「Dark Heroes」の世界観が序盤から伝わるような、1つの映画を見ているようなコレオになっています。楽曲とあわせて、パフォーマンスでも皆さんを「Dark Heroes」の世界に連れて行ける思っています」
──ヒーローをテーマにした楽曲作り、面白そうですね。
古川「はい、とてもわくわくしながら作りました。どこか、子供の頃の夢を叶えるような感じがあったかもしれないです」
ジャン「制作段階でも、セッションに毅が遊びにきたりして。もちろんシビアになる場面もありましたけど、基本的にはすごく楽しかったです」
古川「ヒーローをコンセプトにするのってよくあることではあると思うんですけど、僕たちがやるなら、アメコミっぽいフィルターは通しながらも、僕たちが活動しているのは日本ですし、ドメスティックな感じはきちんと出したくて。楽曲だけじゃなくて、ビジュアルなども含めて、すごく国産な作品になったと思います」
──アルバム『SUPER X』には「CHAPTER」と名付けられたインタールードが楽曲の間に挟まれています。これはどういった狙いからなのでしょうか?
古川「このアルバムはコンセプチュアルなので、コンセプトを担う何かがあったほうが深みが出ると思って、僕が提案させてもらいました。曲順も何パターンも考えたんです。“こういうストーリーがあるとしたら?”と並べてみてから、“CHAPTER”をどういうものにしていくかを、友人でもあり兄貴分でもあるShinji Miyauchiと一緒に作りました」
──それこそ「Sweets」みたいな甘い曲もあれば、「DOG」のような鋭い楽曲もあり、そしてアルバムテーマを踏襲する「Dark Heroes」もあって、並べ方によっていろいろなストーリーを描けそうですよね。
古川「そうなんです。本当にいろんな曲があるし、“この曲にはこういう意味を持たせたいよね”という気持ちもあったりして。ベストな配置にするために、すごくこだわりました」
──メジャーデビュー曲「New Rise」も収録されていますし、マインド的にもサウンド的にも多彩な楽曲が収録されている『SUPER X』の中で、特に好きな曲をお一人ずつ教えてください。
志村「僕は「Omaejanai」。このアルバムには、いろんなタイプのSUPER★DRAGONの楽曲が収録されているじゃないですか。だけど、ただいろんな曲をやればいいっていうものでもないと思うんです。そういう意味で「Omaejanai」はSUPER★DRAGONの幹になるような曲だと思っていて。スパドラっぽさもありつつ、でも今のスパドラだからこそ表現できる音にもなっていて、この曲が一番好きです」
古川「僕はFIRE DRAGON曲の「Good Times & Tan Lines」。すごくスムースですし、メロウで踊れて、爽やかに聴くことができるけど、聴いたことのない曲になったと思います。ジャンルはR&Bですけど、オルタナティブな魅力もあって。制作には僕とジャンが関わっているんですが、僕とジャンからしか出ない“フィール”のようなものが詰まっている楽曲だと思います」
ジャン「僕は「NPC」ですね。「Dark Heroes」と「NPC」は作っていた時期がほぼ一緒だったんです。真逆な2曲なので、最初はどうなることやら…と思いましたが、すごくキャッチーにできてよかったです。この曲は僕が中学生の頃から聞いていたSnail's Houseさんと一緒に作った曲です。Snail's Houseさんの手がけるゲーム音楽が好きで、せっかく彼とやるんだったらゲームをテーマにしようと思って、ゲームに入り込んでキャラクターに恋をするというストーリーの曲にしました」
飯島颯「僕は、新曲ではないんですけど「Downforce」。もちろん踊っていても好きな曲ですし、何よりも、定期的に聴きたくなるんです。気持ちを上げたいときとか、ライブに向けて気持ちを高めていきたいとき、やる気を出したいときにこの曲を聴くとスイッチが入るんですよね。今までも感じていましたが、アルバムの収録曲として聴いてみると、改めて“いい曲だな!”と感じました」
伊藤壮吾「僕は「Dark Heroes」ですね。さっき玲於くんが言ったように僕たちのことを十分に知ってくださっているAkanenさんだからこその振り付けや、面白いフォーメーションだったりで、ど頭からすごくわくわくするパフォーマンスになっています。先日リリイベで初披露させていただきましたけど、これからライブでたくさんやっていきたいと思いました」
池田「僕は制作に携わらせていただいた「Hallucination of Love」。テーマとして重い曲をやりたかったんです。ジャンルとしての“重い”ではなくて、感情的な意味の“重い”。これまでSUPER★DRAGONで恋愛を歌った曲はたくさんありますけど、全員が20歳を超えて、グループとしても結成10年目という、長くキャリアを積んできたからこそできる曲があるはずだと思って。そこで、サウンド感としてはハウスでノれるのに、ニュアンスとして重たさのあるものを表現したくて、Nameless A.K.A NLさんと一緒に作らせていただきました。振り付けはこれからですが、このアルバムの中でもスパイス的な位置になればいいと思っています」
松村「僕は「DOG」ですね。昔からずっと聴いていたビートメーカーのVLOTさんと一緒にできたのがまず嬉しかったです。それと「DOG」で歌っているテーマって、ヒップホップだとよくあるかもしれませんが、ボーイズグループではなかなか表現できないところまで辿り着けていて…」
──ボーイズグループのメジャー1stアルバムにこの曲を入れるのは勇気が要ったのではないでしょうか。
松村「いえ、僕に勇気は要らなかったです。勇気が必要だったのは、ポニーキャニオンだったんじゃないかな(笑)」
──確かにそうですね(笑)。
ジャン「ラッパー3人の曲は久しぶりなので、これからはこの曲が3人のメインの楽曲になると思います」
柴崎楽「僕が好きな曲はまだ振り付けがついていないので決めきれないですが、今のところのお気に入りポイントがあります。THUNDER DRAGON曲の「Athena」で和哉の声が優しいところです」
松村「さっき“優しいって話していい?”って確認してきたんですよ(笑)」
ジャン「かわいい!(笑)」
柴崎「「DOG」のラップではすごく強い感じですけど、この曲の和哉は“これ、和哉だよね?”って思うくらい優しくて。滅多に聴けない歌声だと思うので、ぜひ聴いてほしいです」
松村「この曲は僕が歌詞を書いたんですけど、ラブソングをまるまる1曲書くなんて初めての挑戦だったので…優しさが出ちゃいました(笑)」
──そんな様々な楽曲が収録された『SUPER X』ですが、どんな1枚になりましたか?
ジャン「SUPER★DRAGONの名刺がわりの1枚です。目の前に“SUPER★DRAGON LIVE TOUR 2025『SUPER X』”が控えていて、それ以降のライブでも、どの曲も重宝される曲ばかりです。毅が担当した「Omaejanai」、僕が作った「NPC」、彪馬が手がけた「Hallucination of Love」など、それぞれ違うニュアンスですけど、どの曲にもSUPER★DRAGONらしさがあって。それこそがミクスチャーの体現でもあります。いいアルバムです。まだパフォーマンスがついていない曲もたくさんあるので、これからパフォーマンスがつくのが楽しみです」
──『SUPER X』はメジャー1stアルバムです。実際にメジャー環境で活動や制作をしてみていかがですか?
古川「メジャーデビューしたにも関わらず、このアルバムは今までで一番好き勝手やっているんですよ。本当にありがたいです。収録曲の中には自分たちのエゴを通した曲もあるのに、それも一緒にトライしてくれて…。というか、僕たちにとってはトライではないですけど、ポニーキャニオンのスタッフさんたちはトライだと思いますし、そこを一緒に歩いてくれるのはものすごく感謝しなきゃいけないことだと思います。そのうえで、どこに出しても恥ずかしくないアルバムになったと思います。きちんと誇りに思える1枚が出来ました」
──2025年はSUPER★DRAGON結成10周年。この10年で変えないようにしてきたところ、もしくは変えてきたものを一人ずつ教えてください。
志村「失くさないようにしているのは、“遊び心”です。10年もやっていると、どうしても慣れみたいなものも生まれてしまうんですけど、そのライブはその日しかないですし、その公演しか来られない方もいらっしゃって。だからその時の一瞬一瞬をほんとうに大切にして、かつ、遊び心を大切に、その場でしか生まれないものを楽しみたいです」
ジャン「僕は“好奇心”。やりたいことがたくさんあるので、常に新しいことに挑戦しています。趣味がたくさんあって、それを追求し切るのが好きで。好奇心は自ずと好奇心にもつながると思うので、常に好奇心は忘れないようにしています」
飯島「変わっていないのは、“ライブが好き”ということですね。その気持ちが、10年活動できている理由でもありますし、BLUEのみんなと一緒にライブをする楽しさは、この先も忘れずにいたいです。そのうえで、どう楽しませるか?をもっと模索したいと思っています」
伊藤「僕はSNSを投稿し続けていることですね。いつ頃からかは覚えていないですけど、始めてからは毎日何かしら投稿しています」
──毎日投稿を続けることで見えたものや得たものはありますか?
伊藤「いや、ないですよ(笑)。続けたからどうということもないんですけど、待っている人がいるのであれば、やる意味があるんじゃないかな?と思って続けています」
池田「僕は“好奇心”とちょっと似ているんですけど、“童心”ですね。いろんなことをやってみたいという想いがあるので、それはずっと持ち続けるようにしています。シンプルに遊ぶことも好きですし。僕の夢は、ゲームですごく課金して、子供をボコボコにすることなので(笑)」
一同「怖っ!(笑)」
池田「“そのために売れるぞ!”と思っています(笑)」
古川「僕は漫画の『NARUTO -ナルト-』が大好きなんです。その気持ちはずっと変わっていないですね。連載自体は10年前くらいに終わったんですけど、まだ楽しませてもらっていますし。なんなら、前にも増して好きになっていて、今最高潮くらいに好きです。バイブルです」
松村「僕は足のサイズが10年前からほぼ変わっていないです。11歳の頃からずっと27センチ」
一同「マジで!?」
松村「マジで。“足のサイズが大きい人は身長が伸びる“ってよく言うじゃないですか。だから185センチくらいいくと思っていたら…この様でした(笑)」
柴崎「僕が変わっていないのは“免疫力”ですかね。変わったことは…最近、かわいさが増しました!」
松村「マジでそう!」
柴崎「男らしくなって、かわいくなりました」
──では最後に、皆さんから見た、今日お休みしている田中洸希さんの変わっていないところを教えてください。
古川「声のデカさ」
ジャン「リアクションの良さ」
志村「全部がデカくない?」
古川「身体以外全部デカいよね」
松村「くしゃみとかもデカくない? 耳壊れそうになる」
ジャン「笑い声もデカいから、楽屋が離れてても洸希がいるってわかるんですよ」
松村「あとは態度もデカいよね」
古川「でも心も大きいです」
一同「おお〜!」
ジャン「うん、いいヤツです!」
(おわり)
取材・文/小林千絵
写真/中村功
RELEASE INFORMATION
2025年6月11日(水)発売
PCCA-06387/8,800円(税込)
SUPER★DRAGON『SUPER X』
2025年6月11日(水)発売
PCCA-06388/3,520円(税込)
SUPER★DRAGON『SUPER X』
2025年6月11日(水)発売
BRCA-00158/11,000円(税込)
※SUPER★DRAGONオフィシャルファンクラブAREA SD会員限定販売となります。
SUPER★DRAGON『SUPER X』
LIVE INFORMATION
■東京 Kanadevia Hall(TOKYO DOME CITY HALL)
2025年6月28日(土) 開場17:00 /開演18:00
2025年6月29日(日) 開場16:00 /開演17:00
■兵庫 神戸国際会館 こくさいホール
2025年7月5日(土) 開場16:00 /開演17:00
■愛知 Niterra 日本特殊陶業市民会館フォレストホール
2025年7月11日(金) 開場17:00 /開演18:00
■福岡 福岡国際会議場
2025年8月2日(土) 開場16:00 /開演17:00
■北海道 Zepp Sapporo
2025年8月29日(金) 開場17:00 /開演18:00
■宮城 仙台銀行ホールイズミティ21 大ホール
2025年8月31日(日) 開場16:00 /開演17:00
■愛知 名古屋文理大学文化フォーラム(稲沢市民会館)
2025年9月6日(土) 開場16:00 /開演17:00
■大阪 NHK 大阪ホール
2025年9月15日(月祝) 開場16:00 /開演17:00
■神奈川 パシフィコ横浜 国立大ホール
2025年9月27日(土) 開場16:00 /開演17:00
SUPER★DRAGON LIVE TOUR 2025『SUPER X』
神奈川 パシフィコ横浜 国立大ホール
2025年9月28日(日)
※詳細は後日発表
SUPER★DRAGON DRA FES 2025