「一番反応したのは…」米中の“トランプ関税”大幅引き下げ 日本はどうなる?
野村邦丸アナウンサーがパーソナリティを務めるラジオ番組『くにまる食堂』(文化放送・月曜日~金曜日9〜13時) 5月13日の放送は、関西学院大学教授の村尾信尚氏が、アメリカ・トランプ大統領の関税措置について解説した。
邦丸アナ「アメリカと中国は12日にスイスのジュネーブで行った貿易協議の共同声明を発表しまして、互いにかけた関税の115%を90日間引き下げることで合意しました。これまでアメリカは中国に145%、一方の中国は報復として125%の関税を課していたんですが、アメリカから中国へは30%、中国からアメリカには一部を除いて10%、最大で25%となります。アメリカのトランプ大統領は12日、中国の習近平国家主席との電話会談実現へ意欲を示しています。トランプ大統領は12日、中国への追加関税を14日に115%引き下げる大統領令にも署名したということです。週明け12日のニューヨーク外国為替市場の円相場はドルに対して下落しまして、一時、1ドル148円65銭をつけ、先月上旬以来およそ一ヶ月ぶりの円安ドル高水準となりました。市場では、アメリカと中国の貿易摩擦への懸念が後退。円を売ってドルを買う動きが加速したということです。
さて(村尾)ノブさん、とにかく関税をガンと上がるんだと。特に中国に対しては「145%関税かけちゃうからな」、中国も「ざけんな!」ってんで125%。ところが、「下げようか?」「じゃあ一緒に下げるか?」っていうことでガーンと下がりました。これ、どう見てます?」
村尾「率直なところ、一番反応したのはアメリカの株価だと思うんですね。アメリカのダウ工業株の30種平均が大幅に値上がりして、先週末に比べて1160ドル高くなったということで「やっぱりそうだよな」と世界が一安心したんですね」
邦丸「トランプさんが「関税上げるぞ」って言って最初に日本との交渉が始まったんですが、最終的にはアメリカとイギリスで合意して関税をある程度抑えていく。今度は中国との関税も一気に下がった。じゃあこれ日本はどうかっていうと、おそらく7月の参議院選挙前あたりに日米首脳会談があって、そこである程度の決着を見るんじゃないかとも言われてます。
結局、最初に数字をガーンと上げて。よくアドバルーンって言うように、あと脅しもあるんでしょうけど、「下げていくよ」っていうのが既定路線なのか。ただ(村尾)ノブさんは何度も言ってますよね、「わかんないんです」って」
村尾「そうなんです。トランプさんは、まず不確実性を作り出す。とにかく「えっ!」と驚かせるようなことを言って、みんな真っ青にさせて、その後はことの様子を見ながら柔軟に対応する、というやり方だと思うんですね。
関税問題しかり、カナダに対して51番目の州になれと言ってみたり、デンマーク領のグリーンランドを欲しいと言ってみたり、ガザにリゾート地を作ると言ってみたり。世界に混乱を引き起こして様子を見ながら柔軟に対応していくという、言ってみればトランプ流の交渉術みたいなものがだんだん世界に認知されてくると、今度はトランプさんが何を言ってもだんだん驚かなくなってくるような、そういう空気が出てきそうな気もしますね」
邦丸「でも、どっちにしてもトランプさんっていう土俵の上で戦わざるを得ないことは変わらないですよね」
村尾「そうですよね。だからそういう意味では日本もアメリカとのこれから関税協議は、参議院選があるにせよ、あまり急がない方が良いと思いますね。いかようにでも変わるような気がしますからね」